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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第六章 夏だ!海だ!漠漠濛濛。
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第二十五話 構造どうなってんの


 2枚貝が揺れていたのは10秒程の時間だった。丈夫さは思い知っているが、建物が倒壊するという事も無かった。しかし、揺れが起きた後の変化は如実なものだった。


「何だアレ……」


「蛇……いや龍ですかね?」


 この町もどきは円形になっているみたいで、その円周に沿う様に5体の細長い生物が現れた。霧のせいで詳しく見える訳では無いが、シルエットからして恐らく龍だろう。ヒレっぽい物も見えるからカテゴリとしては水龍とかその辺だろう。多分5カ所全て同じ見た目の個体……多分。何がトリガーになったはかは分からないけど、とにかく進展あったな。それにモモの言う通りだった。


「蜃気楼だけに、蜃を両方ですか」


「……どういう事で?」


「蜃は、蛤と竜の解釈がありまして……」


「そういう事か」


 解釈全部盛りみたいな感じかな。それだと、この貝とあの龍は繋がっているという事か?モモが別なのか何なのかよく分からないと言っていたのはこの事か……想像すると微妙に気持ち悪い。貝柱みたいな……いやそれだと外に出てくるのはおかしいか。

 とりあえず元ネタの話を切り上げて、これからどうするかを考えないと。


「それでどうする?」


「まあ確実にレイド戦だろうから、1番近い所に……あ、ブレス吐いた」


「もう戦闘は始まっているみたいですね」


「シルエットがどこも動いているので、そうみたいですね……」


 特に対象もいないのに、辺りを攻撃しているという事もあるまい。トリガーを引いたプレイヤーか、それともただ近くにいたプレイヤーか……どちらにせよ参戦はした方が良いだろう。量のレイドの次はボスのレイドか。長期休暇中のイベントだけあって中々に豪華だな。


「とりあえず1番近い所に行こうか」


「そうですね」


「じゃあ……あ、モモとクローナはどうする?」


「あー、控え目にしておくよ。目立つのは面倒だろう?」


「それは……まあそうだな」


「では私もそうしましょうか」


 これはただの配慮と取るべきか、それともNPCは参戦不可と取るべきか……まあ目立たない方が良いからどっちでも良いか。


「じゃあクルトもアゲハを頼む」


「分かったよ」


「分かりました」


「じゃあ4人ともお気をつけて」


「そっちもな……まあ2人がいれば大丈夫だろうけど」


 クルト達は最初に乗り込んだ場所へと移動する様だ。分かれた俺達も最寄りの龍の所へと向かう。


「やっぱり結構でかいな」


「2、300メートルはありそうだよね」


「大きいですね……」


 近づいているが、ちょっとやそっとじゃ動じなさそうなぐらいでかい。これが5体か……プレイヤーは大勢いるだろうけど、倒せるのだろうか。


「うわ、あれ軌道やばくね?」


「あー、こっち向いてるね……」


「いや移動しましょう?」


 俺達に攻撃しようとしている訳では無いのだろうが、確実に延長線上だ。もう目と鼻の先なので確実に当たるだろうな。攻撃の余波であろう、建物の瓦礫も増えてきたので範囲外という事もあるまい。というか、あの龍の攻撃なら壊れるんだな。

 薙ぎ払うタイプでは無く、直線タイプだったので、方向転換すれば普通に避けられた。そのまま龍の方へと向かって行き、プレイヤーが集まっている場所へと着いた。ここまで来ると、周りはほぼ瓦礫なので、見通しが良くなっていた。

足場は不安定だが、まあ慣れればどうとでも何とかなるだろう。龍は……やっぱり貝から生えているみたいだ。どうなってるんだか。根元が固定されているみたいだが、攻撃しやすいという事は流石に無いか。近づいたプレイヤーは動きに巻き込まれてダメージを受けているみたいだし。弓矢も弾かれている様だ。

位置が固定されていると言っても、闇雲に突撃するのは意味無しか。半端な魔法に至っては動きに関係無くかき消されているみたいだし。巨大さに見合う耐性は持っているという事か。


「うーん、物理も魔法も微妙だね……」


「時間がかかりそうですね……

「動きが止まるタイミングは分かりやすいですが、HPも相当あるはずですし、耐性も十分と」


「完全無欠……?単にタフなだけか、やっぱりギミックか?」


「どっちも考えられるけど……あ、アリサさんいた。ちょっと聞いてくるよ」


 ショウが見つけたのは、ポールスターのサブクランリーダーの人か。あの人がいるなら……流石にイプシロンさんはいないか。参加していないという事は考えづらいから、多分別の場所にいるのだろう。アリサさんは攻撃しておらず、クランメンバーを始めとした様々なプレイヤーと話している。とりあえず現状がどうなってるか確認しないとな。


「アポロさんはどうします?」


「一応様子見ですね……流石に私だけ攻撃しても意味無いですし、折角ショウさんが事情を聞いているみたいなので」


「そうか……あ、やば」


 じっとしていたこちらが悪いが、またブレスの軌道に入ってしまった。急いで移動し、難を逃れる。今回も標的が俺達では無かったから良かった。まだ攻撃していないとはいえ、戦闘範囲内でのんびりしているのが悪いか。そして数分もすれば、ショウが戻ってきた。


「何だって?」


「簡単にまとめると、あの龍に関してはダメージが入りにくい事ぐらいしか分かってみたい」


「マジでか」


「それに他の場所で傷らしい傷を与えた事があったみたいなんだけど、すぐに回復したってさ」


「また再生持ちか……」


 なんかボスは自己再生付けとけば良いみたいな事になっている様に感じる。最近似た様な事が多発していたせいだろうか?まあこれだとギミックなのは確定だろうな。解決するまでは死なない様にしないと。


「解決の糸口ぐらいは見つかっているんですよね?」


「うん。イプシロンさん達を始めとした合同パーティが、あの塔を攻略してるみたい。まあ他のプレイヤーも入ってるみたいだけど……それはそれとして、その調査が終われば何か起こるはずだってさ」


「じゃあ死なない様に逃げときゃ良いんだな」


「そうだね。それと、アポロさんがいるって言ったら、無いとは思うけど絶対に死なないで下さいだって」


「元より死ぬつもりはありませんが……分かりました」


「火力要員か」


 アポロさんの火力はそこらのプレイヤーと一線を画すからな。ボスを倒すならとても頼りになる。もしかしたら、あの塔に呼ばれるかもしれないし。


「それじゃ……またか」


 今度はブレスでは無く、身体を使った薙ぎ払いだったが。範囲が大分広かったので、数十人単位でプレイヤーが吹き飛んでいった。というか、未だに攻撃し続けているプレイヤーは何なんだ?情報が言っていないなら仕方が無いが……いや、検証みたいな事をしているなら止めるべきではないか。


「もっと離れるか?」


「攻撃が届かない場所は結構遠いからね。一応攻撃パターンは見ておきたいし、注意しておけば大丈夫じゃない?」


「それならそうするか」


 あの塔の攻略を待つしかないな。詳しい進捗が分からないのはモヤモヤするな。あ、ブレス。攻撃頻度が高ぁい。


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