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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第二章 春だ!桜だ!春寒料峭。
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第二十三話 お婆さん何者


「ふうむなるほど……姉さんの話は本当だったのか」


「なんだ、未だに信じてなかったのかい」


「内容が不思議すぎて信じられるか……それにしても御神木様は確かに村を守っていたのか……ありがたや」


 出来るだけ丁寧に伝えたところ、身内であるお婆さんが信じているのもあったのか割と俺達の話に納得してくれたようだった。いやあ、縁ができた人やらその伝手のおかげでサクサク話が進んでいく。村にどう伝えようか悩んでいたが、このままなら今回の騒動の内容を広める事自体はなんとかなるだろう。村人の認識については、信じるかどうかは村人次第なのでどうしようもないので広まるだけでもありがたい。


「これはすぐにでも村中に知らせないとな……悪いが、その素材を譲っては貰えないだろうか?」


「ああ、良いですよ」


 ああ、ドロップするのかと思ったらイベントアイテム扱いだったのかあ。まあ納得、素材1つだけじゃアクセサリーにすらならないからなあ。性根の悪い狐のアクセサリーなんかは着けたくないが。これで村人が信じる一助となればありがたいので村長さんにさっさと渡す。色や経緯も相まってなんか呪いでもついていそうだが、そんな事は無く変な自体は起こらなかった。そもそもそんなものがあるなら俺が触った時に起こるはずだしな。


「けど、これで村の人は信じてくれるでしょうか?」


「それは大丈夫だと思うぞ、探索者のお嬢さん」


「大丈夫?」


「少し前に言い争いをしておったのだが、その時に急に意気消沈しおってな、いきなり何なんだと思ったが、多分その狐の魔物の影響を受けていたのでは無いかのと思っての」


「ああ、精神干渉でも受けていたのかねぇ。死んだから解けたのか」


 へえ、なるほど結構色々な策立てていたんだなあ、あの狐。なんでも御神木への信仰自体はそもそもそんなに無かったらしいが、大事にしようとする気ぐらいはあったようで、桜が咲き始めてから今までのような状態になっていたとか。村人全員にかけなかったのは、若者連中が御神木に大した想いが無かったからだろうか。村人をけしかけるなら村長を思考誘導すればいい話だからなあ。

 何にせよ、これなら村人全員に伝わるだろうし、色々信憑性が増すような事もあるみたいだし、全員がそうとはいかないだろうが、信仰の問題も改善しそうだなあ。村長さんはあらかた情報をまとめ終えた様で早速他の村人と相談し、広められるように帰っていった。


「お婆さんありがとうございました。村長さんを呼んでいただいて、話がスムーズに運んだので良かったです」


「別に良いんだよ、この騒動を解決してくれて感謝するべきなのはこっちなんだから」


 いつの間にかお茶やら団子やらが用意されていて至れり尽くせりだ。というか本当にいつ間にか用意されていた、この前から思っているがこのお婆さんは何者なんだろうか、流石に人間は人間だろうが、やたらハイスペックな気が。昔は名の知れた戦士とか言われても信じるぞ。

 そんな馬鹿な話はさておき、懸念事項だった村人への周知もなんとかなりそうなので、一安心といったところか。お茶も飲み終わり、お暇する時間となった。


「「「「お邪魔しましたー」」」」


「ふふ、また来ると良いさ、茶ぐらいしか出ないけどねぇ……御神木様の事はありがとうね」


「いえ、関わったのは偶然みたいなものなので……」


「それでもさ」


 実際騒動が起きていたのはイベントとして告知されていたからだし、普通のクエストみたいに起きていたのなら解決しようが無かったからなあ。村人関係は上手くいったとシズエさんに報告するべきという話になったので御神木の方へ行くことに。


「ああ、2人とも」


「はい?」


「悪いのだけど……明日また来てくれないかねぇ?頼みたいことがあるんだ」


「頼みたいこと、ですか?」


「ああ、別に他の仲間が一緒でも良いよ。もしかしたら2人だけだと足りないかも知れないからねぇ」


「それは別に良いですけど……ではまた明日」


「ああ、よろしく頼むよ」


 頼みたいことかあ。イベントの続きだろうか?いやでもあの謎のイベント紹介からするとこの騒動を解決しただけで終わりそうだしな。まだ終わって無いとか……それは無いか。サブクエみたいなものかな。またお手伝い系だろうか。人数がいても良いとのことだったから、大量の荷物とかかな。


「どんな内容でしょうかね?」


「分からないけど……頼まれたからにはちゃんとこなしたいですね」


「そうですね」


「どうしたんですか?」


「いやなんかクエスト頼まれたんだよ、人数が必要みたいだから一緒に行くか?」


「あー……明日は家族で出かける予定なので……すみません」


「いや大丈夫だよ、多分そこまで大事じゃ無いだろうし」


「僕は行けるよー?」


「……まあSTRが多少あれば良いだろうし、いいんじゃないか」


「返答が冷たい……」


「いや、こんなもんだろ。さっさと行こうぜ」






 はい、御神木ー。ウェアイズシズエさーん。さっきお茶飲んで落ち着いたせいで、疲れがどっと出た気がする。なんかもう行ったり来たりで疲れた感じが。というかどこにいるんだろうか。


「シズエさーん?」


「……はい。どうかしましたでしょうか?」


 ……御神木からにゅっと出てきた。あれ、精霊形態ってそんな感じに変わるの?こう、花びらが集まってみたいなそれっぽい演出とか無いのか……ここでリアリティを出してくるとは運営め、現実は厳しいなあ。というか夢が無い。


「あ、そういえば皆さん、力がさっきよりも格段に戻ってきているんですよ!まあ、昔に比べれば微々たるものですが明らかに流れが変わったみたいです!」


 おお、心なしか元気になっている気がする。それにしても結構即効なんだなその力。信仰の力とかだと何十年もかけるイメージがあるが、意外と……基盤があったりするからかなあ。まだ村人に周知が徹底された訳じゃ無いだろうが、若者達への精神干渉が解けたり、少数でも村人の御神木へのイメージも変わったりしているからそれが理由だろう。このまま上手くいけば特に心配する事もないだろうな。

 出てきたシズエさんにさっき起こったアレコレを伝えるととても嬉しそうな様子であった。


「そうですか、まだあの子は生きているのですか。結構時が経ったと思っていましたが、そうでも無かったのですね」


「あのお婆さんの事を覚えているんですか?」


「それはもう。たまにこの姿になって村の様子を見たりしていましたが、あんな風にすごい勢いで森の奥に入っていく子は始めてでしたよ」


「昔からアグレッシブだな……」


「大きく干渉するのはどうかと思いましたが流石に心配になったのでついていくと魔物に襲われそうになっていたので助けました。結構力を使ったのでしばらくこの姿になれなくなりましたからね」


 ……なんか結構素が出てきたような、弱っているのもあったのかしおらしいイメージだったけど、意外とお茶目?な感じが。まあ元気が出たならいいか。


「皆さんには感謝の言葉もありませんが、多少なりともお礼をさせて下さい……あの狐の魔物が言っていた小物に加護をつけるという話は覚えておいででしょうか?」


「ああ、あの話本当だったんですか?」


「ええ。といっても本当は加護というほどのものでも無いのですが……それでも良ければお返しさせて下さい」


 貰えるものならデメリットがないならもらっておくに越したことはない。イベント報酬は大した効果はないが、あると心なしか嬉しいといったレベルなものだそうで見た目の自由もきくこともあり、評価は割と高いそうだ。手持ちの物に大したものがないので一旦屋敷に戻り、クルト達と相談する事に。いつでも良いとのことだったので、じっくりと考えるとしたい。ちなみにモモは御神木に近づいたあたりで別行動をしている。多少力が戻ったからまた近づけなくなったんだろうなあ。後で伝えておこう……悪魔ってこのイベント報酬つけられるのかな?

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