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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第一章 少年は舞台へ、歯車は揃いゆく
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第十九話 路地裏ってそう言うイメージあるよね


 あれから数日、コトネさんと一緒にフィールドを回ったりしていたがなんとなくやる事がマンネリ化してきてレベル上げなどやるべき事はあるがやりたい事があまりない。コトネさんが何かやりたいことがあればそれを手伝うのも良いかなと思っている。


「あ、あのそれなら一緒に王都をま、回りませんか?」


「あ、それも良いですね、何か良いショップみたいなのも見つけられるかもしれませんし」


 観光か、アインシアは色々回ったがツヴァイアットもドライタルも大して回っていないし、フィーアルに関しては行っただけだからな、この国の首都だからクエストのきっかけとか色々と発見もあるだろう。 クエストは条件を満たせばPKみたいな特殊な場合を除いて全てのプレイヤーが受けられるものと、条件がとても様々で出くわしたその時しか受けられないいわゆるユニークの様なものがある。後者は内容も報酬もピンキリでただのお使いから金持ち関係だったり極少数だがエクストラモンスターと関わるクエストもあったらしい。更には中断ができないので途中でログアウトして数時間経つとそのまま時間が経過していてほぼ失敗となるようだ。なので余程時間に追われてない限り進めることを推奨されている。知り合いが受けたお使いのクエストが回り回ってエクストラモンスターとの戦闘になったと前にショウが言っていた。というわけでただ王都を回るだけでもなにか特別なことがあるかもしれないので、そういう時間も重要だろう。

 王都は王城を中心に円形に、いわゆる貴族街みたいな高級地、商業地、住宅地となっている。大体のクランの拠点は住宅地にあるがトップクランの一部は高級地に拠点を持っているという。土地代やら建設費やらで莫大な費用がかかるのでまさしくトップではないと成り立たないか。高級地は防犯の関係で衛兵が見回っており、基本的に関係者しか入ることができないので俺達は商業地を回っている。住宅地も見る所がないわけではないが商業地の方が発見も多いと思ったからだ。ちなみにあの喫茶店は高級地寄りの土地なので費用も結構かかってそうだ。

 色々と移動して今は市場のような所を見ている。食材が多いゾーンで現実に存在するものからいかにもファンタジーといったどう調理するのか分からないものもある。食材がメインだからかプレイヤーの姿も少なく、微妙な時間帯なのもあって住人の姿もまばらだ。そうして2人で進んで行くと路地裏へと続く道から何やら声が聞こえてきた。


「ほら大人しくしろ!取引を見ちまうとは運の悪いガキめ」


「むーーっ!むーーっ!」


「……見た目は普通だが買い手はいくらでもいるだろう、早く連れてくぞ」


 わあ厄介ごとだあ……テンプレみたいな状況だな、さてどうしようか1人なら助けに行くがコトネさんがいるので一応聞いてみないと。しかしこの状況なら大概の人は……


「コ、コウさん!助けに行きましょう!」


 となる。まあこの状況で見ぬふりできるのは余程情が無いか所詮ゲームとしか思ってないプレイヤーだろう。あ、クエストの表示が出た。OKを押してっと。


「分かりました、俺が攻撃するので、コトネさんは子どもをお願いします」


 おそらくNPCだが相手の強さが分からないのでとりあえず子どもの救出優先で考える。最悪近くの衛兵や、詰所を頼ればなんとかなるだろう。


「な、なんだお前ら!」


俺を先頭にそいつらの所へ突っ込んで行く。いきなり殺すのは躊躇わられるので鞘付きで子どもを抑えている男を優先して刀を叩きつけていく。3人いた内の2人は直撃したが、リーダーっぽい男は初撃を避けられたので腹に本気で叩き込むと壁に吹っ飛んでいき動かなくなったので多分気絶したのだろう。子どもも男の手から離れ無事にコトネさんが保護した。


「くっ、くそ!」


あ、1人逃げた!もう1人は倒れて打ちどころが悪かったから気絶したのか。もう少し力入れても良かったな。


「コウさん、こっちはいいので追いかけてください!」


 確かに2人は気絶してるし衛兵呼べばコトネさんでも……コトネさんその縄いつの間に用意したの何想定?いや、実際役に立ってるからいいけど。とりあえず逃げた奴を追わないと。逃げた奴は裏路地を上手く進んで行く。あっちは土地勘があるがこっちは無いのでステータスは恐らくこっちが高いので離されないように追いかけていく。なんかこっちを撒こうというよりは目的地があるような逃げ方だがどこに向かっているのだろう?まさか本拠地に逃げてるわけじゃないよな?流石にそこまで馬鹿じゃ……ああ、強い奴がいて追いかけてきた俺を殺せばなんとかなるとかか。どうせ犯罪者なので最悪エクストラスキル使えばいいか。少し経つと男は階段を降り半地下にある扉を開け入っていった。いきなり突入するのは不味いので扉の近くに立ち中の様子を伺う。


「た、大変だ!ダニーとウェットがやられた!」


「なんだと、取引がバレたのか!?」


「い、いやガキ2人が邪魔してきて……1人は追いかけてきてる!」


「お前そのまま戻って来たのか馬鹿!チッ、全員武器を持て!全員でかかれば殺せるだろ!」


 うーん、準備が整う前に押し入った方がいいな。多分大した奴いないみたいじゃね話の内容的に。とりあえず突撃だ〜。


「お邪魔しまーーす!」


少し助走をつけて思い切り扉を蹴り破る。壊れた扉は飛んで近くにいる男に勢いよく当たっていった。


「お、お前らかかれ!全員でいけば……!」


 剣やら槍やら棒やら持ったガラの悪い男たちが一斉に襲ってくる……動き遅いな、NPCもちゃんとジョブシステムあったはずだけど鍛えてないのか?クエスト内容からこいつらが犯罪者集団なのは確定なので容赦なく鞘付きの刀で叩きのめしていく。うーん、レベル差による無双は好きだけどこれはなんか違うなぁ。


「折角、大金が手に入るチャンスだったのに……!」


 大金?取引とやらのことかな……10数人いたが特に問題なく制圧することが出来た。1人ちょっと動きが速い奴がいたがほぼ誤差だったな……他にも攫われている子が居るかもしれないから、ちょっと探してみるか、こいつらしばらく起きないだろ。そう思い、部屋の奥の扉を開け奥へと進んで行く。途中に部屋がいくつかあったが武器が乱雑に置いてあったり怪しい木箱が置いてあったりするだけだった。この辺は衛兵とかに任せよう。廊下の突き当たりに地下への階段があったので降りていく。意外と広いなここ、どういう建て方になってるんだか。地下は牢屋のようになっていて攫われてたとおぼしき子どもたちが数人いた。


「お、お兄ちゃん誰?上の人たちの仲間?」


 子どもの1人が俺に聞いてくる。あいつらと明らかに格好が違うので疑問に思った様だ。


「あー、俺はたまたま助けに来た人だ。上にいるチンピラどもは倒したから安心していいぞ……他にいないよな?」


 助けに来たと伝えると一気に安心した空気になる。チンピラは今は上にしかいなかったとのことなので残党はいないだろう。鍵が見当たらないので後ろに下がってもらい錠を切ろうとしたが1回で切れなかったので【貫牙剣(アウラ)】を発動。スパスパ切れるね!奥の牢屋にも誰かいると子どもたちが教えてくれたので確認してみると他の子ども達とは明らかに服の質が違う、王女とは言われても通じる様な美少女がいた。


「ふむ、何やら騒がしかったが、もしかして助けに来てくれたのか?」


「あ、ああ。ちょっと後ろ下がっててくれ」


 まだエクストラスキルが切れていないので錠を切断、足に鎖が繋がれていたのでそれも断ち切る。丁度刃が入る隙間があったので元から切ることができた。この程度なら刃を当てるだけで切れるから便利だな。


「おお、お主の刀はすごいの。綺麗に切れておる……助けてくれてありがとう。わらわはセフィロシアス王国第三王女シャーロット・セフィロシアスじゃ」


 おお、小さいのに綺麗なカーテシー……いや違う違う。本当に王女だった!もしかしてチンピラが大金言ってたのは身代金か?あいつら意外と有能だったのか?いやたまたま攫えたとかだろう……普通護衛がいるんじゃないか?


「えっと、よろしければなぜ攫われたのかお聞きしても?」


「わらわは第三王女だから大した力もないし、お主は命の恩人だからな、かしこまらなくても大丈夫じゃぞ……趣味の城外散策をしてたら衛兵に見つかっての、撒いていたら裏路地の奥に入りすぎて後ろから近づいて来た人影に気づかなくて、そのまま……というわけじゃ」


 それ趣味っていうかただの脱走じゃね?10歳ぐらいに見えるのに衛兵撒けるって凄くないか、NPCがジョブに就くのって15歳ぐらいって聞いていたが。あとチンピラはたまたま見かけて攫ったんだろうな、運が良いのか悪いのか……悪いんだろうな俺に倒されているから。


「とりあえず他の子どもと一緒にここで待っててくれるか?上で気絶してる奴らをふん縛ってくるから……縄ぐらいあるだろ」


「そうか、気をつけての。わらわが心配する必要もないじゃろうが」


 さて、上に行って縄でも見つけるか……あれ、駆け降りてくる音が聞こえる。もう起きた?いや、結構強めにぶちのめしたからそう簡単に起きてこないはず。一応いつでも刀を抜けてるように手を添えると降りて来たのは動きやすそうな軽鎧をつけた女性だった。格好的に多分衛兵とか秩序側の人か。


「む、まだ残党がいたのか……シャーロット!ここにいたのか!おのれ、隠し通路は既に割れている!潔く散るがいい!」


「え、ちょ、ま……」


「あ、姉様その者は……!」


「【セイバー・カルミネイト】!!!」


 高威力技ぁ……!あれ、俺人助けしたはずなんだけどなあ?感覚的に頭吹き飛んでる気がするわ。なるほど冤罪はこうやって生まれるのか。抵抗する間もなく女性騎士の攻撃によってHPが全損し、視界が暗転した。もれなくデスペナルティである。



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