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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第三章 更に先へ、騒動は予見不可
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第一話 話と報酬と試行

書きだめが尽きたのでしばらく更新が1日置きになります。次回は17日です。


「え!?じゃあお婆さんのクエストでエクストラモンスターが出てきたんですか!?」


「そうそう、びっくりしたよなあ」


「いいなあ……僕も見てみたかったです」


「この前クルト達いなかったからな、生産職が遭遇できることなんてそうそう無いだろうし」


「そうですね……まあ戦闘は苦手なので生産職にしたのでしょうがないですね」


 アハルテケを討伐した翌日、クルト達がいたのでお婆さんのクエストが気になっていたらしく、詳細を話したところである。エクストラモンスターが出てきたあたりで予想通り驚かれたが、割とすぐ落ち着いた。元々俺が1つ持っていたり、モモがいたりと普通じゃないことがあったので慣れてきているのだろうか。


「そういえばアゲハはまだ部屋か?結構経ったと思うけど」


「なんか細かい意匠にもこだわり始めちゃって……受け取りに期限が無いのも相まってとても凝ってますね……」


「あ、ああそうなのか……まあ急ぎじゃ無いわけだし別に良いか。流石に俺やショウのを可愛らしくしないよな……?」


「あはは、流石にそれはアゲハも分かってますよ。多分ミサンガとかだと編み方ぐらいじゃないですか、こだわれるのは。大丈夫だと思いますよ」


「クルトが言うなら大丈夫か。まあミサンガだから基本見えないだろうし気にしすぎかな」






 そして翌日、アゲハ特製のイベント報酬用の装備が完成した。というわけで御神木へ。平日だが、全員揃っているので問題は無い。御神木に着くと前と同じようにシズエさんが御神木からにゅっと出てきた。あれから少し日が経ったが、結構力が戻り、元気になった様子だった。まだイベント期間はあるのでこのシズエさんは俺達のパーティしか会えないが、終わった後はプレイヤーによって関係は変わるが世界としてはプレイヤーが出した1番良い結果となる。俺達のこの結果が1番良いのかは分からないが、ほぼ問題無くこなしたはずなので関係はあまり変わらないだろう。前までの季節イベントでは全く関わらなかったプレイヤーはNPCからすると関わりの無かった人物扱いで済むが、色々やらかしてストーリー進行を失敗したプレイヤーは他のプレイヤーがなんとかしたという設定になるらしく、NPCが死んで成功したプレイヤーとの齟齬が起こることはないみたいだが、NPCからの好感度がものすごいことになり、針の筵で2度と訪れることはないとか。辻褄を合わせるのは良いとして、失敗したプレイヤーは大変だなあ……今回のは騙されるかもしれないしなあ。

 あ、イベントアイテムはつつがなく受け取ることが出来ております。効果の付与はシズエさんがアゲハから受け取り両手で挟んで、むむむっとして終わった。特にエフェクトは無かったよ。傍からみるとシズエさんが物持って力んでるだけなので、なんとも言えない沈黙が漂っていた。受け取るとちゃんと効果が付与されていたので安心した。今回のイベント報酬の効果は装備している武器の耐久減少を確率でマイナス1だった。武器や装備の耐久は数値で表されているが、これは武器の耐久が減る時に確率で減る数値が1減るみたいだ。確率とはいえ耐久が減るのを遅らせられるのはありがたいが……確率って何パーセントなんだろうなあ……せめて1割ぐらいは欲しいが。まあショウが持っている物みたいに無いよりマシだろうから良いか。シズエさんからは改めてお礼を言われた。こっちはイベントだからやったに過ぎないからな……NPCとはいえそんなに感謝されるとどことなく罪悪感があるなあ。何にせよ、これで春イベントは完全に終わった。イベント限定のモンスターは割高で素材を買い取ってもらえたり、経験値が多少良かったりしただけなので特に問題は無いかな。次は何のイベントがあるのだろうか、その前にフィールドとかも進めないとな。






「さてやるか」


 今日は手に入れた2つ目のエクストラスキル、【空走場(アハルテケ)】を試そうと思う。このスキルの効果だといきなり実戦で使うのは危険だと思ったからね。改めて効果を見てみようか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

空走場(アハルテケ)

消費SP:100

効果:発動時300秒間「空歩」状態を付与。「空歩」状態の時使用者が認識し、空気が存在する地点を足場とすることが可能。

クールタイム:効果が終了してから100秒


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「使用者が認識し、空気が存在する地点を足場とする」か。これは空中を自由に走れるんじゃなくて、ちゃんと足場を意識していないと駄目な感じかな。まあ試して見ないと始まらないか、とりあえず使ってみよう。


「【空走場(アハルテケ)】。さて、どうなるかな」


 スキルを発動すると足の周りにアハルテケが纏っていたような風のエフェクトが発生した。触っても何も無かったのでただの発動のエフェクトか。まず階段を登るように足を出してみる。


「うおっと」


 あれ、全然歩けない。ちゃんと意識したと思うのだけれどな。まだイメージが足りないのだろうか?もう1回……


「うおっと」


 …………あれぇ?運営に……いや、もうちょっと試してみよう。そうして何回試してみると、10回に1回ぐらいは無事に足場を作れるようになった。と言っても、気を抜くというか、そこから意識を逸らすとすぐに足場が消えてしまうので、2歩目が全く踏み出せない。


「これは……難易度が高すぎィ……」


 散々試したが、ついに効果時間が切れてクールタイムに入ってしまった。結局2歩目を踏み出すことは叶わず、あまり気は進まなかったが運営に確認のメールを送ったが希望は無事打ち砕かれた。普通に仕様だってさ。運営側で事前に検証したらしいけど、この難易度で問題は無いとか。今回は普通の文章だったので良かったが、どっちにしろ難易度は変わらないんだよなあ……どうしようか。まあ練習していくしかないかな。あー、クールタイムがだるい。


「おっ、よっ……とと」


 あれから数時間、クールタイムという名の休憩を挟みながら【空走場(アハルテケ)】の練習を行ってみたが、1回3歩まで進めて終わった。これ、結構足場をしっかり意識しないと全然駄目だな。2歩目を踏み出そうとすると1歩目の足場への認識が疎かになるので、2歩目の足場を作り出す前に足場が消えて地面に落ちてしまう。かと言って1歩目を強く意識していると2歩目に対する意識が足りなくなる。歩こうとしているだけなのに二兎を追う者は一兎をも得ず状態になるのは本末転倒だなあ。何かコツとか無いのだろうか。運営は答えてくれないだろうしなあ……獲得した時は空中散歩とかできるかなと思っていたが、現実は厳しかった。現実というかゲームなんだけどなあ……まあ気軽に空を歩けたらエクストラスキルだとしてもぶっ壊れか。せめて2段ジャンプ、欲を言えば3段ジャンプぐらいはできるようになりたいが、道のりは遠い。3次職の条件を満たそうと思っていたが、しばらくはこのスキルの練習に使わざるを得ない。流石にこのまま放置しておくと、せっかくのエクストラスキルなのにそのまま死にスキルとしてしまいそうで、やる気があるうちにものにしておかないとヤバい。幸いなのか、屋敷の庭が広いため誰にも、まあクルトとかには見られるかもしれないが人目につかず練習することができる。フィールドだとモンスターに遭遇する可能性があるからなあ。何回失敗しようとも恥をかく心配も、ショウが笑うかもしれないがそうなったら習得した暁には頭を踏みつけてやろうと思うので良いだろう。何日かかるかな……1ヶ月かからないと良いのだが。

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