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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第十章 秋だ!糧だ!豊年満作。
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第十四話 そこまで関係無い


「何だこの壺?」


「あー、これが起点だろうねぇ。ただの壺じゃない……なんか見た事あるね?」


「ええ……」


 モモはしゃがみ、ジロジロと壺を観察してそう言う。背負っていたウリエルが地面に転がされているが……まあウリエルは文句は言わないか、疲れてる事もあるし。

 それにしても、イベントの原因たるこの壺がモモの知る良しとは……まさかの世界観関連だろうか、季節イベントで重大なのは持ってこないとは思うけどな。


「すみません、マスター。私にも良く…….」


「分かった」


 クローナが見たいと言うので、静かに降ろして壺の付近に座らせる。今更だが、この壺危険じゃ無いよな?モモが近くで見てるし大丈夫だろ……ボスも倒したし…….なんかもう雑に扱ってるし。本当に大丈夫?


「あー、なるほどこれは……」


「だろう?問題は何でこれがあるかだけど……」


「……話し始めてしまいましたね」


「とりあえず休憩で良いかな。しばらく見てるだろうし」


「そうですね」


 地面に直接だが、壺から少し離れた所に座り、ポーションを飲む。大分動き回ったので気分的には喉が渇いた。ポーションだけじゃ足りないので、手持ちにあったジュースでも飲めばひと段落だ。


「それにしても、あの壺は……どうするんでしょうかね?」


「さあ……モモ達の議論を待つしかないし……そもそも普通なら壊すか持ち帰るしか無いからなあ」


「鑑定でも大した事が書かれていないですからね。やっぱり待ちましょうか」


 すっかり静かになった森を眺めながら待つ。塔の中に入る前は、モンスターは最初以外出てこないとしても、何かがいる雰囲気はあった。しかし今は静謐と言って良いほど静まり返っており、作り物めいた感じだ……でかいジオラマみたいな。

 あの壺が起点となって生まれたはずのこの空間、ボスを何とかした以上消えるはずだが……まあ時間経過だろう、大体そうだし。

これも焦らず待つしかない。結局は人的被害は……死者はゼロだし、小麦畑はまあ多分元に戻るのかな?

 そんな事を考えながら5分ほど待つと、2人と頭だけそちらに向けたプラス1名の議論は終わった様だ。ウリエルもちゃんと座らせてやれば良かったな……直さない2人も2人だけど。


「それで?」


「あれは、ちょっとした魔法関係の道具だったんだけど……今はただの微妙な壺だね。特に問題無し、壊すでも持って帰るでも大丈夫さ」


「こうなった詳しい経緯は今の所分かりません。私達も知ってるだけなので……あと複数ありますし、あれ」


「え、複数?」


「ああ、大丈夫でしょう。あれ単体ではこうなりませんし、何より無事な物があるなら……それはアルカディアにあるでしょう」


「おいおい……」


 がっつり関わっていた。え、季節イベントでこんな事は……前例が無いからといってあり得ない訳では無い。ただそれはそれとして……うーんでも、最近までそこにいたはずのウリエルも不確かな感じみたいだし、そこまで重要アイテムって訳じゃ無いのかな。あくまでも関わりがあるってか?


「まあとにかく、これでこの騒動は終わりって事ですよね?」


「……それで良いと思うよ?とりあえず急にはここも消えないだろうから……経過観察ってとこだけどね」


「じゃあひとまずは終わりって事で…….帰るか。この壺は……一応持ち帰ろう。いる?」


「縁はあるけど……流石にいらないねぇ」


「私もですね。しまっておけば良いと思いますよ」


「じゃあ良いか」


 ウリエルもいらない様で、首を横に振っている。こっちから見ると縦だけど。

 壺をしまい、クローナを背負い直す。とりあえず残した物は無いので、村に帰っても大丈夫なはずだ。

 村へ戻ると、クルトとアゲハ、それに村人が集まっていた。何故かと思えば、ここからでも塔は見えた。その塔が消えたら多少騒ぎにもなるだろうという事に気づく。


「皆さん、戻ってきましたね!」


「だから大丈夫って言ったじゃない…….お帰り〜」


「おう」


 クルトはほっと一息ついた様で、事情を聞き確認すると、どうやら塔の中に入っている間はフレンドとの連絡が不可能になっていた様だ。それ自体は仕様なのは良いとして、起きる事は殆ど無いので、若干不安になっていたみたいだ。確かに、ボス戦に向かった知り合いが急に連絡が取れなくなるのはちょっと気になるよな。

 とりあえず何があったのかは周りにいる村人も同じなので、クローナとウリエルを安静な状態にできる場を貸してもらったあと、起こった事を説明していく。

 結局は不思議な空間でカボチャ狩りしただけなので、説明にはそこまで時間が掛からなかった。壺に関してはまあ、とりあえず原因らしき物を取り除けたという事で納得してもらえた。


「じゃあ、しばらくすればここも畑も元通りになるってことか?」


「多分……な?」


「まあそうだと思うけどね。森は多少変わるかもしれないけど」


「ああ、それぐらいならまだ……とにかく良かった、ありがとう。あんた達のおかげだ」


 探索に出ていた村人のリーダーが丁寧に感謝を述べてくる。どうやらこの人が村長だった様だ……若いな。代替わり自体はサクサク行うらしい。


「塔が、急にモンスターを倒した時みたいに消えていきましたからね……」


「びっくりしたけど、そもそもここが不思議な場所だしね」


「そういう風に消えたのか。出た時にはもう無かったからな」


「ちょっと見てみたかったですね」


「この壺は……壺以上にはならないみたいですね」


「まあこれで何かしらの装備になられてもな……」


 説明する時にもちろん壺も出した。クルトとアゲハとジロジロと見ているが、恐らくはフレーバーアイテム以上の物にはならないだろう。帰って死蔵がいいとこだ。


「じゃあ……とりあえずは終わりですね」


「ああ、帰るか」


 原因は排除、村人への説明も済んだ。後はイベント期間が終わればここも元に戻るはず。流石にここから何かあるならきちんとフラグがあるだろうし、何なら攻略サイトでも見れば良い。秋イベントのストーリーは終わりだ……とりあえずアイテムでも集めるかな。でもあのキノコなあ……ハズレ引きそうだ。


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