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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第一章 少年は舞台へ、歯車は揃いゆく
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第二十四話 遭遇、そして邂逅 二


「まあいい、所詮外来種。1匹が喚いたところでどうにでもなるか……我が名はガブリエル。七天の1人である私に屠られることを光栄に思うが良い」


1匹ってなんじゃ、1人って言えや。てかガブリエルってゲームとかだと大ボスクラスの超有名どころじゃん。うん、勝てる気がしなくなってきたわ。七天……七大天使とかかな?男……ガブリエルがそういうと水なのか液体状の何かが男の周りへと集まっていく。液体操作か?攻撃方法はいくつか思いつくけどヒントが液体だけじゃ選択肢が多すぎる。


「そこの探索者、死にたくなかったら早く逃げることだね。死にそうになっても私は助ける気はないよ」


意外と優しいね悪魔さん。助けないのは本当だろうけど。クオリティが高いおかげで表情豊かだから細かいニュアンスが伝わるから助かるわ。さて、切り替えよう。素材の恨み。攻撃はなるべく【朧流し】で受け流すとして広範囲はな、なるべくダメージが少なくなるようにするしかない……どうやって?……未来の俺任せた。幸いなのか、あの天使は俺に全く興味がないようなので、うまく隙をつき【貫牙剣(アウラ)】を叩き込めるかどうか。準備が整ったのかガブリエルの周りに集まった液体の動きが激しくなる。なんか思ったより量が少ないな、いや少ないに越したことはないがああいう能力はここみたいな水分が少ない場所でもそれなりに集めたりするものだが……もしかして液体そのものが特殊なのか?ただの液体と思わない方がいいか……酸性とかやめてくれよ。


「『マレノストルム:スパエラセカーレ』」


 ガブリエルを中心に放射状に相当な速さで一帯を切り刻んでいく。右、上、左、左下、右、また右……【朧流し】を使いながらであればギリギリ避けられる!レベルが上がってるおかげでなんとか攻撃を視認できる。しかし数が多いくせに一撃が重い……!相も変わらず俺には興味はないのか女悪魔の方が心なしか密度が高い気がする。女悪魔は魔法系なのか氷や土で盾を生み出しながらガブリエルの攻撃を凌いでいる。合間を縫って攻撃しているがガブリエルの周りに残った液体が完全に防いでいる。防御力高すぎないか、アレ。女悪魔が生み出す盾はほぼ意味をなしていないが動きは俺より速いので回避するのは問題無いのだろう。魔法系ならそこまで身体能力は高くないはずだが、バフのエフェクトが見えるので効果の高いバフが使えるのか。まあわざわざガブリエルが戦っているぐらいだ、悪魔の方も多分有名どころ……七大悪魔とかなのかな、そこまで詳しくないからどれかは知らん……もしかして割とチャンスなんじゃないか?俺に興味が無さすぎて女悪魔ばかり注意が向きすぎているため、俺に対する攻撃の密度がとても小さくなっている。今なら後ろから狙える……!偶然か、こちらの狙いに気づいたのか女悪魔の反撃の派手さが増してきている。俺への攻撃自体は無くなったわけではないのでヘマをしないように注意しながら近づいていく。


「【貫牙剣(アウラ)】」


 声で気づかれないよう少し離れたところでスキル名を唱える。ほとんどの攻撃はオートなのか俺が近づいても気づく気配はない。あと約5メートル!カスダメ覚悟で思い切り駆け出し一応見えているガブリエルの首を狙う。


「っ!!!『スパエラドゥールス』!」


 チッ……ここで気づくのか!だが液体を集めて全面防御にしたのは愚策だ!アイアムハムスター(?)!駆け出した勢いのまま球体に向かって刀を斬りつける。中が見えない上に球体が割とでかいため俺の持っている刀の刃の長さじゃ上手く届いているか分からない。こういう時カリファが持っていた大剣みたいなのがあれば一刀両断なんだけどな。更には液体なせいで斬れてはいても形が崩れないので判別しようがない……球体が震えてる?


「……!あんた!!!今すぐ離れなさい!!!『グレイシアマジェスタ』!」


 女悪魔が俺に警告し、俺は即座に後ろに飛び跳ねる。女悪魔の魔法でガブリエルは球体ごと大規模な氷で閉じ込められたが、一種の後に内側から爆発したがごとく粉砕された。さっきの振動は爆発の前兆だったのか……助かったわ、あの人……人?まあいいや、結局助けてくれたな。


「『スモークインシステント』」


 うお、なんだ……ただの煙?あ、煙幕か。多分女悪魔の魔法か。この隙にとりあえず身を隠さないと。この煙が無くても視界が悪すぎるし、次はちゃんと考えないと多分すぐにやられる。


「ほら、こっちだよ」


「うん?」


上手いこと窪地になっている……いや魔法でしたのか。敵意は無さそうなので急いでそこへと向かう。


「あんた、意外とやるねぇ……まさか天賦獣のスキルを持ってるとは」


「天賦獣?」


「ん?……ああ、なんだっけ探索者は確か……エ、エクストラモンスターって呼んでるんだっけ?」


 ああ、NPC側の呼び方か。モンスターとかも魔物とかって呼び方してるらしいし、エクストラモンスターもあって当然か。


「こりゃ良いのを見つけたかもしれないねぇ……あんた名前は?」


「コウだけど……あんたは?」


「アスモデウス、よろしくね」


 わーお、案の定こっちも有名どころォ。というか大罪系なんだろうなあ。色欲か。他のゲームやら漫画やらだとやたら露出が激しいイメージがあるけど、そんなことはない……まあこのゲーム一応全年齢対象だからな、VRの規定で結果的には10歳以上だけど。


「どこだァ!!!外来種の羽虫如きが私に傷を負わせるとはァ!!!害獣なんぞの能力でェ!!!」


 おお、荒ぶっておられる。一応傷をつけられたようで何よりだ。それにしても害獣か……エクストラモンスターのことだよな、これもプレイヤーと同じく元々居なかったとか?俺考察はあまり得意じゃないんだよなあ。ショウにでも聞いてみるか。あいつ天使や悪魔知ってるのかな……ガブリエルの姿は煙のせいで見えないが、液体を集め直したのかやたらめったらに辺りを破壊する音が聞こえる。あれ、遠のいてない?


「アハハ、あいつ私たちとは逆の方向へ行ってるよ、おかしいねぇ……これからどうするかい?」


 これからか……1つとはいえ素材を台無しされた恨みはまだ残ってるから1発叩き込むぐらいはしたい。完全に言動が小物っていうか悪役だから倒しても問題無いと思う、うん。


「撤退って顔じゃないね、ますます好……ン゛ンッ、とりあえずこっちに気づいてないうちに色々教えておこうか」


 アスモデウスの説明によるとガブリエルが操作している液体は「聖水」……めっちゃ凶悪だが一応「聖水」だそうだ。といってもよくある対アンデットのそういうやつとかではなく、普通に武器名だそうだ。見た目は完全に水だが、これまでの通りただの水ではなく恐ろしいまでの硬度というか強度を持っている。そのおかげで先程のような全方位攻撃や防御形態を取ることができている。そんな強度を持っているが液体状なのでどんな形にも変えることができその勢いを持って横向きの渦巻きや俺の素材を台無しにした雨のような攻撃もできる。形が複雑なものは作るのに時間がかかるそうだがそういった攻撃をしてくることはほとんどないらしい。周りに置いているのは圧縮しているので無尽蔵のように思えるが幸い体積は一定なのと操作範囲が決まっているので広範囲の避ける隙間のない攻撃はできないそうだ。魔法で蒸発させたり凍らせたりして動きを鈍らせたりできないのだろうかと思ったが、いわゆる魔法抵抗力みたいなものが恐ろしく高いらしく魔法で攻撃を相殺すること自体は高位の魔法であればできるそうだが液体自体への干渉は不可能らしい。ガブリエルの武器自体を封じるのは無理筋か……なんとか避けて攻撃を届くようにしないといけないわけか。


ガブリエルの詠唱的なもので『マレノストルム』が無いものと有るものの違いは出力の差です。

毎回あると消費がすごいので簡略化しています。

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