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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第二章 春だ!桜だ!春寒料峭。
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第十六話 延焼とかしないのかな


「いやすまんかった」


「いやいや、別に予定が詰まってるわけでもないので気にしなくていいですよ……クルト、楽しかったか?」


「あ、はいそれはもう……すみません」


 あれから2時間。そう2時間である。途中でコトネさんから連絡があって、無事に王女様の着物は完成し、とてもご機嫌で帰っていったそうだ。こっちに向かおうかと言ってくれたが、来たところで見守るしかないこの状況に巻き込むのはどうかと思い、アゲハと好きにしてくれと断った。サツキさんはいつのまにかまたトランプタワーの作業に戻り、10段作った辺りで崩れるのを繰り返していた。11段の壁は高いようだ。そしてようやく話が終わったのかこちらを確認し、時間を確認し、この状況である。


「えっと、それで用件は何だろうか?」


「今やっているイベントで錬金術士が必要でして……レイブンさんって鍛治士系統じゃありませんでしたっけ?」


「ああそれで俺か……サブジョブが錬金術師だから問題無いぞ」


「あの、レイブンさんって前にお忙しいとお聞きしたのですけど……」


「それは依頼が立て込んでいた時だな、今は落ち着いているから余裕がある……というか少し前が忙しすぎた」


 そうなのか。それにしてもまだ素材が揃っていない。良い錬金術士を探しにきただけで、まさか生産職のトップが出てくると思わないじゃーん。その辺を話すと、金はかかるけど素材は在庫があるぞと言ってくれたが、先の町へ行くついでにと伝えると納得してくれた。しばらくは暇、というか余裕がある上に、しばらく依頼はそこまで受けないとのことなので別の日でも大丈夫ということなのでありがたく頼むことになった。これでイベントアイテムの品質は保証されたようなものだ。昨日2セットぐらい作ったとのことなので更に安心だ。これで1つ懸念事項が解決した。後は素材だが……明日から学校だしなあ。コトネさんは予定の調整取りやすいし、モモも夜には帰ってくるらしいし探しものは俺がログインしていない時にするみたいで、ボス戦は問題無いだろう。クルト達はログインするときは2人ともだそうなので平日でも1日ぐらい合うはずだから……まあ明日じゃなくても良いか!

 とりあえず今日進められる事はこのぐらいか。用事が終わったのでレイブンさんとクルトはまた話始め、レイブンさんの作業場へ行った。仲良くなったのは良いけど、ログアウトがあまり遅くならないと良いのだが。屋敷に戻り、コトネさんとアゲハにあらかたの事情を説明した。アゲハによると火曜日なら多分大丈夫とのことなのでそうする予定になった。最悪ショウはいなくてもパーティ人数の上限のせいでハブられるから別に良いか。なんかいつのまにか生産職2人をパーティに入れるのがデフォルトになっている。ボス戦以外で苦労している上に便利なエクストラスキルとモモがいるおかげで縛りプレイになっていなのが原因か。このまま最後の町まで辿り着けたら面白いなあ。






 はい、火曜日ー。ボス戦の日ー。学校は始まったばかりというのにもう夕方まで授業があるんだよ。しばらくは昼で帰らせてくれ。せめて最初の……2週間ぐらい。話を戻そう、そうボス戦だ。クルト達も問題無くいる。モモも探しものを中断している。ショウはいるがパーティに入れてないので後方待機。別にいなくても良いんじゃねと言ってみたが、押し切られた。最悪肉壁にしようタンクだし。さて、王都の先のフィールドの特徴は雨林地帯である。山脈があるおかげで別れ道になっているが、正確にはその山脈は王都の近くにあるわけではない。王都の先にどでかい雨林地帯があり、その先に大陸を2分するかのように山脈がある。実際には更に奥へ行くと山脈は広がり、Tの様になっているらしい。左側は砂漠や火山、右側は雪原や氷山が特徴となっている。明らかに山脈を隔てたぐらいで成立する気候じゃないが、ファンタジー世界で更にはゲームだしな、深く考えない。そして、俺達が用事があるのは左側で、砂漠へと続く町、ゼクシールだ。雨林は横に広く分布しているので左側と右側でボスが2種類いる。左側のボスは簡単に言うと樹だ。要するにイベントで出てきた切り株の凄い版。調べようかと思ったが、急ぐわけでも無し、予習なしできたが他のメンバーも同じなようだ。


「じゃあ行きますか?」


「そうですね、クルト達も大丈夫か?」


「はい、装備できませんけど、試作品の盾を持ってきたので多分死なないと思います!」


 工夫するのは良いけど、何か方向性が違う気がするような。装備はできずとも持つ事はでき、防ぐという行為自体は出来るので大丈夫かな。雨林へと入り、必要な素材を集めながら進んでいく。モモの魔法とクルト特製の刀おかげでモンスターもサクサク倒せる。カスダメもコトネさんが治してくれるのでバランスが取れている。最大人数5人なのに3人で普通にバランスが取れているのは良い事なのか。あ、タンクがいないわ。後ろいるけどパーティに入らないのでしょうがない。もうそろそろの筈だがまだそれらしいものは見えない、あと何か暑くなってきた。


「ほら、あれだよ左側のボスは」


 静かに後ろに立つんじゃない。見えてきたって……なんか燃えてるぐらいしか分からん……燃え……え、マジ?そこにいたのは燃えてる樹だった。しかもなんか動いてるからモンスターかあ。


「バーントレント。絶えず燃えてるから気をつけてね〜」


「さて、どうしようか。モモあれ消せる?」


「無理。あれの特性だと1部分を一瞬消せるぐらいかな。氷で固めてもその下で燃えてるからすぐ溶けるね」


「あれ、燃え尽きたりしないんですかね?」


「ああ、あれは油を出して燃やしてるから樹そのものは燃えていないんだよ。樹自体も耐熱性はピカイチだからねぇ」


「やけに詳しいな」


「あー、まあ前にちょっと知る機会があって」


 またなんか過去関係?このモンスターが何なんだか。モンスターがそこまで重要なわけでは無さそうだが、その背景か何かかな。とりあえずあの燃えてる樹を倒そう。


「作戦は?」


「モモが邪魔して、俺が切る。というか他にある?」


「まあそれが速いだろうねぇ。あと幹のどっかにコアがあるからね」


「なるほど、ありがとう。コトネさんもそれで良い?」


「はい!回復はお任せ下さい」


 3人で前に出る。クルトとアゲハはギリギリ範囲内にいるぐらいに待機している。まずはモモの魔法か。


「『グレイシアマジェスタ』」


 モモが生み出した氷がトレントの動きを止め、心なしか少し気温が下がった気がする。しかし、氷ではもちろん炎と相性が悪くすぐに溶けていく。枝叩きつけ破壊しているのもあり、その速度は凄い。早めに近づかないと。コアがあるという木の幹に近づくと四方八方から燃えている木の枝が攻撃してくるがその程度なら難なく避けられる。ガブリエルの攻撃に比べたら密度も速度もどうと言う事は無い。あれからレベルも多少上がってるしね!


「【貫牙剣(アウラ)】」


 エクストラスキルを発動し、近づいたせいで避けづらくなった枝を切り払う。モモも水やら氷の壁やらで妨害してくれているので、攻撃しやすくなっている。飛んでくる火の粉やら熱波やらでスリップダメージを受けているが定期的に回復魔法をかけてくれるので残HPも問題無い。問題は無いが……コアはどこにあるんですかー!切っても切っても再生するし、どこにあるんじゃ。


「マスター!きをつけてねー!」


 何を……ウェァ!地面から発生した水柱で上に吹き飛ばされた。上の方を攻撃しろと?事前に言ってくれませーん?えーい、ままよ。場当たり的な作戦が多い。


ザッ!!!


あ、何か手応えあった。落ちる勢いでやたらめったら切ったら倒せた。今までで1番倒した気がしない……1回でいいからまともなボス戦がしたい。ちゃんと作戦を立てれば良い話か。あと1回エクストラスキル無しでやってみるか。とりあえずこれでゼクシールに行ける。少し休憩したら、砂漠で素材集めだ。

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