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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第二章 春だ!桜だ!春寒料峭。
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第二話 思ってた展開と違う


 屋敷に帰り、みんなにことのあらましとモモの紹介を終えたところそこに現れたのは第3王女と第1王女である騎士団長だった。訪れた用件が何故か悪魔とバレているモモなので、一応警戒するが……指名手配とかはやめてほしいな、ほぼPKと同じ感じになるじゃないか。


「む?ああそう警戒せずとも良いぞ。何も首を出せと言いにきたわけじゃないからの」


 うん?そういうのじゃないのか……?じゃあ何しに……?


「警戒する気持ちは分かるが、とりあえず話を聞いてもらえるだろうか、恩人の前で不義理な真似はしないつもりだ」


 そこまでいうならと不思議とモモも納得しているみたいで、クルト達もいても問題は無いとのことなので全員分の椅子がある食堂の方へと行く。なんかお茶とか出したほうが良いのかと思ったらそもそも茶葉も何も無かった。しかしそれを察していたみたいでシャーロットのお付きのメイドさんが持参した茶葉でお茶を出してくれた。なんかすみません。


「さて、まず私は国王陛下の名代として来ている。つまり、これから私が言うことはこの国の判断ということになる」


「あれ、シャーロット王女は?」


「妹はめざとくついて来ただけだ……すまん」


 いや、謝られることでもないけど……大丈夫なんですか?あ、この前と同じく公務は終わらせたのね。それにしても名代か。思ったよりも大事になって来たなー、てかどうやってバレたんだ?町歩いたぐらいでバレるならモモがたまに町に入ってるって言ってたし、その時にバレていても不思議じゃないが……?


「いやその、高級地には王城に近いこともあり、人以外の生き物……一定以上の力を持つ生き物を感知する結界が張ってあるのだが……普通に反応があったのだが……?」


「あ、隠蔽忘れてた」


 オイオイオイオイ、一応1番上の位階の悪魔ですよね!?忘れてたって……ええ……?って、あーいや、そもそも町に入るといっても高級地には来ないか……結界のことは俺も知らなかっし、しょうがないか。アスモデウスは一応町に入るときに念のため隠蔽していたそうだが、この結界に対して効果があるのかは分からないとか。実際に気づかなかったらしく、ちょっとショックを受けていた。騎士団長……オリビアによるとこの結界は古代文明の遺物とかなんとかで起動方法しか分からないレベルのオーバーテクノロジー的なものらしい。普段は察知用だが緊急時には物理的な障壁にも変えられるようだ。


「それって国家機密とかにならないのですか?」


「いや、プ、探索者でも知ってるぐらいに有名だよ」


 この場のNPCを除く大体が思ったであろう疑問をクルトが尋ねると、ショウが答えた。そうか有名なのか……ふざけて壊そうとするやつとか出そうだが、100年前ぐらいに国家転覆を図った馬鹿がいてその時に破壊しようとしたらしいが4次職のスキルを持ってしても傷1つ付かなかったそうだ。運営の配慮なのか、普通に設定なのか……まあ設定だろうな、ゲームバランスに影響が出ない限り変な配慮とかしなさそうだし。


「そんな訳でこちらに訪れた訳だが……まず結論から言うとそちらを害するつもりは無いのだ」


 あれ、そうなの。てっきりその悪魔を明け渡してもらおう、とかだと思ったけど。なにせ悪魔だし。


「確かに普通の悪魔は人間に害を及ぼす……というか害しかないが、そちらの……大罪を背負う悪魔は()()が違うだろう?」


「……そうだね、今の人間がそこまで知っているとは……流石は王族かね」


「文献は代々継承されているからな……あ、今から説明する……話しても?」


「ああ、まさか契約初日に、とは思ってなかったけど」


 あ、ちゃんと説明してくれるのね、すっかり置いてけぼりだから説明が欲しかったし。起源が違うってなんだろうな、ショウも初耳みたいだし……あ、お茶のおかわりどうも。


「まあ自分達のことだから自分で説明するさ……まず、そこらの木端悪魔は確かに私達から派生したようなものだけど、私達よりは余程悪魔らしいだろうね」


「ん?じゃあモモは物語とかにあるような悪魔ではないってことか?」


「ざっくりいうとそんな感じだね」


 そのままモモが言うにはそもそも悪魔というのは天使の対という存在で人に害をなす種族ではなかったとか。他の大罪には人を弄ぶような奴がいるそうだが、悪魔だからというのではなく個性の範疇とかなんとか。どっちにしろ質が悪そうだが。他にも何かありそうだが、詳しいことは別に追々聞いていけばいいだろう。今話してる内容はそも会って初日に話すようなものではないだろうし。


「私達大罪の悪魔以外は前の文明が滅びた時の膿みたいなものだからね、人の悪性の塊みたいなものだから悪魔という形になったのさ……色々あって若干私達もそっちに引っ張られたし」


 なるほどそこらで出る悪魔は人のイメージ通りというか、そのものなのか。形を取るときに悪魔という概念を依代にしたみたいな……?大体そんな感じでいいと。引っ張られたってどういう意味か……そこはあんまり考えても仕方のない感じか?あと前の文明は何をやらかしたんだろうか。滅んだ時に悪魔が生まれるって相当なことだろうに。


「王家に伝わっている内容もほぼ同じ内容だ。だから人間に意図的に害を及ぼさないのであれば特に干渉するつもりは無い、というのがこちらの結論だ」


「まあマスターに迷惑を掛かるような真似はしないさ、今の天使が気に入らないだけで人の趨勢に興味はないからね」


「じゃあ基本的に問題は無いってことで良いんだよな?害って言っても自衛とかは大丈夫だろ?」


「ええ、その場合は詳しい内容に聞くかもしれないが、基本的には。あと契約者であれば、コウ殿にも責任がいく場合があるのでご注意を」


 まあそうだろうな。そこら辺は必要経費としてちゃんとみておかないとな。世間一般の犯罪行為を起こさないようにしておけば良いだけなので多分大丈夫だろう。モモは普通に理性的だから……そういや区分としては魔物扱いなのか、結界に反応したから確かだろうが天使も同じ扱いなのか?いや確認しようがないし、そこは別にいいか。


「とりあえず国としての方針を伝えに来ただけなので用件は以上だ。時間を取らせて申し訳ない」


「それは別にいいけど、文献と今多少話しただけで判断して良いのか?」


「ああ、そこは問題無い。シャーロットが反応していないからな、それにコウ殿なら大丈夫だと思っているからな」


 信頼してくれるのは嬉しいが、それ根拠になってます?あとシャーロットが反応してないって……やっぱりただついて来ただけではなかったか。鑑識眼が鋭いのだろうな、キャラとしても割とよくあるし。


「いや、妾は面白そうなのでついて来ただけだぞ、文献で見た悪魔を見られたので良かったのじゃ」


「そ、そうなのか……」


 オリビアもメイドさんもため息をついている。眼はよくても、状況はアレなのか……空気が完全になんとも言えない感じになってしまった。


「そういえば他に契約者っているのでしょうか?」


「1人確認しているが、多分あちらから会いに来るだろう。多分把握しているだろう?」


「こんな近くにいると思わなかったけれどね、どうりで結界に反応したからといって悪魔だと判断するわけだ。前例があったとはね」


 ショウが疑問をオリビアに投げかける。確かに魔物に反応するだけでそれが何か判別できるようではなかったから、悪魔だとは普通分からない。そう判断できたのは前例があったなら納得だ。てか近くにいるのか、世間は狭い……のか?訪ねてきた用件は終わったので3人は帰っていった。シャーロットが居座ろうとしていたが、メイドさんに首根っこを掴まれて運ばれていった。それでいいのか第3王女。

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