表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第七章 海だ!島だ!雲外蒼天。
180/289

第九話 大瀑布


 翌朝、旅館の1室である。部屋の様子を確認すると、モモとクローナは起きており、アポロさんとショウは既にログインしていた様だ。数分もすれば、約束の時間が近くなるので全員揃った。


「じゃあ早速行こうか」


「そうですね」


 早速船に乗り、次の目的地の島へと向かう。次のお題は大瀑布という事なのだが、今までと違い目的の物が書かれていない。


「まあ着けば分かるでしょ」


「想像は何となくつきますしね」


「楽だと良いんだけどな……まあそれは無いか」


「苦労した方が宝が……多くなるんでしょうか?」


「さあ?」


 そして着いた島はジャングルと普通の森を足して2で割った様な感じの植生だった。こういうのは何でいうんだったんだっけな。地形は船をつけた側から見ると、向こうに行くにつれて上がっていく様な感じだ。目的の大瀑布は木々の間から若干見えている。大部分は木で隠れているが、何となくの距離感からして、相当な大きさなのが窺える。大瀑布というのは間違っていないのだろうな。


「思っていたより数倍でかそうだね……」


「本当に大瀑布ですね」


「まあ目的地が分かりやすくて良かったよ」


「ああ……というか、地形が無理矢理すぎるな」


 滝の上は見えないが、地図からして島の大きさはそこまででは無い。その為上にあるのはちょっとした湖ぐらいのものだが、そこからここまでの水が流れて尽きないのだろうか。下から湧いてはいるのだろうけど、想像するとその量は大分えげつない。

 ポンプでも仕込んでいるのではないかと思うレベルの無理矢理さに思えてくるが……まあそんな事はちょくちょくあるし、良いか。ファンタジーに理屈を詰め込むとつまらなくなる。リアルさがある分、考えてしまうのだから、あんまり気にしない様にしよう。こちらはお題をクリア出来ればここにはもう用は無いのだ。

 みんなでさっさと滝の方へと向かう。少し進むと川が見つかったので上流へと進む。まさか関係無い川ですという事は無いだろう。道中はモンスターと遭遇する事もなく、平和そのものだった。この島にはモンスターは出現しないのだろうか。強いて言えば、そこまでレアでは無いけどあって損は無い植物系のアイテムを見つけた事ぐらいか。

 数分歩いていくと開けた場所に出た。島の大きさの割に滝が大きすぎるので、陸地は結構少ない。開けた場所もほとんど滝壺が占めているので、自由に動けるのはその外周だけだ。そこには同じお題なのであろうプレイヤーが大勢いた。この人達は何個目のお題なんだろうな。


「さて、着いたわけだけど……」


「ここからどうすれば良いんでしょうか?」


 周りのプレイヤーも何となく立ち往生している様な雰囲気を感じられる。これはどうしようもないのか、それとも俺達と同じでどうすれば良いのか分からないだけなのか。さて、どうするかな。


「ん?あー……滝の向こうに何かあるねぇ」


「マジか……モンスターじゃないよな?」


「いや、何かこう、手の平サイズの何かがゴロゴロと」


「ゴロゴロ」


「魔力をまとっているみたいだけど、まあ害は無いだろうね。あれじゃない?」


「まあそうだろうな……」


「でもどうやって行こうか?」


「そうだよなあ」


 大瀑布があるため向こうに行こうにも大量の水に押し流されのは必至だ。馬鹿正直に突っ込んでいった所で、無残な状態になるのは当然か。そもそも泳いでいくのは明らかに無謀だろうし。場所は分かったが、何にせよそこまで行く方法が分からない。


「どう行くかとか分かったりとかしないか?」


「さあねぇ、そっちの方向で調べるには少し遠いし」


「じゃあ、もう少し近づくか」


 魔力を辿るのでなく、地形を把握する場合はモモでも届かないか。ショウはいつもの如く他のプレイヤーから情報に集めに行った。俺はモモと滝に近づいて探査、そして他のメンバーは待機だ。どれも大人数で動く事では無いからな。

 滝の方に近づいてみると、水飛沫やら音やら衝撃やらが凄い。人工感が凄かろうが、迫力自体は変わらないか。規模が大きいせいで近づくにも時間がかかったし。


「それでどうだ?」


「……、……!」


「ああ!?」


 何が分かったかとモモに尋ねてみるが、滝の音がうるさ過ぎて全く聞こえない。耳元で叫ばれると、薄らと声が聞こえるが……何を言ってるかは分からなかった。運営さん、こういう所はゲームしてないのね。とりあえず離れるしかないと思ったら、モモが何やら魔法を使った様だ。


『あ、あー……聞こえるかい?』


「聞こえる聞こえる、そっちは?」


『双方向に設定したから大丈夫さ。距離が近いから楽だねぇ。まさかこんな場で使うと思ってなかったけど』


「そうか……それでどうだった?」


『ああ、あっちにそれっぽいのがあるみたいだよ』


「マジか」


 よりにもよって反対側か。運が無いな。詳しく聞くとそれは滝の裏にあるらしく、道の様にはなっているが、本流程では無いにしても水が落ちているからまともに渡れる感じでは無い様だ。流石に発見しても無策で進める様にはしていないか。こうして判明するとは、やっぱりモモは頼りになるなあ。まあ、これでどうするべきか分かったな。


「という訳で、行ってらっしゃい」


「まあそうなるよね」


「お気をつけて」


 全員と合流した後、事情を説明した。まあ絶えずダメージを受けそうな環境に向いているのはショウぐらいしかいない。それに加えて、コトネさんも同行する。目的の物がある所までは少し道が長いみたいなので、ショウでもHPが持つかどうか分からない。ポーションを飲もうにもその余裕があるかどうか分からないしな。コトネさんは盾で守れば良いし、まあその方が何とかなるだろう。モモのバフも加えれば、特に問題は無いはずだ。


「じゃあ行ってくるよ」


「頑張ってな」


 滝の方へと進む2人を見送る。ショウは盾を上に構え、滝の裏へと入っていく。ショウの盾が大盾で良かったな、2人が丸々入れるからな。


「大丈夫でしょうか……?」


「まあ、無事を祈って待つしか無いし……モモ達はどう見る?」


「まあ大丈夫じゃないかい?これ以上は特に無いだろうし」


「そうですね、力任せな感じはしますけど、こういうものかと」


 まあ駄目なら駄目で他の方法を探せば良いだけか。普通に考えると、この方法で失敗するともれなく2人がデスペナを受けるのだが……しょうがないよな。

 特にやる事も無いので雑談をしながら待っていると、20分程で帰ってきた。HPは結構減っているみたいだが、5体満足、大した傷は無い様だった。


「おう、お帰り……無事みたいだな、どうだった?」


「コトネさんがいてくれて助かったよ……ポーションは駄目だね、飲む余裕無かった」


「目的の物は手に入れましたよ」


 そう言ってコトネさんは懐から1つの石を取り出した。早速紙に近づけると、反応したので、クリアだという事が判明した。新しく浮かび上がったのは、「南東、遺跡」だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ