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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第二章 春だ!桜だ!春寒料峭。
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第二十七話 守るは懐旧 三


「え、本当に?エクストラモンスター?」


「そうそう、アナウンスも流れたし」


「あれがエクストラモンスター何ですか……」


 無事(?)死んだことにより、フィーアルの教会で復活。装備を元に戻して少し待つとショウ達がやってきたので事情を話したのが今である。あの黒馬が実はアハルテケというエクストラモンスターであったということ、挙動が他のモンスターよりも豊富で素早いことなど、情報を得られたことは良いが、戦闘をする上での問題が逆に増えたので厄介である。


「とりあえず移動しよう……どうせだから屋敷に戻ろう。アレ相手ならアイテムはいくらあっても良いだろ?」


「そうだね、アレの価値は金には変えられないから……早速戻ろうか」


 誰が聞いているか分からないので、確実にとはいかないが余計な人に聞かれる心配が無い屋敷へと戻る。エクストラモンスター相手の場合今の手持ちこポーションでは心許ないので補充も兼ねているし、もしかしたらクルトの試作品の中に良いものがあるかもしれない。本人がいないのに勝手に漁るのかと思われそうだが、製作して市場に流したりするつもりが無い品の一部は買い取って共用の部屋というか物置に突っ込んでいるので、そこにある物を使うつもりである。この前使った投げナイフも似たような物で、使えそうなものはみんなそれぞれ買い取ってあったりする。まあ、大体は小物の類で消耗品で、普通の武器も1つ2つぐらいはあるが、今装備しているのが1番質の良い物なので予備扱いになっている。しかし、余計な物まで持っていくと選択肢が増えて面倒になるので作戦会議からにしよう。


「さて、じゃあもう少し詳しい事を話してもらおうか。鑑定もしたでしょ?」


「ああ、まあレベル低いからそんなに大した情報無いけどな」


「まあ無いよりマシでしょ」


「そうだろうけど……分かったのは名前と大まかな種族系統ぐらいなんだけど」


「……まあエクストラモンスター相手だとそんなものだろうね……」


 名前はエクストラモンスターだけあって特徴を示すものだが、そもそも死ぬ前提とはいえ交戦しているので、意味が無い。種族系統に関しては精霊系統だそうだが、明確が実体が無いことはモモの知見で分かっていたので意味が無い。はい、鑑定の結果無駄。ちなみに精霊系統といってもシズエさんとは原理が完全に異なるらしく、死霊とかでは無いそういう系のモンスターは精霊に分類されるらしい……大分大雑把だなあ、一応アハルテケも死霊みたいなものだが死に方とかその後によるのだろうか?モモに聞いても明確に定義されているわけではないとのことなので深く考えないようにしよう、そういうのは考察畑の人達に任せよう。


「コウのレベルで鑑定してもそのぐらいか、じゃあ僕がやっても大して変わらないね。これだからエクストラモンスターは……どうする対策?」


「うーん、モモは結局どのくらいまでなら風相殺できるか?」


「……まあ相手は空気操作に特化してるから風属性でいくと分が悪いからねぇ、あのぐらいなら半減、魔力効率度外視で良いなら8割減ぐらいかな?」


「半減するだけでも大分ありがたいか、結構風強かったからなあ……」


「まあ私の周辺ぐらいで、あの馬の周囲は無理だからマスターは近づく時頑張ってね」


「うわあ、マジかー。エクストラスキルで風とか切れないかなあ?」


「いや流石に無理でしょ。それ何でも切れるわけじゃ無いんでしょ?」


「そうだけどさあ……」


 そんなこんなで話は進むが明確な対策が決まらない。実際、何人か例えば俺やショウとかが犠牲になれば何とかなるだろうが、どうせなら誰も死なずに済ませたい。というか、エクストラスキルが欲しいから真っ先に死にそうな俺やショウが議論しているわけであって、倒すこと自体は問題無かったり。ショウはなあ、初日組なのにエクストラスキル持ってないからなあ、この際確実でなくともチャンスは欲しいのだろうなあ。なんかぐだぐだ話しているからもう2時間近く経ってるわ。


「結局どうする?」


「飛び道具は効かないだろうしね、モモさんが大規模魔法で動きを阻害しながらで良いんじゃない?あと僕が庇う感じで」


「まあそうか、モモのMPは大丈夫か?」


「秒単位で使うとかじゃなければ全然問題無いねぇ。そこまでしないと動きを止められないなら基本負けると思うけどね」


「それはそうか、コトネさんも大分MP使うと思うからポーション多めにね」


「はい、分かりました!ショウさんかモモさんの後ろですよね!」


「そうそう」


 普通1人かもしれないが、ポーション以外の回復手段を持っている人がコトネさんしかいないため、多分ポーションを飲む暇がないためコトネさんが倒れると結構全滅の可能性がある。割と生命線な所があるため、もうNPCであるモモを除いて俺達2人を踏み台にしても生き残って欲しい感がある。とりあえずなんとも言えない作戦は完成したのでポーションを大量にしまい、目的地へ。


「そういや、これ他のプレイヤーに先を越される可能性ってあるのか?」


「……どうだろうね?一応汎用クエストは誰でも受けられるけど、これの場合多分フラグが好感度関係なはずだし、エクストラモンスターが関わっているから多分無いと思うけど……クエストでエクストラモンスターに関わったの初めてだし」


「前のイベントにもこんなのあったのか?」


「いやいや知らない知らない。これイベント関係なのかなあ?だとしたらあの時誰か似たような事を引き当てた人がいたのか……まあ秘匿するよね……」


「ああして定位置にいるエクストラモンスターなら誰か見つけてそうですけどね。イベントで追加されたんですかね?」


「そうじゃない?設定だけはちゃんと用意して、クエストになったら出現する様にしておいたとか。もしかしたら他のプレイヤーがあそこに行っても見つけられないかもね」


「そこはちゃんとゲームしてるなあ。じゃあ今でもやっきになって探しているプレイヤーがいるかもな」


「それはそうかもね。どれがどうフラグになっているかはイベントで別だろうし、誰かが先に見つけても判断しようが無いしね」


「ほらマスター達、そろそろだよ」


「へい」


 モモの言う通りそろそろ切り替えねば。というかちょっと姿見えてるわ、まずいまずい。もう刀抜いておくか。【抜刀】は速度上がるけど多分近づくまでにアハルテケの方が速いだろうし。


『ENCOUNT!ENCOUNT!Exエクストラモンスター 【☆2 空操馬 アハルテケ】!』


「とりあえずコトネさんは僕の後ろかな」


「そうだな、じゃあモモ初撃頼んだ」


「へいへい、『グレイシアマジェスタ』」


「でっけぇ……」


 俺達が近づき、アハルテケが起き上がった瞬間にモモが魔法が使った。MPを贅沢に使ったのか今まで見た中で1番でかい氷塊が出現したが、それが形を保っていたのは一瞬だった。アハルテケの一撃だろうか、氷塊は粉砕され、空に駆け上がったアハルテケが見える。粉砕されたお陰で氷がなんかキラキラして面白いわ。


「うわ、きれい」


「いや呆けてんなよタンク……コトネさんもね?」


「あ、す、すみません」


「ほら、来るよ!」


「ブルルルルルルァ!!!」


「【ウォールリフト】ォ!」


 おお、正面から受け止めるかと思ったらうまく上に逸らしてパリィした。まあショウならそのぐらいはやるか。数多のモンスターを屠り、ついでにさっき俺も潰した一撃を逸らされ驚いたのかアハルテケは空を駆け距離をとった。2体目のエクストラモンスターだが、あの前歯ハムスターとは色々と違う。いやそりゃ種族も特性も違うのだけれど、なんかこう、ね?目指せ誰も欠けずに討伐、あわよくば2個目のエクストラスキル。友人だからといってショウに譲ったりはしない、というか、MVPの判定が微妙に分からないから譲り様が無い。まあ活躍すれば良いんじゃ活躍すれば。まあ倒せなけりゃ元も子もないんだけどね。

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