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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第三章 更に先へ、騒動は予見不可
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第八話 第3王女の依頼


「はーっ!終わったー!」


「お疲れ様〜。僕も疲れたけど」


「嘘つけコラ」


「いや本当。出来るかどうかはともかくテストは疲れるって」


 今は学校、そして今鳴ったチャイムによって高校初の定期テストが終わった。最初のテストだからまだ良かったが難易度が上がっていくのがなあ……まあ下がっていったらそれはそれで不安になるが、とりあえず終わったので良しとしよう。ああ、期末の事を考えたく無い……今回はそれなりにできたが、平均点どのくらいになるんだろうなあ。翔斗はどうせ満点に近いだろうから気にしする必要もない。ああ、そうだサブジョブ聞いてみるか。


「翔斗って、サブジョブなんだっけ」


「今は『盾師』、4次になったら『盾聖』になるけど……まあVIT補正が良いからね他の系統にしてスキルを得るよりかはそっちが良いと思って」


「へえ、そういう感じか。まあお前純タンク好きだもんな、流石に多少は攻撃能力残しておいているみたいだけど」


「鋼輝が最初から付き合ってくれればね、純タンクにしたんだけど。どうせやるのは分かってるから固定を組む気もないし」


「受験なんだから当たり前だろ。お前も我慢すれば良かったんだ」


「いや僕高校までは自由にする予定だから。だから我慢という選択肢は無かったね」


「腹立つわー。大学受験失敗すれば良いのに」


「いや、洒落にならないからね?」


 先生が集めたテストの確認が終わったのか、号令をかけた。いやー、これで本当にテストが終わったな。しばらく遊び呆けれるぜ。


「あー、疲れたよ〜!」


「池田か。そこまで頭悪く無いだろお前」


「それでも疲れるものは疲れるのだよ、君ィ」


「なんだその口調……翔斗と似た様な事言ってるぞ」


「え"……琴音ちゃん、私は悪く無いよね!?」


「え、え?その……あの?」


「放置で良いですよ、それ。いつもの事ですから」


「酷くない?というか鋼輝はいつまで琴音ちゃんに敬語なのよ。まさかゲームの中までそれじゃないでしょうね……」


「え、いやー……」


 敬語を止めろと言われましても、面識自体は中学の時からだけど、最初にまともに話したのはゲームの中だからなあ。中学の時は3年間違うクラスだったし。そもそも琴音さん側どうなのか。


「わ、私は大丈夫ですよ!コウさん、私しか敬語使ってないじゃないですか」


「あのプレイヤーネーム……まあ良いや、じゃあ坂下さんが良いなら……よ、よろしく?」


「は、はいよろしくお願いします!」


「……琴音ちゃんのこれはデフォルトだから見逃してあげてね?」


「まあそれはなんとなく分かってるよ……」


 結局色々ぐだぐだと話していると、担任がクラスにやってきた。とりあえずホームルームが始まるので話は中断。まあ、10数分耐えればその後は何時間も自由になるので大人しくしていよう。連絡事項は特に大した事は無かったから、安心安心。さーて、ゲーム三昧だ。






 屋敷の中の質の良いソファに寝転がりながら、Wikiを見ている。いやフッカフカ、贅沢な感じだなあ、惜しむらくはリアルで体験したかった事か……あれなんか誰か来る?いやでも扉の方からじゃなくて、窓の方から?


「妾が!窓から!来たのじゃーーー!!」


「普通に入れ!」


「ギャッ!おお王女の頭を殴って良いと思っておるのか!不敬じゃぞ不敬!」


「騎士団長からはやらかしたら殴って良いと全員言われてるぞ。あと痛くはしてないからな。繰り返すと痛くして良いとも言われている」


「そ、そんな、お姉様め、事前に対策しておったとは……後数回はこれで遊べると思ったのに……」


「いや人の家でその遊び方は不味いだろ。王女だろあんた」


「お主も王女に向かってあんたとは……まあ泥沼じゃな。対策がとられている以上、素直に止めるとするか」


「そうしろそうしろ。それで今日は何の用件なんだ?また暇を潰しに来ただけか?」


「今日は皆様に依頼があって参りました」


「ウォァ!?」


 い、いつの間に後ろに。全く気配が無かったぞ……いや、気配を察知するスキルも技能も無いが。それでも真後ろに立たれて気付かないとはこのメイドさんは結局何者なんだ。


「てか、依頼?」


「そうじゃ、お主達にの。前触れ無く来たのは悪いが、できれば全員集まらんかの?内容としてはクルトやアゲハはいなくても構わん……いるならそれはそれで良いが」


「あー、なるほど。ちょっと待ってくれ連絡とってみる。確かモモは部屋にいるはず……」


「探索者は便利で良いのう」


 連絡をした所、全員ログインしていて、かつ特に何か用件があったりはしないみたいで数分で全員集まった。モモも普通に部屋で本を読んでいたので問題無し。いや、意外とすぐ集まったなあ。


「それで依頼って?こうやって交流はあっても、依頼されるほどの能力はまだ俺達には無いはずだけど」


「今回はそうじゃの、焦点はその能力とやらでは無く、交流があるという点じゃの」


 よく分からないが、とりあえず話を聞いてみると俺達に頼みたいのは護衛依頼という事だった。なら、なおさら能力とかが重要で、俺達じゃ駄目なんじゃ無いかと思う。今の俺達で護衛がちゃんと出来るのはショウとモモぐらいだからなあ。3次職になったとはいえ俺やコトネさん、生産職のクルトやアゲハは王女を守るには色々足りない気がする。


「護衛と言っても、そもそも妾1人のみを守るという点ではナタリーがいれば大丈夫なのじゃ。何せ、ナタリーは『殺王』だからの」


「「「「「え」」」」」


「あれ気づいてなかったのかい……まあジョブは初めて知ったけど」


「いや只者じゃないのは分かってたけど……まさか4次職だとは」


「ちなみにレベルは100じゃぞー」


「えぇ……じゃあ護衛いらないじゃん」


 もうそのメイドさん……ナタリーさん1人いれば安泰じゃん。暗殺者系統なら不意打ちとかにも反応できそうだし、最悪時間を稼いでいれば騎士団長がやってくるんだし。俺達いる?

 更に話を聞いていくと、失礼な言い方になるが、程々の護衛が付いている事が重要らしい。程々……まあ今は程々だからしょうがないか。だからクルト達がいても大丈夫と言ったのか。最終的に、俺達が守れなくてもナタリーさんがいるからなあ。いつもはメイドさんと数人の騎士らしいが、今回の目的地や行く事情から、見た感じ質が劣って見えた方が良いとか。メイドさんが1番強いのは秘匿しているらしいので、俺達もくれぐれも言わないようにと念を押された。まあとにかく詳しい事情は現地で話したいとの事だ。話し方からどうも捨て石という訳でも無さそうだし、受ける方向に。報酬も良かったし。


「それで目的地は?」


「それは近場での。ズィーベルトンじゃ。耐寒装備は準備しておかないと駄目じゃぞ」


「それは本当に近いな……あと、耐寒装備か」


「耐寒装備なら試作品があるのでそれを改良すれば大丈夫ですよ」


「そうなのか?準備が良いのう」


 今話せる概要はそんな感じで、日時は来週の土曜だそうでプレイヤーに配慮もされていた。土曜なら基本的には大体のプレイヤーは参加できるからな、そういう細かい調整は運営はお手の物みたいだ。目的地のズィーベルトンはまだフィールドボスを倒していないので1週間のうちに倒しておかないと。まあ全員時間は取れるみたいでこの後行くことになった。耐寒装備は行けるようになってから気にすれば良いので問題無い。素材はコトネさんがレベリングしている時に色々集まっていたみたいで、ちょっと改良すれば何とかなるみたいだった。後でちゃんと払わないとな。

 ……というか、感覚が麻痺してる気がするけど、王女からのクエストとか普通受けられないよな。そこの他のプレイヤーとの差は運の良さみたいなものだろうから良いとして、きっかけを見つけたコトネさんは、やっぱりラックが凄いのか……LUCにステータス振ってたりしないよね?

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