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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第二章 春だ!桜だ!春寒料峭。
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第九話 御神木


「これが御神木ねぇ、神聖さの欠片も感じない」


「元々あったりするのか?」


「ああ、思いだしたんだけど前はこっち側に近づくほどこう……弾かれる感じがしたんだ。多分これが中心だったんだろうけど今はそれの欠片もない、おかげでこんなに近くに寄れているからねぇ……」


 そうなのか悪魔的観点だとプレイヤーが得られない情報を手に入れられるから考察が捗るなあ。他のプレイヤーにできる手段じゃないし、アドバンテージになる……まあ競っているわけじゃないけど。


「さて、どうする?」


「どうしようか……とりあえずちょっと見てまわろうか」


「手がかりとかか……」


 御神木の観察がてら全員分かれて好きなように辺りを散策する。触るぐらいなら問題ないようで、触ってみたが大したことは分からなかった。コトネさんやクルト達は祠が少し汚れていたので持っていた切れ布などで拭いて手入れをしていた。ああいうことがフラグになることもあるが、このイベントではそうではないのだろうか?いや今断定するのは早計か。数分で状況が変わるわけもなく、御神木は相変わらず寂しい状態で、手がかりらしきものは無く、大した成果は得られなかった。強いて言えばコトネさん達3人のおかげで祠がとても綺麗になったことぐらいだ。


「特に何も見つかりませんでしたね」


「そうだな……モモは何か見つけたか?」


「いや……特にそんなものは見つからなかったね。昔あれだけの神聖さがあったなら何かしらの媒体でもあるのかと思ったけど……あった痕跡すらなかったからねぇ」


 結局収穫は無かったので村へと戻ることに。一応また一通り回ってみたが、特に何が起こるわけでもなく、時間的に王都へと帰ることになった。いそいそとコトネさんとアゲハが一緒に部屋へと入っていったが、何かあるのだろうか。生地を買っていたから新しい服でも作るのだろうか。






 特に何もないままイベント2日目になったが、学校は普通にあるので終わるまではもちろんゲームをすることはできない。


「なんか情報とかあった?」


「いや、今日まだ2日目だしまだ全然聞かないね。それにこのゲームのイベントのストーリーって、結構日数かけて進むから、情報が出るとしても明日、明後日。それも序盤ぐらいだろうね」


 そうか、下手に完全な攻略情報待ってるとイベント期間が終わるのか。昼休みなのでショウと弁当を食べながら、何かイベントの情報がないかと調べていたが、特にめぼしいものは無かった。前の季節イベントの時も強制的に1日時間を潰させられたり、待たせれたりという過程があったそうで、下手な選択をすると容赦なくバッドエンドのような方向へ行くらしい。村が崩壊するような結末は無かったそうだが、イベントが終わった後は主軸はハッピーエンドで終わったことになるようで、失敗したプレイヤーは村人からの好感度が基本的に低くなるそうだ。失敗したからといってゲームを続けて上で支障は無いが、村には行きづらくなるので自然と休憩場所が減ることとなる。参加しなかったプレイヤーはただ騒動(イベント)の時にいなかった人という認識で終わりのようだ。多少謎解き要素はあるとはいえヒントは割とあるので気にせずイベントに参加するプレイヤーは多く、人気はあるそうだ。


「まあ基本的に問題なくクリア出来るはずだから気楽でいいと思うよ」


「でも失敗したやつとかいるんだろ?」


「あー、それはね……相手がNPCだから態度が酷いプレイヤーとかの話だよ、あと検証班」


「検証班すごいな……」


「すごいよ、色々試した挙句、ありとあらゆるNPCから好感度が最低値になってキャラを作り直す羽目になった人とかいるし」


 一体何をしたらそうなるんだ。というかそこまでやる検証内容があるのだろうか。悪ノリだったり、過度にNPCを傷つけるものだったわけではなかったそうなのでちゃんと理性はあったそうだ。いや、理性があってもキャラを作り直すレベルまでNPCの好感度下げるのはヤバいと思うが。


「なんの話をしているんだーい?噂のゲーム〜?」


「池田と……坂下さんか」


「随分と時間かかってたね」


「購買がとても混んでまして。すごい行列でした」


「そうそう、並んだ後もどんどん人来るし、急いで並んで良かったよ」


 そんなに並んでいたのか。ウチは弁当があるからありがたい。入学してから知ったが、この高校は食堂は無く購買だけだが、種類がとても豊富らしく人気が高いそうで。興味はあるが並ぶのは面倒なので買う機会は無さそうだな。


「それでなんの話をしてたの?」


「その噂のゲームのイベントの話だよ、特にめぼしい情報は無いって話」


「ふーん」


「あ、あの隣失礼しても?」


「ん?全然どうぞ」


 屋上が開いているということで俺達は屋上で昼飯を食べており、椅子とかは無いのでフェンスに寄りかかっている。何故か翔斗が俺との間を空け、翔斗側に池田が座ったので必然と坂下さんが俺側に座ることとなる。いや別に翔斗の向こう側でも別にいいんじゃないでしょうか。というか坂下さん購買派だったのか、中学の時は弁当だった気がするけどいまいち覚えていない。翔斗とは食っていたけど、2人は別だったから……あれ、なんで今日はわざわざ来たのだろうか?


「おーい、鋼輝どうしたの?」


「うん?ああ、ちょっと考え事」


「そう……そういえば昼休みって何時までだっけ」


「確か半だったと思いますけど」


「そうだね、あんまり時間ないわ、少し食べるの急がないと」


 あと10分か、まだ少し残っているから早く食べ終わるか。その後はゲームをやっていない池田がいるので話題は学校の事になり、そのまま昼休みが終わり、教室へと戻った。


「……もうちょっと会話しなよ、進展しないよ〜?」


「分かってはいるけど……まだ話題がゲームぐらいしか……」


「ああ、私がいたから……けど1人だと変だし、というか琴音ちゃんと一緒に食べたいし……」


「いや百合さんのせいでは……」


「分かってる分かってる。まあもう少し考えようか」


「は、はい!」





「終わった終わった。なんで2日目から授業があるのやら」


「それはしょうがないでしょ。同じこと思ったけど。まあ明日土曜だし」


「そうだな」


 最初の1週間ぐらい午前中で終わらないかなあ、と思うがカリキュラム的にそうはいかないのだろう。


「あ、そういえばちょっと情報出てたよ」


「え、マジで?内容は?」


 聞いた内容は、村人が御神木を切るかどうかで2分しているというものだった。そこまでストーリーを進める上で必須ではなかったが、割と参考になるものだった。多分多少仲良くなった村人に聞けば教えてくれるのではないだろうか。


「なんで御神木切る派があるんだ?」


「なんでも御神木の付近で見たことがないモンスターが出てるとかで、災いを呼ぶようになったみたいな話になっているみたいだよ」


「モンスターって春イベの?」


「いやそれはある意味風物詩扱いだから、そのモンスターの情報はまだ無いね」


 物騒な風物詩だなあ。何故御神木に疑いがかかっているかというと、村人が目撃した際にはそのモンスターが御神木を守るように辺りをうろついていたかららしい。昨日見に行った際にはそんなモンスターの影も形も無かったけどな。そんなのがいたらモモが感知していそうだが。


「色々調べてみればその内分かるでしょ。今までのイベントは戦闘以外は物理職と魔法職が1人ずつ入ればどうにかなるようになってたし」


「へえ、そうなのか。まあ気長にやるかあ」


「焦ると色々見落とすからねー、着実にね」


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