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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第二章 春だ!桜だ!春寒料峭。
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第四話 暴食っていうか腹ペコキャラ


「初めまして、「ポールスター」のクランリーダー、イプシロンです。本当はこちらから伺った方が良いのでしょうが、何分目立つので……変装も考えたのですが、何故か大反対されまして」


 見た目がすごいからなあ、普通に出歩いて、しかも誰が持ち主か分からない屋敷に入っていけば噂になるか。変装するなら頭の上のプレイヤーネームにさえ気をつければ大丈夫だと思うのだが……?あ、アリサさんがすごい微妙な表情をしている。そんなに変装がアレだったのだろうか?もしかしてこの人少し天然入っているのだろうか。


「初めまして、コウです」


「コトネです」


「よろしくお願いします……ショウさんは久しぶりですね」


「そうだね久しぶり」


 挨拶も終わり、自然と割と静かな悪魔達の方へと視線が向かう。モモと少年の方は睨み?あっているが、どちらも話してはいない。数秒後口火を切ったのはモモの方だった。


「久しぶりだねぇ、ベルゼバブ。陰気っぽいのは相変わらずだね。昔と変わらず貪り食ってるのかい?」


「そっちもね、アスモデウス。全然見た目変わってないね。若作り大変じゃない?」


「ア゛アァ?」


 ヘーイ、ステーイステーイ。雰囲気から軽口叩き合ってるだけなんだろうけど、仮にも一触即発みたいな感じを出すのはやめてほしいなー。ここの備品壊したら誰が払うと思ってるんだよ。


「……はあ、まあ元気そうだね。1番野垂れ死にしそうなのがあんただから」


 仲がそこまで悪くない感じかな?まあ落ち着いて話ができるならいいか。一通り挨拶?も済んだので隣の部屋に移る。応接室のようになっており、ポールスター側と俺たちで向かい合って座った。モモはこっちに座っているが、ベルゼバブは少し離れて座っており、事前に準備されていたのであろう大量の料理を食べ始めた。それを呆れたようにモモが横目で見ていた。


「なんか積もる話とかないのか?」


「まさか。ああ生きてたのか、ぐらいの感情ぐらいしか湧かないね。そもそもここ数百年誰とも会ってなかったし、全員揃ったの1回ぐらいじゃなかったっけ?」


「もぐ、そうだね、そんぐらいじゃない?もぐ」


 仲間意識はそんなにないのか。悪魔がめちゃ仲良さそうにしてたらそれはそれで違和感があるような無いような……それは別にどうでもいいか。話だ話。


「お招きさせていただいた理由としては、自分以外の契約者と会いたかったからですね」


「なるほど、俺が2人目ですか?」


「別に普通に話して大丈夫だよ。そうだね2人目だよ」


 意外と人数いたりするのかと思ったが、やっぱりそんなことはないか。あっちはどういう経緯であったんだろうか?


「あー、僕とベルゼバブはね……少し先の砂漠フィールドで倒れてたんだよ」


「どうせ飢えてたんだろ?」


「その通りです。第一声が「ご飯……」でしたからね」


 普通に死にかけてた。それでいいのか、大罪持ち悪魔。


「まあその状態でも数年単位で生きてるだろうけどね」


「別に、モグ魔物も食べられるけど、やっぱり調理された、モグものが1番」


「その時は悪魔なんて思ってなくて、行き倒れの少年だと思って助けましたからね」


 イプシロンさんは苦笑気味にそう言った。見た目は普通だからなー、角とかは全員あるみたいだが、フードで見えなかったそうだ。その時、イプシロンさんのパーティが持っていた食べられる物を全て食い尽くし、イプシロンさんがそれなりに大きい組織、つまりクランのリーダーだと言うことを知ると、勝手に契約したという。契約が事後承諾なのは共通項なのか?イプシロンさんの顛末を聞いたので、今度はこちらが話す番である。エクストラスキルが関わってくるので、戦闘のあたりは大分ぼかしたが、多分察したのであろう、「ポールスター」の2人は何も聞いてはこなかった。天使の2人目であるウリエルが出てきたあたりは少し驚いていたが、まあベルゼバブから天使の大体の事は聞いているのだろう、能力の特徴を少し質問されたぐらいだった。

 次に、ベルゼバブとモモの特徴だが、ベルゼバブは暴食の通り、食べることらしい。食べようと思えば、そこらの石なども食べられるらしく、食べたものに応じて、HPやMPが回復するようで、なんと魔法も食べられるようだ。モモと相性がめちゃくちゃ悪いんじゃないかと思ったが、色々と制限があるらしく、そんなことはないらしい。他にも少しあるみたいだが、主な能力としてはそんなものらしい。モモの能力というか特徴についても話し、とりあえずの情報交換は終わった。

 ちなみに何故お互いに簡単に情報を渡しているかというと、そこはショウの存在が大きかった。最初期の頃、割とパーティを組んでいたこともあったそうで、今の大規模のクランの中では1番親交があるみたいで、今回の話が円滑に進むことができた。いやー、持つべきものは友だなー。俺達が王族と縁があるということもあり、プレイヤーとしての実力や繋がりなどは全く敵わないが、持っている情報はそれなりにあるのでそこを尊重してくれたみたいだ。


「それでも、他のプレイヤーより先駆けたいみたいな感じは無いのか?」


「まあ無くはないですよ。けど、秘匿しているのは、余計な面倒事を増やしたくないだけで、あとは色々と謎を解きたい、というのが1番ですね」


「前の文明とか、天使の目的とか?」


「はい、天使の目的に関しては多分人を滅ぼすとか、その辺りぐらいだと思いますが、過去の事についてはあまり教えてくれなくて」


 ベルゼバブと出会ってから2、3ヶ月立っているそうだが、話してもらえないのか。モモの方を見てみるが、視線を逸らされた。そりゃ教えてくれないか。好感度?……それならイプシロンさんの方は教えてもらえそうだけどな、餌付けしてるし。もっと悪魔が揃うとかか?条件が分からん。というかいつまで食べているのだろうか。ちょくちょく追加を持って人が来るけど、これで5回目だぞ。


「これは今日の分。まだ腹5分目」


 視線を察したのかベルゼバブが答えてくれたが、まだ半分かい。食費大丈夫か?


「まあ、それなりにかかりますが……必要経費と思って諦めてます」


 そういうのも契約する条件のうちに入っていたのだろうな。モモの条件はなんだったんだろうか?まあ契約した今、聞かなくてもいいか。その後、少し雑談をし、フレンド登録をしてお暇することとなった。なるべくなんかあったら情報交換する、なるべくモモがバレないように、ベルゼバブは基本外に出せないので内密に、といった約束をした。他の面倒なプレイヤーには関わりたくないし、仮に出し抜かれたとしても、相手は大規模クランのリーダーだからな、しょうがないだろう。そういう感じで、「ポールスター」のホームを俺達4人は後にした。


「ま、イプシロンさんは良い人だから、出し抜くとかは無いと思うよ。本当に善人だし」


「ベルゼバブが契約するだけはあったね、まあカモともいうけど」


「そういやあの人強いのか?」


「強いよ、アポロさんの次と言っても過言じゃ無いほどに」


「それはすごいですね」


 確かに、アポロさんの次かー……俺は一撃与えられたら良い方かなー?戦い方はめっちゃ勇者っぽいとのことだが、時間も時間なので、また別の日にということになった。モモは適当に部屋を選んでもらって、多少、お金も渡しておいた。ベルゼバブがおかしいだけで、食事は大した量は必要ないようで、多分しばらく問題ないだろう。新装備の素材も揃ったし、しばらく平和だといいなあ……フラグになりそうで怖いわ。

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