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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第七章 海だ!島だ!雲外蒼天。
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第八話 都合が良いに越した事はなく


 今回も時間がかかりそうなお題だと思ったら、モモからとんでもない発言が出た。詳しく聞けば、マンドラゴラの麻痺効果はモモとクローナ……というか、天使と悪魔には効かないらしい。ご都合主義ここに極まれりと言った感じだな。まあこちらとしては願ったり叶ったりの展開なので問題無い。都合の良い事は都合の良い事だ。


「まあ、抜く前に見分けはつかないのですが」


「いや、それでも十分に凄くないか……?」


「硬直しないんだったら、ハードルが下がるどころじゃないんだけどね……」


「じゃあ早速採るか。マンドレイクを……8本か」


「1人4本ですね」


「あー……頼んだ」


 棚ぼたすぎるが、まあ楽が出来るなら良いか。2人は手近な所から抜き始めた。マンドレイクの数は少ないみたいで、出るのはマンドラゴラばかりだ。距離が近かったせいでクルトが影響を受けたので、少し離れる。硬直するとそうなるのか。


「音量が凄いですね……」


「我慢しようと思えば出来そうなぐらいなのが逆に面倒だな……本来も確率低いのか?」


「うん、大体2割ぐらい……ここも同じみたいだね」


 抜いた時の叫び声は凄まじく、耳を塞ぎたくなる程だ。確かにモンスターも寄ってきそうだ。ここは野生のモンスターはいないみたいなのでありがたい。モモとクローナは平然と抜いているが……あれは耐性ではなく魔法で何とかしているのだろう。マンドレイクも抜き始めたので、人数分揃うのは時間の問題だろう。


「そういえばここ、安全に採れるならメリット多くないか?」


「そうだね、いつの間にかリポップもしているみたいだし……まあ流通自体は普通にしているから、そこまで値崩れとかは起きないだろうね。抜くのがただ面倒ってだけだし」


 金儲けが出来る可能性があるかと思ったが、そんなに上手くはいかないか。数が少ないという訳でも無いらしいからただ厄介なだけなのか。

 そして10分程すれば、1人4本、合計8本のマンドレイクと山程のマンドラゴラを持った。


「ほら、これで足りるだろう?」


「ああ、助かった、ありがとう。いや本当に助かった……」


「こんなすぐに集まるなんて……」


 ただ待っているのもアレなので、少し抜くのを試してみたりもしていた。だがまあ、案の定硬直し逃げられていた。1回クルトがマンドレイクを引き当てたのだが、同時にアゲハがマンドラゴラを抜いてしまい両方に逃げるられてしまうといった事件も起きたりしていた。そのスピードは凄まじく、あの見た目の何処からあの脚力が生まれているのだろうか。結局の所、本来なら時間がかかる所をここまで短縮出来たのは2人に感謝しかない。


「この時間短縮はでかいな」


「そうだね、一晩中断しても挽回出来るレベルじゃない?」


「とりあえず次のお題の確認だけでもしましょうか」


 まとめた8本のマンドレイクに、紙を当てる。これで良いのかなと思ったが、光り始めたので大丈夫な様だ。次に紙に浮かんだお題は「北東、大瀑布」だった。


「大瀑布?」


「滝を何とかするというよりは場所でしょうね……流石に」


「まあそうだよな」


「まあ行ってみれば分かるだろうけど……帰ろうか」


「そうですね」


 良い時間なので、一旦旅館に帰る。屋敷に帰るのは時間がかかるのでイベントに集中したいなら確かに効果的だ。

 大量のマンドラゴラに関しては、モモが料理に使うらしい。食用なのは確かな様で、元の見た目を気にしなければ結構使えるらしい。

 旅館の部屋でログアウト。モモ達はテキトーに彷徨く様だ。




 さてログアウトした訳だが、色々と支度を済ませ寝ようかと思ったタイミングで翔斗から電話がかかってきた。


「どうした?」


『いや色々情報手に入れたから話しておこうと思ってね』


「珍しいな、そういう情報ならまとめて話すタイプだろ?」


『い、いやこういう時もあるよ?まだ起きてたし大丈夫でしょ?』


「まあそうだけどな」


 珍しいが、無いという訳ではないので損は無いし聞いておこう。早めに聞いておけば何か思いつく事もあるだろうしな。


「それで、何だって?」


『ああ、それだけど……』


 まあイベント関係の事と言っても、進行に関わる様な重要な情報では無いらしい。

 分かっている事は、それぞれの組に配られているお題は完全ランダムらしい。何処かのパーティで1つ目に出たお題が、他のパーティでは4つ目に出たとか。難易度は上がっていくのは間違いないが、概ねという事か。まあモモ達のお陰でマンドレイクの件をあっさり解決した様に、一般的な難易度で上がっていくから、向き不向きは関係無いという事だろう。

 詳しい検証は無理だろうが、統計は取れる……いや無駄になりそうだな。そこまでした所で、このイベントでしか役に立たないだろうし。復刻するならまだしも、そういう事はこのゲームだと無さそうだ。


「じゃあランダムならこの先何が起こるか予測するのは難しいのか」


『そうだね、お題が全て分かっているならランダムでもどうにか出来るだろうけど……そもそも何をすれば良いのかは分かり易いし、そうなるのは大分先だろうしね』


「今は関係無いな……」


『後は……』


 その他に分かっている事は、組によって基本の難易度が変わるのだとか。内容をアンケートしていたら分かったそうだ。そもそもがランダムなので、比較的という結果ではあるみたいだけど。確かに楽だったのもあったな。島が無数にあったのはその為か。色々な難易度を用意しておかないと最後まで辿り着けないパーティいるだろうし。

 俺達の所は……難易度は高めなんだろうな。パーティメンバーを考えれば、アポロさんにモモ達、翔斗も4次職だし俺はエクストラスキルを持っている。しかも人数は2パーティ分だ。この先厄介なお題が多くなる可能性は十分にある。失敗するとどうなるのかは分からないが、それはその時にしか対処出来ないか。


「あれ、難易度が違うなら難しいだけ不利じゃね?」


『ああ、そういう話が出たみたいなんだけど……多分、宝が価値に差異があるんじゃないかって結論になったみたいだよ』


「ああ、宝の大小……難易度はプレイヤーのレベルだろうし、そこはしょうがないか」


『まあ僕達がどうなるかは分からないけどね……とりあえずざっくり分かっているのはこんぐらいかな』


「確かに大した情報じゃ無かったな」


『あはは……じゃあまた明日』


「それじゃあな」


 用事は本当にそれだけの様で、通話は切れた。改めてそろそ寝ようかと考えると、また端末が鳴った。翔斗が何か伝え忘れた事があってかけてきたのかと思ったが、画面に表示されていたのは琴音さんの番号だった。電話をかけてくるのは珍しいと思いながら、電話に出る。


『あ、鋼輝くん、今大丈夫ですか?』


「あ、うん、どうした?」


『えっとですね……今はイベントで忙しいじゃないですか』


「そうですね?」


『それが終わって、ひと段落したら、その、買い物に付き合っていただけませんでしょうか……』


「はあ……はあ。あ、どっちの?」


『げ、現実の方です……!』


「なるほど」


 買い物、買い物か。いやそこは別に良いんだが……確かにイベントが終わった後なら暇だしな。


「買い物なら池田や翔斗の方が向いているんじゃ……?」


『あ、そういう訳では……』


「ああ、力仕事とか?」


『いえ、その父の誕生日が近くてですね、何か小物を送るつもりなんですが、男性の意見を伺いたくてですね』


「なるほど」


 それなら池田よりはまだ向いているか。はっきり言えばそういうのは翔斗の方が向いていそうだが、それは琴音さんも分かっているだろう。わざわざ俺にかけたなら、そういう事だ。趣味が似てるとかかな?まあ頼られたなら応えたいし、素直に応じる事にした。日時や場所については、イベントが後に決めようという事になった。とりあえずはイベント進めないとな。


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