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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第六章 夏だ!海だ!漠漠濛濛。
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第二十二話 大型船攻略


 船をしまったクローナが甲板に上がってきた。これで、全員揃ったな。甲板の脅威は無くなっているので、早速船の中へと入る。


「これで良いかい?」


「ええ、ありがとうございます」


 モモがいつもより割増で明かりの魔法をつけたので、クローナも大丈夫そうだ。対策さえしとけば何とかなるみたいだな。モモも流石に人の苦手な要素で突っかかりはしないか。まあ本当に仲が悪い訳じゃ無いから、拗れる様な事はしないよな。


「それにしても、酷い状況だ」


「進みにくいったらありゃしない……!」


 船の中の状況としては、スケルトンが異様に多い。最初はまだどんどん出てくるな、ぐらいだったのだが、今はもう雪崩の様に湧いてくる。戦闘音で寄ってくるのだろうけど、連鎖しすぎて量がえげつない。

 俺とクローナで両端を対処しながら、進んでいる。モモは、スケルトンを一掃出来るレベルの魔法は危険なので、モモは小威力の魔法とバフの維持でサポートに回ってもらっている。コトネさんの回復もあれば、しばらく戦い続ける事は可能だ。

 ショウはまあ、ポーションの在庫係だ。ここのスケルトン相手なら大したダメージは受けないだろうが量が凄いので、塵も積もれば山となる感じでHPがゴリゴリ減っていくから微妙に相性が悪い。量が多い利点としては、詰まるせいで動きを互いに邪魔して隙が出来放題という所か。


「ハアッ!」


「凄いですね……」


 それにしても、クローナの活躍が凄まじい。スケルトン相手なら斬るより叩く方が良く効く。ステータスの高さを活かし、鎚の形態でどんどん薙ぎ払っている。担当する端の位置を交代して良かった。どんどん進むからな。


「おっと」


「気をつけてねー」


「分かってる!」


 俺はいつぞや使ったほぼ棍棒の刀でスケルトンを叩きまくっている。バフもあれば雑にやっても何とか倒せる。ここまで来ると『反剋』を使いたいが……対象外だったんだよなあ。

 そのまま10数分程戦っていると、やっとスケルトンの数が減ってきた。


「やっと減った……」


「無限湧きじゃ無くて良かったね」


「お疲れ様です」


「ああ、ありがとう……クローナもお疲れ様」


「いえ、このぐらいなら」


「まあ、全部じゃないみたいだけど殆どは倒したみたいだねぇ」


「あー、マジか」


 全部じゃなかったか……まあ殆どなら良いか。先程みたいな事にはならないだろう。

 少し休憩をとった後、下へとまた進んでいく。似た様な状況にはなったが、最初程の密度は無かった。


「中々疲れるな……」


「多いとは聞いていたけど……相当だね」


「もういっそ派手にいくかい?」


「「それはやめて」ください」


 まさかのモモの提案に俺とクローナで止める。船が沈むだけなら良いが、そんな事をしたら俺達がどうなるか分からない。内部から試した事は他のプレイヤーも無いだろうが、危険すぎる。若干モモもうんざりしての提案だろうけど、流石にちょっとな。気づいた時には最寄りの教会とかだと、洒落にならない。


「まあ少ないし、どんどん倒していくか」


「地道に確実にやった方が良いよね」


「でも、構造は同じみたいですね……」


「面倒だなあ」


 この前侵入した船と同じく、通路の1部が同じ様に崩れており、また下から回り込んで船長室へと行かなくてはならない。船を沈めるにはボスを倒さなくてはならないので、ボスがいる船長室まで行かないといけない。

 モモの魔法でそこまでぶち破れるなら良いが、聞く所によると普通に崩れるみたいだ。試したプレイヤーがいるんだなあ。下手すると生き埋めになるから、絶対にしないでもらおう。やっぱり閉所での高威力魔法は洒落にならないな。

 リアルさはあっても、変なルートで攻略されない様に、ちゃんとゲームしている。まあ正道で進んで行った方が楽しいから下手に邪道で進むよりは良いか、時間はかかるけど。そして、その手順を守り、何とか船長室に着いた。後半はスケルトンはほぼいなかったので、苦労したのは最初だけだった。


「前に来た時と進路が同じで良かったよね」


「時間はえらくかかったけどな……同じなだけ大分マシか」


「あとは、この中にいるボスを倒せば良いんですよね?」


「一応そう聞いてるよ」


 この幽霊船の要となっているのは、中にいる船長スケルトンらしい。それを倒せば、船の自壊が始まり沈んでいく様だ。当然といえば当然で、日誌を集めた時は何で沈まなかったんだろうな。


「じゃあ行こうか……大丈夫だよね?」


「大丈夫大丈夫」


「私も準備は出来てます」


 HPは完全に回復したし、MPとSPもほぼ上限値。スキルのクールタイムは当に終わっているから、万全と言って良いだろう。レイド戦のボスの1つなので、前よりかは幾分強くなっているらしいが、終盤のフィールドボスレベルらしい。

 ショウに情報を伝えたイプシロンさんによると、エクストラモンスター倒した経験があるなら大丈夫でしょ、あはは……との事だった。軽いなー。まあ特殊な攻撃パターンが追加されていたりは今の所確認されていない様だが……あの時はアポロさんがほぼ1撃で倒したので、大丈夫かな。

 いざ戦闘開始と船長室の扉を開けると、中には前と同じく豪華な服を着たスケルトンが1体。今度は俺達が部屋の中に入り始めると同時に持っている大きめのカトラスを振り上げ向かってきた。


「させないよっと」


「ハッ!」


 初撃はショウが防ぎ、横からクローナが鎚でスケルトンに向かってフルスイング。一気に部屋の壁へと飛ばされた。


「どうだ?」


「まあ流石に1撃じゃ無理だよね」


「けど、罅は入っていますね」


 そこまで動きが悪くなる事も無く、スケルトンは体勢を立て直した。しかしコトネさんの言う通り、頭蓋の1部に罅が入っているのが確認できる。服で見えないだけで、他の所にも入っているだろう。ボスと言っても、このぐらいか。まあ量で攻めてくるレイドだから、そんなもんか。


「『反剋』……まあ判定無しだよな。まあ良いや、【ディケイブースト】、【抜刀】」


 スキル2つ分の強化であれば、いくらボスでも多少は揺らぐはず。カトラスで防御はされたが、体勢は十分に崩れた。その間に後ろに回り込んだクローナが攻撃しようとするが、先程ので警戒されていたのか、服に掠っただけだった。

 今度はと、こちらに向かって攻撃してきたが……まあ割と詰んでるよな。


「【レストリジェクト】」


「ハァッ!」


 大振りなカトラスによる1撃をカウンターで弾く。今度の体勢の崩れ方だと、避ける事は出来ないので、もろにクローナの1撃を食らい、床へと叩きつけられた。クローナが大鎚を上げると、船長スケルトンの頭蓋周辺は粉々になっており、そのまま塵となって消えていった。これで終わり……ドロップは無しか。


「クローナ、ナイス」


「ありがとうございます」


「あ、もう崩れ始めるんだ」


「急いで外に出ましょう」


 船長スケルトンが完全に消えたタイミングで、船のあちこちから軋む音が聞こえ始めた。どんどん沈んでいる様な揺れも感じるので、早く出ないと巻き込まれる。

 脱出も前と同じくショートカットが出来ていたので、無事外に出る事ができた。


「ふう、小走りぐらいで十分だったね」


「まあ余裕を持つのは重要だろ……結局どのぐらいかかったっけ?」


「えっと、1時間半ぐらいですね」


「結構かかったな……」


 幽霊船はまだ山程ある。他に動いているプレイヤーがどのぐらいなのかは知らないが、これどのぐらいかかるんだろうな。一応1隻沈めたとショウが連絡しているみたいなので、その返事を待とう。


「それで、何だって?」


「どんどんやってってさ。あとかかった時間は平均ぐらいだって」


「じゃあ遅くはないか……コトネさん時間は」


「あ、はい全然大丈夫です」


「じゃあどんどんやっていこう」


「ああ」


 さて、何隻沈められるかな。


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