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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第二章 春だ!桜だ!春寒料峭。
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第二十話 ネタバレしてると茶番に見えることってあるよね


 雨天決行、荒天決行……まあ、快晴だけどね。敵は御神木の辺り、なんか狐系のモンスターと思われる。紆余曲折があり、イベントの進み方が普通とは違くなってしまったが、着地点は問題無いはず……多分。道間違えたけどそこまで時間変わらなかったみたいな……違うか。とりあえず村に着いた。シズエさんは拘束を解かれてもギリギリ問題のない所で解放され、御神木の方へと向かっていった。向かう道中もモモが隠蔽などの魔法をしこたまかけていたので問題は多分ない。怪しまれない様にイベントアイテムもちゃんと準備したし、このパーティプラス1に大根はいないと思うので大丈夫だろう。多少下手でもあの偽物の察しが良すぎるとクソゲーに成り果てるのだが、そんなリアルさは流石に用意していないと信じたい。


「もうあの場所へと行くけど……村に特に用事ないよね?」


 全員特に無いようだった。仮にあっても、後で行けば良いのだから、後回しでもいいだろう。他のプレイヤーとの約束していたとしても、少し前に今日進めると決めてあるのでそんなことをしている人はいない。まあ、村を突っ切った方が早いから結局村には入るんだけどね。切り株にも会わず、目的地まで着いた。偽物からしたら、もう少しで計画が達成されるので余計な邪魔はする必要は無いということだろうか。今回は特に追いかけられているということもなく、静かに俺達を待っていた。こうしてみると3割増しで胡散臭く見えるな、気のせいだろうけど……こらアゲハ、眉間の皺がヤバいぞ。ほら普通に普通に。


「お待ちしておりました、皆さん。それで依頼していた品は出来ていますでしょうか?」


「それはもちろん……あれ、誰持ってたっけ」


「あ、僕持ってます。えっと……どうぞ」


「ありがとうございます…………完璧に作られていますね。良い錬金術士の知り合いがいたそうで良かったです。これであの悪霊も倒せることでしょう」


 悪霊じゃ無いけどな。そのまま渡したけど、アイテムを使うのは偽物側か。タイミングに注意しないとまずいな。


「それで、その悪霊の場所は分かっていたりするのでしょうか?」


「はい、幸い隠れながら調べていた所、あの切り株が大量に集まっていた所がありました。中心には遠目ながら切り株とは違った影が見えたので、恐らくそれかと」


「なるほど、そこにいるのが……ということですか」


「はい、もちろん切り株の化け物も大量にいるのでとても危険ですが……お手伝いしていただけるでしょうか?」


「それは、はい、もちろん」


 手伝わないとそもそも話進まないしなあ。というか、その言い方だと、切り株を操っているように感じるけど実際は寄ってたかって囲んでいるだけだろう。すでに身柄確保されているのか、手際が良いというか何というか。アイテムも偽物に渡り、準備は整ったので、案内の偽物を先頭にその悪霊がいるという場所へと向かう。


「これ完全に相手の地の利だけど大丈夫か?」


「まあ御神木の周りじゃないから、それを気にせずモモさんに魔法を使ってもらえるからまだましじゃない?延焼が怖いから炎系は使わないでもらえると嬉しいけど」


「流石にそこは弁えているさ。問題はどうやって到達するかだけど」


「そこは上手いこといくんじゃないか?アイテム使わないといけないんだし」


「確かにそこは誘導するか……臨機応変にするしかないよね」


「はい、探索者様達のお力を期待しています。私もこの道具を悪霊に使えるように頑張りますので」


「あっ、はい」


 こんだけ近けりゃ話も聞こえるか。どっちとも取れる内容で話していたはずだから大丈夫だと思うが……多分大丈夫かな?単純に聞こえていたから反応しただけかな。


「もうそろそろ……皆様、見えてきました」


「思っていたより多い……!」


「確かに多いね……」


 そこにいたのは百体の以上の切り株が蠢いていた。あれ……倒すの?中心には一際大きな切り株が動いており、さらにそこには人影が……あれシズエさんか?幹の真ん中に囚われていて身動きは取れないようだ。囚われているはずなのに何かボス感がある……これは多少疑問に思っても倒しそうになるわ。意外と状況を作るの考えているな偽物。なんか捉えている奴もちょっと禍々しい見た目だし。どうやって助けようか……結構面倒臭い状況だなあ。


「大変でしょうけど、あの悪霊の近くまで私を連れて行って下さっていただけないでしょうか」


「近づかないとアイテムは効かないでしょうしね、頑張りますけど……」


「どうする?」


「流石に数が多いよね……」


「炎系なら爆発で吹き飛ばせるけどねぇ」


「それはちょっと……」


 切り株の発生の元凶が目の前の偽物である以上、シズエさんに近づいてアイテムを使うまでは確実にできるであろう。しかし、そこからどうするべきか……アイテムを使われると弱体化するので、上手く保護しないと倒されてしまう可能性がある。ここで正体を暴いて倒すべきか?いや、囚われているシズエさんごと自爆とかされたら面倒だな、この手の敵は割としそうだし。


「モモ何か便利な解決方法とかないか?」


「そう言われてもねぇ、そんな都合の良い手段は……」


「結局突撃かあ」


 そんな訳で臨機応変にということだった。最適解がないからしょうがないね。偽物を完全に油断させるためにアイテムを使うところまでは行わなければならないので、距離感をうまく保たないとな。一応戦闘能力は無いとのことなので偽物とクルト、アゲハを囲む形で並び、切り株の群れへと走る。もれなく、気づかれたがモモの魔法により数十体が凍りついた。この前とは違い、芯まで凍りついているみたいなので楽に砕けた。というか、まだ凍っていない周りの切り株が凍った切り株を砕きながら迫ってくるので若干ホラー感が。多少追いついてくるのもあるが、迫ってくる勢いほど追撃は少ない。進路も塞いでいないし。更に少し走ると、ボス(偽)の元へと着いた。偽物がイベントアイテムを取り出し、MP?を注いだのかアイテムが光り始めた。光は徐々に増していき、その光はシズエさんの方へと飛んでいった。


「……っ!ア……ァ!」


 めっちゃ苦しそうなんだけど。いや、そんな苦しむなら囮とか提案しないでくれ。何か、捕らえている奴も苦しそうな動きをしているが、動きがぎこちない。追いかけてきた切り株もワシャワシャうるさい。


「今です!これが効いているうちに攻撃を!」


 うるせえな、暴くのは後だ。とりあえず攻撃するフリをして助けないと。


「マスター、ほらバフ!」


「サンキュー!」


 シズエさんを捕らえている枝やらを切り払っていく。意外と硬いな。エクストラスキルを使えば楽だろうが、一応温存しておきたい。チッ、枝が直接邪魔してきやがった、バレたかな?ま、これで邪魔な枝は最後なんだけど。


「ショウ!パス!」


「オーライ……良っし」


 まだ油断は出来ないがこれで何とか一安心か。作成したレイヴンさんによると効果は発動しても一時的なものらしいので、時間が経てば何とかなるだろう。


「なっ、何を。早くその悪「『ディスペル』」ギャァ!」


 偽物の体が光り、光りが収まるとそこにいたのは体高が俺ぐらいの黒に近い灰色の狐だった。尻尾が3本か、まだまだ(?)だな。思っていたよりも影響が大きかったのか、気絶しているシズエさんはクルト達に任せ、俺とコトネさん、モモは狐の動きに注視する。


「……チッ、気づかれていたか、人如きが策を弄しおって……もういい、忌々しい精霊ごとまとめて殺してくれようか」


 セリフが安っぽい。明らかに呆気なくやられそうな敵キャラ。まあ、油断は出来ないので後ろに気をつけながら頑張ろうか。

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