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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第十章 秋だ!糧だ!豊年満作。
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第十七話 後日談笑


 割に合わない(自分には)パズルを解いてから数日後、ストーリーが進んだとの事で村へと向かう。まだイベント期間には余裕があるが、後にも色々とあったりするのだろう。

 向かうのはコトネさんと2人で、クルトとアゲハはもう見ており、モモ達NPCはパス、後の2人も別となっている。


「あ、確かに晴れてますね」


「村もちゃんと……色々動いているな」


 村や畑を覆っていた大規模なもやは晴れ、ほぼ以前の風景を取り戻していた。

 ほぼというのは、起点となったとされる森の辺り、その一部にもやが残っているという点だ。折角のイベントフィールドなのだから、少しは残しておくという事だろう。

 まあ春イベは桜が咲かなかっただけとして、夏イベは群島、迷宮も規模を縮小して残っているのだから、各イベントで跡は残すのかな、イベントアイテムもあるんだし。


「村の皆さんは……大丈夫ですかね?」


「まあ全員生きてるルートだったし、ああして畑の作業してるし行かなくても……何かあるとは聞いてないから」


「そうですよね、忙しそうですし」


 村の方、というか畑で村人があくせくと今までの鬱憤を晴らすのかのように動いている。

 イベントの間も出入りは出来たとはいえ、もやに呑まれなかった部分の畑の世話ができた状況では無かった。収穫は済ませてしまったらしいが、それでも設定的に10日程。もやに呑まれていた部分も時間経過はあったようでその分放置されていた畑の世話は中々に大変みたいだ。

 こうして見ているだけでも状況は分かる上に、もやが晴れたのだから個別のストーリーは完全に終わったと見て良いだろう。夏イベの様に二段構えの文言は告知に無かったからな。


「じゃあ……一応イベントフィールドも見てみる?」


「そうしましょうか、どんな感じかは把握しておきたいので」


 コトネさんの賛同も得られたので、規模が大幅に小さくなったもやへと向かう。小さくなったと言っても直径50メートル……まあフィールドとしては極小か。この森自体の大部分も元に戻っている様で、多少勝手は変わるだろうけど、村人の生活は大して変わらないはず。

 もやに試しと入っているプレイヤーもそれなりに見かける。どうやら決まった入り口は無い様で、近い所から適当に入ってみる。


「あ、中は広いですね」


「解決する前も広くなってたからな……まあこのぐらい広くないとプレイヤーでぎゅうぎゅう詰めだ」


「それは困りますね……折角なのでもう少し歩きましょうか。何かあるかも……確率は大分低いでしょうけど」


「それはなあ……」


 2人でフィールドを見て回るが、中の様相は村があった側の森、残りの3色の森は無く、当然尖塔も無い。見かけるものとしてはキノコを始めとしたイベント素材や、こんなのが出ますよと言ったぐらいのモンスターがちらほらと遭遇するぐらいだった。

 モンスターは4種類全て出現しているが、遭遇率は大分低く、ここがドライタル付近という事もあってか、雑魚過ぎた。まあドロップアイテムは別のモンスターで集められるし、イベントの残滓以上の価値は無いか。

 コトネさんの為にキノコをもう数個集めて外へと出る。


「……す、すみません?」


「……いや、コトネさんのせいじゃ……確率どうなってるんだ」


 キノコで麻痺なんてしてないよ……ホントダヨ、多分採った瞬間俺だけラグがあって麻痺した様に見えたんだろうね……その方が問題か。

 本当に確率どうなってるんだか……ここまで来るとネタにもならず、ただ面倒だな。2度と採取に来たくない。


「えっと、じゃあとりあえず町に戻りましょうか」


「そうだな……気を取り直そう」


 村は遠目に見たし、もやもどうなってるか自体は確認したから満足だ。後はレベル上げなり何なりすれば良い。そう思い、町へと戻ると、思いがけずというか、前も会ったのだから2度会うのも不思議じゃない人物と遭遇した。


「あ、タルさん」


「2人とも久しぶり〜、イベントの様子見に行ってたのかな?」


「そうですね、タルさんも?」


「そうそう」


 タルさんは以前と同じく黒い狼……サタナエルに加えて、他にもテイムモンスターを連れている。いつぞや見た事のある肩に乗っている梟のモンスターなど、恐らくはこのモンスター達がレギュラーなのだろうな。ちらほら見た事があるモンスターもおり、厄介だった事は覚えている。


「折角だから、そこの喫茶店でお話でもしない?何故か個室もある所だし」


「それは喫茶店……?まあ良いですけ、あ、コトネさんは?」


「はい、私も良いですよ」


「良ーし、それじゃあ行こう!」


 タルさんに連れられ、本当にすぐ近くにあった喫茶店へと入る。喫茶店に何故個室がと思ったが、思ったよりも開放的で、ただ人目が気にならない程度だった。2階にあるお陰か全域ではないにしても町の様子を眺める事もできる。


「ふう、ここのスイーツも中々に美味しいよ……トリモチさんのとこ程じゃないけど」


「流石にそれと比べるのは……」


「……そろそろ良いか?」


「あ、サーちゃん良いよー。頼んだ物も来たし」


 タルさんがそう言うと、サタナエルが人型の姿へと戻る。ここなら元の姿に戻れるってか。


「失礼する」


「ああ、別に……そういえばあの後どうでした?」


「大変だったよ……ワテルさんには山程聞かれたし、ローズちゃんには何で教えてくれなかったのって言われたし……」


 予想通りというか、中々に大変だった様で、タルさんは肩を落としている。根掘り葉掘り聞かれりゃそりゃ……まあ穏便に判明しただけでも良かった方か。


「イベントの方も中々に大変だったし。事前に調べた方が良かったかなぁー」


「俺では、相性が悪いというか、向いていなかったからな……」


「ああ……」


「広範囲の攻撃が無いと永遠に終わらないですからね」


 最後のカボチャ群ボスの事だろう。サタナエルの能力はいまだに知らないが、広範囲の攻撃が無いと核を探せないからなあ。たまたま1回見つけたけど逃したし。

 タルさんの方は悪魔といいイベントといい、中々にハードな数日だった様だ。

 若干気になるのはサタナエルが半裸でスイーツを食べている事で……まあ気にしない様にしておこう。服さえ着てれば絵になるんだけど。


「7人目の……ルシファーだっけ?探すの頼まれたけど……しばらくは落ち着けそうだねー」


「俺も奴については心当たりは無いからな」


「それなあ……何処にいるんだか」


 ルシファーの事は重要だが、ここで話していても仕方がないので、いつの間にかたわいもない雑談になっていった。

 タルさんはサタナエルの検証に一通り付き合ったそうで、いざという時以外は普段通りに戻れるそうだ。しばらく喫茶店で過ごした後は普通に別れた。


「後どうします?」


「そうですね……レベル上げでもしましょうか。ポーションの在庫は大分あるので」


「それならツェーンナットの方に……こっちだっけ?」


「そうですね」


 北方面に向かう馬車乗り場へと向かう。イベントはほぼ終わり、クエストが何やらあるらしいが、必須ではないようなので気が向けばというぐらいだろう、報酬にもよるけど。とりあえずレベルを上げていかないと……100どころか、次のレベルさえも遠い。


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