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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第二章 春だ!桜だ!春寒料峭。
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第十四話 悪霊を倒すために


 今日が日曜でよかったなあ。平日だと暗くなる上に、全員揃うか分からないからな。一緒に進めないと話がズレるし、面白くない。


「じゃあ行こうか」


 いつもの通り、屋敷から村へ。一々王都からフィーアル手前の森へ行くのは面倒じゃないかと思われるかもしれないが、ゲーム的処理がある馬車に乗るのでフィーアルまで合計10分ぐらいで着く。NPCももちろん利用できるのでモモも一緒である。そもそも乗れないと色々と面倒なので、ありがたいといえばありがたい。設定的には快速馬車の扱いなので料金はかかるが、微々たるものだった。


「そういや、調べ物は済んだのか?」


「ん?いやまだだねぇ。中々捕……目当てのものが見つからなくてね」


 ……捕まえるって言おうとしなかったか?まあ良いや、イベントが変な方向にいかない限り自由にさせておこう。あと犯罪行為も出来るだけやめてほしい。もちろんそんなことは無いそうなので信用しておこう……悪魔を信用するのは中々にリスキーだと思うが。森を進み、シズエと話した開けた場所に着いたが彼女の姿は無かった。御神木に近づかないでほしいと言っていたのでこちらに来たので間違ってはいないと思うのだが。


「いませんね……」


「そうだね……困ったな、どうしようか」


「少し待つぐらいでいいんじゃないか?」


「まあそれしかないね……」


 とりあえず昨日話した岩の椅子に座り、腰を落ち着ける。これもイベントの内なのか、それともタイミングや場所が違うのか。少し待ってみないと分からないので雑談で時間を潰すことに。

 そうして10分ぐらい経った頃だろうか、森が、御神木がある方向が騒がしくなってきた。


「何か来るよ……んん?ああいや、多分あの精霊と……何か」


「何か?」


「うん、何か」


 何かって何だろう?このまま考えていると「何か」がゲシュタルト崩壊しそうなので止めよう。騒ぎの原因は結構な速度でこちらに近づいてきており、一応武器を構えておく。

そして、森から出てきたのは、シズエとシズエを追いかけている少し変わった切り株だった。なんか細い、けど速い。昨日見た切り株を樹齢100年ものと例えるなら、今のは20年ものというべきか……あとなんか気持ち白い。いや、とりあえず助けないと。


「よしじゃあコウ頼んだよ〜」


「おい」


「いや僕は精霊さんの方守りに行くから」


 まあ妥当か。ああ、モモが凍らせてくれれば楽になるから……なんで離れてるんです?


「パス。諸事情あってマスターに任せる!」


「おい」


「いや本当、後で、後でね……バフはかけるから」


「えぇ……?」


 バフの倍率高いから良いけどさあ……どうしたんだ?とりあえず倒すか。走って切り株の方へ行き、【抜刀】でシズエに迫る木の根を切り払う。切り株は切られたことに驚いたのか少し後ずさるか、攻撃用であろう根っこを増やし標的を俺に定めた。数秒後根っこが一斉に襲いかかってくるが、今の俺のステータスでは問題無く対処できる。移動するのは速かったが、攻撃の方はそうでもないな……シズエの方はちゃんとショウが近くにいるから大丈夫か。切ってもまた別の所から新たな根が出てくるが、俺が切り払う方が速い。あれ、これどこまで切れば倒せるのだろうか……とりあえず真っ二つにするか。根っこを切り払いながら近づいていき、薪を割るが如く真っ二つにする。これで倒せたかな……うわ動き始めた。まだ動くのか。やたらめったら刻んでいくと、8分割ぐらいしたあたりで、動かなくなった。消えないな、モンスター扱いじゃないのか。まあこれでひとまずは大丈夫か。


「ありがとうございます!おかげで助かりました」


 ショウの後ろに避難していたシズエが駆け寄ってきた。万人受けしそうな可憐な笑顔と仕草でお礼を言ってくる……そういうキャラなのかもしれないがいまいち違和感があるような気が。気にしすぎだろうか、村人を陰ながら守っている御神木の精霊という割にはなんとなくあざとい。


「コウ、顔」


 いつのまにか、胡散臭いものを見るような顔になっていたようだ。幸いか、シズエは俺が刻んだ切り株を見ているようで気付かれなかった。


「どうかしました?」


「ああいえ、少し気になったもので」


「確かに昨日の奴とは違いましたね」


「……ええ」


 なんか笑みが薄っぺらくなりましたよ、精霊さん。たまたまなのか、隠す気がないのか、それともわざとか。まあ他に情報無いから調べようが無いけどね!切り株の残骸を見るのは終わったようで昨日話したテーブルの方へと促される。


「それでは昨日お話しした対策について説明させていただきたいと思います」


 その対策というのは、3つのアイテムを用意し、その悪霊に対して干渉の可能化、拘束、弱体化させるというものだった。それが可能ならボス戦としては大分楽になると思うのだが……現物は無いみたいだ。


「なんとかそれらを作成するのに必要な素材をまとめましたので……心苦しいのですが、作成をお願い出来るでしょうか……?」


 ある意味お使いパートか。どこかから取り出した紙に色々書いてあるので、とりあえず生産職のクルトに渡す。いや一緒にやってきて良かった。他のプレイヤーは知り合いの生産職に渡すのだろうけど、これなら話が早い。クルトはざっと紙を読んだが、顔を上げるとなんとも言えない表情だった。


「え、えっとすみません……これ、錬金術士が必要ですね……」


 マジカー。これはしょうがないかあ。サブジョブを……まだ2次職だから別系統のジョブは無理か。1次職は同じ生産者だから同じ系統じゃないと思うかもしれないが、派生する場合はほとんどそれからの系統で判断するようだ。いくつかの工程はクルトやアゲハが行えるものもあるが、半分ぐらいは錬金術が必要になるらしい。つまり他のプレイヤーに頼まないといけないわけだ。まあ別にそれに関してはこれはただのイベントなので良いのだが、俺には伝手がありません。


「ショウ、知り合いの錬金術士とかいないのか?」


「いるにはいるけど……就職活動中……テヘッ」


「0点」


 ワーオ、マジカー。最終手段ショウの伝手が失敗に終わったぞ。モモは……いるわけないし、野良で頼むしかないか。一応この紙がないと作れないらしく、イベントアイテムで量産ができないので市場に流れていたりはしないので直接誰かに頼むしかない。


「と、とりあえずサツキさん経由で頼める人がいるか聞いてみますね」


 サツキ……ああ、鍛治部門の。それならPCAの横の繋がりで1人ぐらいはいるだろう。いやいないはずがないと思うし。専門外だが、クルトが言うにはそこまで作成難易度が高いわけでは無さそうとのことなので2次職になっているプレイヤーなら確実じゃないとのことだ。あと素材が足りないものがあり、王都の先のフィールドで手に入るものらしく、どうせならボスも倒そうということになった。あ、今は村で話しているところです。シズエにはお願いしますと頼まれ帰ってきています。普段はどうやって切り株から隠れているのやら。御神木に隠れるとかできないのだろうか。話を戻すとこれから手に入れる素材のことだが、王都の先以降の素材は王都またはその手前の町で買おうとすると割高になるので、自分で採ればタダ、しかも先の町にも進めて一石二鳥ということなので、そういうこととなった。しかしこの必要な素材一覧。ショウやモモ曰く、悪霊対策には不自然な素材が多いとか。いわゆる()のような感じだとか。イベントを進めるためにはこのアイテムを作成するしかないみたいだが、ここからどう動くかが悩みどころか。モモの探しものは早く見つかると良いが。

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