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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第十章 秋だ!糧だ!豊年満作。
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第十五話 収穫、聞きそびれた事


 翌日、未だ村を覆うもやは晴れず。

 まあ流石に解決しない事は無いだろうというのがプレイヤーの共通見解なので大丈夫だろう。そもそも被害は畑だけで、最悪村人は移住という事になるらしいし。

 モンスターの素材はともかく、中で採れるキノコやら何やらは割と有用な様だ。それでお釣りは来ないにしてもどうにかやりくりできるとか何とか…….とシャーロットが言っていた。裏事情を聞けるのはありがたいので、いつもの通り、お菓子を出しておいた。昨日の帰り、トリモチさんのケーキを入手出来たのが役に立った。

 そんな感じで、このイベントは経過を見守るのみだ。後出来る事は素材集めぐらい……という事で、アゲハとコトネさんから素材集めのお誘いがかかった。例のキノコを色々検証したいらしい……あのキノコかあ。


「今度は大丈夫ですよ!」


「そうですよ、あれ結局確率1割ぐらいって聞きましたし!」


「でもコウって、半分くらい麻痺してたんじゃなかった?」


「アゲハ!」


「……10個中5個な」


「……すみません」


 アゲハの言う通りである。まああの時は下振れも下振れだったと考えれば、まだ精神的にダメージは少ない……1割なのに半分て。クルトがアゲハを嗜めるが時すでに遅し、というかそこまでしなくても大丈夫。

 見てるだけならともかく、素材集めに協力するなら多少は俺も採らねばならない。護衛役なのに麻痺したら元も子もないけど。


「じゃあ行きましょうか。早い方が良いですからね」


「そうだな……今日は4人か」


 ショウやアポロさんは相変わらず、モモ達も何処かへ出かけている。なのでこの4人だ。まあ通常のモンスターなら1人で何とかなる。ゴーストの所には行かないから、それも問題無い。レアなモンスターが出たという話も聞かないし。


「あ、思い出した……悪いけど、もう1人呼んでいい?」


「別に大丈夫だけど……」


「大丈夫ですよ」


 追加で1人、枠は空いている。

 5分後、馬車の停留所で合流したのは、人となりを多少なりとも知っている人だった。


「こんにちは」


「ああ、サツキさんか。どうも」


「こんにちは……サツキさんって、鍛治の人ではありませんでした?」


「そうだよ。でも、私の分野だと多少関係あってね……まあちょっとした実験みたいなものかな」


「そうなのか」


 確か、王都祭の出店で売っていたのはアクセサリー類。クルトとは違うから、扱える可能性があるのは不思議じゃない……キノコをどう扱うのかは全く想像がつかないが。


「いや良かったよ。誘われた時が丁度シフトが空いた時で。お陰で安全に大量に集められるからね……アゲハちゃん、ありがとう」


「半ば忘れてたから……思い出して良かった」


 シフト……リアルのバイトじゃなくて、PCAの受付だろうな。NPCに任せられなくもないし、変わってもらうこともできなくもないらしい。ただそれをはそれで色々と面倒な様で……まあ完全なフリーな時だったから良いじゃないという話なだけだ。

 という訳で、この5人で馬車に乗り込み出発。サツキさんは、クルトとアゲハと同じ様にイベントに参加したそうで、ストーリーは一応俺達と同じ進行度だそうだ。イベントフィールドは俺達基準になるはずで、そも村に用事は無いからサツキさんがいても問題無い。


「この辺は最後まで混みそうだね」


「サクサク進めるから良いけど……」


「今日も凄い列ですね」


 もやに入る為の入口が1つだけなのが原因だろう。せめて2つ3つ……あーでも、村が無いと駄目か。まあ空間が捻じ曲がってるみたいな……出来ないから1つか。

 とりあえず、長い列はいつもの通り進んで行き2分程あればもやへと突入できた。

 村の中は相変わらず、しかし原因が取り除かれたからか表情はさらに明るくなっている様な気がする。出ようと思えば出られるし、町の方から支援物資的な物も届いているらしい。森の方に出なければ危険が無いのも判明し、村人達の心配は畑のみである。まあ食い扶持だからね、結構な広さがもやの部分だから……このままだと結構な被害になる。

 それはそれとして、森の中へ入る。昨日クリアした訳だが、特に目立った変化は無い。


「あ、あったあった……良し、当たり」


「こっちも…….大丈夫っと」


 早速キノコを見つけ、採取していく。一先ずは麻痺しなかったものの、いつ外れを引くか分からない。採取した物は同じなのにどうしてこう、違いが出るのか。


「生える箇所がねー、ランダムなのが。もうちょっと法則性持ってくれるとありがたいんだけど」


「この不思議空間の不思議なキノコに言っても……聞いた数なら、このペースなら今日中に集まるんじゃ?」


「まあそれはありがたいけどね」


 時間が経てば、採取するのにも慣れてくる。割とモンスターとの遭遇間隔が一定なのもあってか、見える範囲でバラけるようになった。

 何気無しに近くにいたサツキさんの愚痴に付き合ってはいるものの、ちゃんと手は動かしてはいる……今の所外れ3割。まあまあ良い方じゃないだろうか。


「…….そういえば、サツキさんもホマスから送られてきたんですよね?」


「え、あー……うん、そうだよ。レースの景品の事でしょ?」


「そうですね」


 結局確認していなかった事を思い出したので、聞いてみる。随分と間は空いたし、ホマスが送り忘れている、もしくは送っていないという事は無いだろう。


「いやあ、まさか後から確認したら3位の物だってね……もしかするとカリファが4位じゃないかって心配でさ」


「ああ、カリファが4位でしたよ。俺が2位、ホマスが多分1位ですね」


「本当に……?カリファキレてない?」


「いや4位扱いというよりはホマスにただキレてると思いますけど……」


「それなら良いんだけどね……」


 サツキさんは、安堵したという風に息を吐く。ずっとそれを心配していたのか……PKのトップだしな。あんまり関わりは無かったみたいだし、報復やら何やらを心配するのは当然か。サツキさんは生産職だから大した抵抗も……いや、色々投げてたな。


「あの時、色々使ってましたけど出費は大丈夫なんです?」


「あれはねー、随分と嵩んだけど、賞品でトントン。まあちょっとお釣りが出るぐらいかな。折角の棚からぼたもちだったのに……面白半分で参加するんじゃなかったよ」


「ははは……」


「2人とも、移動しますよー!?」


「え、分かったー!」


「気を取り直して集めないと……あとどのくらいだっけ?」


「2、30はあるんじゃ?」


「まあもうすぐかあ……」


 大体必要なのが合計で120とか130とかだったはず。この辺りのキノコは採り終わったので、サツキさんとの話を切り上げ、次の場所へと移動する。

 聞きたい事は聞けたし、丁度良かった。ホマスは今はどうしているのやら……あ、引換券どうしよう。






「【抜刀】っと」


「お疲れ様です。回復は?」


「いや大丈夫」


 少なからずモンスターには遭遇するので、首を断ち終わらせる。コトネさんが声をかけてくれるが、一撃も食らってないのは分かっているはずなので一応だろう。

 目標数としては、今クルト達が採取しているので達成出来る。まあまあ時間はかかったが、1回で終わって良かった。最終結果としては1割5分。


「あれで終わりですね……あの、サツキさんと話していたのは?」


「え?ああ、さっきの……王都祭の時のホマスの件でさ」


「あ、賞品の事ですね。そういえばカリファさんとペアだったって言ってましたね、そうですか」


「終わったみたいだ、行こうか」


「はい!」


 採取終了。このキノコが役に立つのかはコトネさん達の実験次第だ……何処で検証班がもう結果を出していそうだけど。

 イベント期間はあとはどうするかな……今の内に復習でもしとくかな。


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