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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第十章 秋だ!糧だ!豊年満作。
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第十三話 他のプレイヤーはどうクリアしてるんだろう


 はい、大問題。緑カボチャを見失いました。探り当てたというか、偶々破壊した所に居ただけでそこまで苦労した訳じゃないけど。


「すまん!」


「いや良いさ、あっちのテリトリー……加えると、紛れて何処かは分からないからね」


「マジか……」


「逃げたのはあっちですけど……素直にそちらに行くかは分からないですよね」


 クローナとウリエルが、山のも下のもまとめて破壊して回っているが、それでもまだ地面が見えない程カボチャの量は多い。

 緑カボチャは抵抗が無いかのようにカボチャの中へと逃げ込もうとするし、攻撃しているのに若干すり抜けている気がする。確実に掠るぐらいはしているはずなのに、傷1つついていなかった。

 そうしている内、紛れたカボチャを処理し切れず、遂には見失ってしまった……『反剋』が使えればなあ。あと広範囲攻撃手段……刀使ってる奴にそれは強欲か。


「まあ、もう1回探し当てるしか無いねぇ」


「この中からかよ……何かヒントとか無いかな」


「不審な点は無さそうですしね……」


 呑気に話している様に見えるかもしれないが、一応今もカボチャは飛んできている。だがまあ、大小差はあるとは言え、真っ直ぐ飛んでくるだけと、爆弾仕様の2種類だけならすぐに話すぐらいの余裕は生まれる。山を攻撃しているのは天使2人なので、そちらに若干偏重しているのもあるだろうけど。

 明らかな問題はこのままこれを続けていても、意味が無いという事だ。緑カボチャを破壊しない事には終わるものも終わらない。しかして、何の手がかりも無い訳で。


「とりあえず一切合切破壊していくしかないか……」


「わ、私も頑張ります……」


「……やっぱり探知しても無駄だね、攻撃に回ろうか」


「お、助かる」


 モモは核である緑カボチャを探るのを止め、魔法で周りのカボチャを壊し始める。紛れてしまった場合、探すのはやはり不可能な様だ。そもそも魔法もカボチャ相手には効きづらく、効率は悪そうだ。

 コトネさんも、下のカボチャなら杖で叩けば数秒で1つぐらい、まあ普通のカボチャと同じぐらいで破壊している。


「【ディケイブースト】……はあ、そろそろ耐久値がなあ」


「見つかりませんね」


 しばらく時間が経ったが、あれ以降緑カボチャは姿を現さない。あれが最初で最後のチャンスだとは考えづらい。そうなるとただの無理ゲー……いやフラグが立っているならそうも言えないけど。恐らく何個か見逃している点はあるのだろうが、それが分かったら苦労しない!

 破壊は続けていくにしても、いずれ限界は来る。何か無いかと考えを巡らせていると、ウリエル達の幾度目かの大爆発が起きる。偶に起きており、事情を聞くと簡単な水蒸気爆発を余裕が出来た時にしているらしい。簡単な水蒸気爆発とは……とりあえず疑問は置いておいて、あれのおかげで若干のヘイトを引き、またカボチャを減らすのにも役に立っている。

 やはり高レベル魔法職3人分がいると助かるが、それを活かし切れていない。頭脳役がいないからなあ。

 まあその爆発が起きると、そこからもカボチャが放物線を描いて飛んで来たりする。それ自体は特に問題無い。速度も緩やか、爆発するタイプは巻き込まれた時点で誘爆する。爆発はもちろん目立つので、起きてから注意するで済む。

 まあ今回もカボチャが飛んでくる。丁度コトネさんの方に……キャッチ……あれ?


「緑カボチャ?」


「そうですね……?」


 コトネさんの手に収まったのは少し前に見た緑カボチャ。何故飛んでくる。


「呆けてないで、早く斬りな!【貫牙剣(アウラ)】なら多分斬れるはずさ!」


「そうだった、【貫牙剣(アウラ)】!」


「あ、逃げ……コ、コウさん早く」


 俺が攻撃しようとする事を悟ったのか、コトネさんの手から逃れようと緑カボチャは震えて動き始める。どういう仕組みなのか、下へ逃げようとコトネさんを引っ張っている……念動力的な?

 さっさと斬らないといけないので追いかけ、刀を振り下ろす。あっさりと緑カボチャは2つに割れ、消えていった。


「案外すんなりだな……?」


「助かりました……見つけるのが難しいからですかね?」


 若干拍子抜けに思いながらも、これで倒せたはず。何か崩れる様な音がするのでそちらを見てみるとカボチャの山が崩れ始めている。カボチャは消えはしないのか。


「はあ……お疲れさん、マスター……」


「ああ、モモのおかけで……どうなってんだ?」


 モモが声をかけてきたが、何故かぐったりとしたクローナとウリエルを背負っている。バフはかけているみたいだが、それでも2人分は流石に重そうだ。


「散々力を使ったせいで、バテてるのさ。今の状態だと自分の力で出力を賄うしかないからねぇ……1人頼むよ」


「ああ、分かった」


 モモからクローナを預かり背負う。意識は普通にある様だし、呼吸も普通……単に疲れて力が入らないみたいだ。


「すみません……」


「いや、核が飛んできたのは2人のおかげっぽいし……」


「さあ、そろそろ逃げないとだね」


「え、何故でしょうか?」


「そりゃ、主人を倒したんだから……崩れるだろうさ」


 モモがそう言うと、何も無い所、恐らくは空間に罅が入り始める。何やらこの場所全体が振動し始めた様な……こういう展開かあ。


「何処に逃げるんです……!?」


「それは……ああ、あっち」


 モモが指差した方向は、同じく罅割れてはいるが、入ってきた時のカーペットが見える。そういえば、入ってきたのはあの方向だった様な……なるほど。

 兎にも角にも、急いで出ないと死ぬのは間違いなさそうなので、全力でそちらへと向かう。この場合1番足が遅いのはコトネさんなのだが……流石に2人を背負うのはステータスより体積的に邪魔になるので頑張って走ってもらうしかない。

 罅割れた空間を抜け、カーペットの上を走っていく。その空間は行きと変わらなかったが、所 所々罅割れ始めており、猶予があまり無い事を知らせてくる。


「そういや、結構歩いたよな!?」


「間に合いますか!?」


「さあどうだか!とりあえず走りな」


「えー……!」


 確かにその通りだけど……プレイヤー全員走らされているのだろうか。そのまま走っていると、前方に罅割れて外が見えている空間があった。移動した距離は行きほどでは無いが、まあそんなに走らされても困る。


「あれだ、あれ」


「や、やっとですか……」


「出口だ」


 走る速度は上がらないが、気持ち急いでその罅割れへ飛び込む。特に問題は無く、出た先は、塔の入り口部分だった場所。しかしそこに塔は無く、また全員出たと同時に罅割れも消えていった。


「はー、出られた」


「これで一件落着でしょうか」


「どうだろうなあ……何だこれ」


 いつの間にやら、足元には膝ぐらいの高さまである壺があった。装飾は細かく、派手……と言うには一歩足りないぐらいの物だ。何だこれ?


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