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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第七章 海だ!島だ!雲外蒼天。
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第五話 達成


「また森か」


「そうみたいですね」


「まあ島の規模はさっきのより小さい……ああ、けど2つだから結局はどっこいかな」


「とりあえず狼を探さないとですね」


 早速森の中へと入っていく。お題は「青い印の狼」。印というのがどういう風についているのかは分からないが、目立つのは間違いないだろう。だが島2つ分に、狼というなら群れがいる可能性もある。その内の1匹を探すのは中々に骨が折れるだろう。対象も移動しているだろうし。

 今回も一応2手に分かれていて、お題の紙は俺が変わらず持っている。どちらが持っていても変わらないだろうとの事だ。


「さて、そっちはどうだ?」


『いや特に何も……狼のモンスターはいたけど、青い印が入っている個体はいなかったし。そっちもでしょ?』


「そうなんだよなあ……」


 1つ目の島と同じく、何の関係の無いモンスターも出現し、それに加えて暗緑色の毛の狼も出た。気持ちモンスターのレベルも上がった様な気がするのでクリアしていく毎に難易度が上がるのだろう。

 強いて言えば、プレイヤーとすれ違う回数が多い。本当に多い。何ならモンスターと遭遇する回数より多い。


「見つける難易度が高いという事でしょうか……?」


「さあ……けど奪い合いになりそうで困るな」


「マスター、前方に」


「ああ」


 クローナに注意されて目を凝らすと、狼が……5頭。毛の色もあって景色に溶け込むから厄介だ。目的の個体はいないから戦う必要も無い。幸いこちらには気づいていない様で無事切り抜けられた。


「あの群れにはいなかったですね」


「また外れでしたね」


「どこにいるんだろうなあ……一々島全域探さないといけないのはな」


「ショウさん達も群れはいくつか発見したみたいですけど、お題の個体はまだ……」


「だろうなあ」


 あっちも相変わらず進捗は芳しく無い様だ。青い印といっても、元からそうなのか、発生条件があるのかは分からないし、手探りでいくしかない。流石に戦闘は条件にはならないだろうし。戦闘音で多少目立つからな。他のパーティが寄ってきた事もあったし、万が一取り合いになると面倒だ。流石に横取りする悪質な奴がいるとは思わないが。


「……見つかりませんね」


「まあそう簡単に見つかっても……いや見つかった方が良いな」


「この場合2つ目の島にいるとかですかね?」


「そっちかあ……」


 もうすぐ1つ目の島を探索し終えるが、目的の狼は見つからなかった。更に進んでいくと、橋が確認でき、同時にショウ達の姿も確認できた。まあ半分ずつ担当したし、同じタイミングなのは当然か。


「タイミング良いね、見つからなかったけど」


「とりあえず2つ目の方に行くか」


「あの橋……きちんと整備されているみたいですけど、旅館の人達でしょうか?」


「そうじゃないでしょうか?」


 まあそれしか考えられないが。光景を想像すると何となく面白いな。いや魔法があるのだからこの規模の橋ならどうにでもなるか。まあそこら辺を気にしても仕方が無いので早速渡って行く。流石に重量オーバーだったり、そのせいで橋が落ちるなんていう事態は起こらなかった。下から襲撃なんて事も無く、無事に渡りきる事が出来た。

 橋の端の周りは砂浜になっており海が近い。改めて見ると若干不思議な立て付けの橋だ。まあ高さがある訳でも距離があった訳でも無いのでそこは無視して良いとして……今はイベント中、そして島には普通にモンスターが出る。という事はつまりだ。


「そりゃ出るよね……」


「回避は……出来なさそうですね」


「まあこっち向いてるからなあ」


 何時ぞや見たイベント限定モンスター。村には出なかったが、この群島には出るのか。5匹程いるが、その全てがこちらを向いて敵意を滲み出している。まあ逃げるよりかはここで倒した方が良いよな。






 まあメンバーがメンバーなのですぐ倒せたのだが。そもそもあまりモンスターのレベルが高くはなかったので、全く問題無かった。スキルも使う必要無く、雑に急所を狙うだけで普通に倒せた。

 気を取り直して、2つ目の島へと入って行く。島の規模は1つ目と同じなので同じ様に2手に分かれる。そうして5分ぐらい進むと、前の方が騒がしい事になっていた。


「何だろうな?」


「プレイヤーの声でしょうけど……」


「とりあえず行ってみますか?」


 声の方向へと進むと、若干木の間隔が広くなって来た。そこでは背中に青い紋様が入った狼とプレイヤーが追いかけっこをしていた。その狼は中々に素早く、プレイヤーの攻撃を全く意に介さず避けている。仲間なのかは知らないけど、10人程いて1回も当たらないのは凄いな。


「凄い光景ですね……」


「入る余地が無いな」


「どうしましょうか?」


「周りの探索者ごと薙ぎ払いますか?」


「やめろやめろ、マナー違反だよ」


 そんな事をしたら後々のプレイに支障が出る。命が安いからといって、些末にして良いという訳ではない。宝探しで若干競争みたいになっているのだが、それはそれで最低限のマナーはあるはず。割り込むのは流石に無いと思い、どうしようかと考えているとショウの方から連絡が来た。


「どうした?」


『あ、こっち見つけたんだけど……多分そっちにもいるよね?』


「ああ、丁度目の前で狼と追ってるプレイヤーがいるな」


 何で分かったのかと思ったら、ショウ達の方で追いかけているパーティはこちらにいる狼の争奪戦に負け、移動した先でまた見つけたらしい。存在するのは1体じゃなかったのか。それなら介入する必要は無いけど、どうリポップするのか。ショウ達の方は、もう討伐したみたいで、事情を聞くそうだった。






 もう結果から話すと、1時間ぐらいで討伐には成功した。事情を聞いたショウ達によると、目標の狼は、今まで遭遇した狼の中から現れた様だ。争奪戦に負けたプレイヤーが移動していた所、遭遇した狼の群の中の1体に紋様が現れたとか。その後少し調査した所、また狼が討伐されたタイミングで新しい狼が発生したそうなので、数は固定だが、何処かの狼が変化する事が分かった。

 仕組みが分かったので、俺達は8人なので2ずつ4組に分かれた。モモとクローナはNPCだが、クルトとアゲハがそれぞれ付いているから大丈夫なはずだ。そも町の外だと一目ではプレイヤーとNPCの違いなんて分からないし。

 そうしてそれぞれ狼の群れを見つけ、粘っていると、アポロさんの方で変化したとの連絡が入り……駆けつけた頃には、もう討伐されていた。まあ辺りの木が軒並み薙ぎ倒されていたから斬撃を使ったんだろう。そりゃ当たるよな。

 まあ何にせよ、これでお題は達成したという訳だ。


「えっと?」


「あ、これドロップです」


 そう言ってアポロさんが渡して来たのは青い紋様がそのまま付いた狼の毛皮だった。それにお題の紙を近づけると、1つ目の時と同じく淡く光り、書いてある内容が変化していった。


「えっと……「北、駆ける馬」……か」


「あ、今度は捕獲って書いてありますね」


「今度は捕獲ですか……」


「じゃあ行きましょう」


「そういえばこの木大丈夫なのか……?」


「だ、大丈夫でしょう……多分」


 リポップするのかしないのか、まあその内直るだろう。北にある島もそこそこ広いみたいなので苦労しそうだな。


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