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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第一章 少年は舞台へ、歯車は揃いゆく
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第十六話 素材集めの旅……旅?


「え、えっとまずはアルミラージの角でしたっけ?」


「そうですね、多ければ多いほど良いけど最低でも10本ぐらいあればいいらしいですね」


「レアドロップみたいなので時間がかかりそうですけど……」


「分類としてはそう見たいですけど実際確率は割と高いみたいですよ」


 実際確率は肉が6割、角が4割とWikiに書いてあった。プレイヤー調べなので本当は少し違うのだろうが4割も有れば十分落ちるだろう。


「じゃ、じゃあ早速いきましょうか!」


 張り切ってるなあ……一昔前の画面に向かうゲームは余程工夫が凝らされてないとレベル上げや素材集めは最初はいいが慣れてくるとただの作業となっていた。だがこのゲームはまるで現実かと見紛うほどリアルである。レベル上げだろうが素材集めだろうがハメ技とかがない限り作業なることはまずないだろう。なにより素材集めだろうと楽しめることはいいことなのだろう。そんな事を考えながら2人でフィールドに出て見つけたアルミラージを倒していく。後衛とはいえレベルが上がりステータスが上がっているコトネさんなら兎程度は杖で殴るだけでも倒せる様になっている。しかし、杖の形状のせいでゴルフスイングの様になり兎が吹っ飛んでいくのが難点だが。とはいえ30分程度で目的のアイテムを集める事ができた。平日の昼間なおかげかフィールドに出ているプレイヤーは少なく獲物を取り合うことがほとんどないおかげだった。


「えっと次は岩場でしたか?」


「そうですね、えっーと……」


 クルトからもらった集めて欲しい素材リストを取り出す。リストといってもただのメモ書きだが、専用のアイテムに書いたものではなくただの紙の切れ端に書いたものである。ちゃんとこういうのもアイテムになるってこのゲームのシステムどうなってるのだろうか?これ、そこら辺の大体のものがアイテム扱いになるって事だからサーバーの負荷凄そうだけど……メモを確認すると岩場で獲ってきて欲しい素材はオークの肝と書いてある……オークの肝?


「オークの肝ですか……?」


「うん……何に使うんだ……?」


 鍛治にも裁縫にも必要無いよな?1次職の生産者なら一応生産全般だからまだ使い道あるだろうが……2人とも昨日2次職になったっていうから他の生産活動はできないはずだしいや意外と使うのか?まあ終わったら聞けばいいか、下手に考えるだけ無駄だし。


「後で聞けばいいし、とりあえず次行きましょうか」


「そ、そうですね」


 というわけでツヴァイアットを通り岩場フィールドへ。オークの肝はドロップ率が2割程とまあまあ低いが、オークは大体3体1組で行動しているので試行回数が多少多くなるのでそんなに時間はかからないはず。






 ……と思っていた時がありました。でねー!!!なんでや!2割だぞ!?60体倒したのに2個しかドロップしねえ!せめて10個ぐらい落ちてくれよ。


「ぜ、全然落ちませんね……」


「はあ……物欲センサー……許すまじ」


 そう無欲、無欲になるんだ。無欲になれば必ず落ちる!無欲無欲無欲無欲無欲…………おやコトネさんどうしました?


「あ、あのステータスを確認したらレベルが30になってたみたいで……」


「あー、じゃあ気分転換がてら教会に行きましょうか……ここだとドライタルの方が近いか」


 ドライタルへ移動。途中でオーク1組に遭遇したが肝は落ちなかった。数十年前から存在が示唆されている物欲センサーだが、科学技術が発展した今現在でも無効化する方法は発見されていない。一度ログアウトする、無心になるなど伝統的な方法はあるが精度はイマイチである……馬鹿な事を考えている間にドライタルに到着。教会に行くコトネさんと別れクルト達のもとへと向かう。特に何も無いだろうが集めたアイテムを預けておけば多少の空きが出るので余裕があるに越したことはない。あとオークの肝の用途が聞きたい。何に使うのだろうか……さて今いるかな。


「おーい、クルトいるかー?」


「……はい、あ、コウさんどうかしました?」


 集めたアイテム、といってもアルミラージの角ぐらいしかないがそれを手渡しながら経緯を説明する。肝がなかなか出ない件についてはクルトも似たような経験があったのか共感したのか苦笑いだった。オークの肝の用途についても聞いてみた。


「あー……オークの肝ですか、確かに気になりますよね……聞きたいですか?」


 え、何、なんか不穏なんだけど。やばい用途なのか?まあ、そう言われると逆に気になるよね。


「まあ変な言い方しましたけど人によっては知らない方がいいだけでですね……このゲームだと染料になるんですよ」


「染料?肝が?」


「そうですね、直接色になるわけじゃないんですけど組み合わせると、えげつないほど発色が良くなるんですよ」


 へえ、そうなんだ。確かに聞かない方がいい人もいるだろうな、発色が良くなるってことは肝を使った装備は聞かない方がいい人の方が求めそうだからなー、それでいいのか運営。絶対クレーム何件か来てそうだな。


「じゃあ、ご迷惑をおかけしますが引き続きお願いします」


「ああ、全然いいよ。ちゃんとレベルも上がってるし」


 話は終わり、クルト達が借りている工房から出てコトネさんと合流する。無事?2次職になることができた様で、多少の攻撃魔法も覚えたらしい。といっても2次職になったおかげでさらに補助によった様だ。中身は主に回復などでバフなどの付与系はほとんど変わってないらしい。まあ付与士系統のジョブがあるから必要ないというか使えないんだろうなシステム的に。1次職であったバフ魔法は残っているみたいだが、効果が高くないのでその内無いよりマシ、下手するとあっても変わらないレベルになるのか。


「そ、そろそろ行きますか?」


「そうですね、早めに集まるといいですけど」


改 めてフィールドに出てオークを探す。そうして見つけたオークを倒していったが……いや、出るね!といってもポロポロ出るわけでは無いがちょうど2割の確率でちゃんと出る。やっぱりね、こう出ない時は1回休憩して色々切り替えないとね。さっきの苦労はなんだったのか30分ほどで集めることができた。最悪ログアウトも辞さない姿勢だったからな、良かった良かった。途中でコトネさんの攻撃魔法も試してみたが……補助系の魔術師のイメージを崩すことなく護身用レベルの威力だった。実際杖で殴って方がオークが狼狽えていたのは魔術師としていいのかと思うが、そういや補助なのでそもそも攻撃することが間違いか。それでもオーク程度なら十分牽制になるので効率が少しだが上がっていた。


「これで……目標の数になりましたね」


「いや意外と早く集まって良かった、次は森フィールドで……クロックリーフ?」


 今度はモンスターの素材ではなくて自生しているやつか。クロックねえ……形なのか特性なのか、鑑定で見ればわかるみたいなのでLv.1で大丈夫かどうかだが多分大丈夫だろう。集め終えた時結構ツヴァイアット側へ動いていたので特に時間もかからず森フィールドへと入ることができた。クルトのメモによるとクロックリーフとやらは日当たりの良い場所に生えているそうなのでアトラクトバタフライの幼虫に気をつけながら森の奥へと進んでいく。それっぽい草を片っ端から鑑定していくと紺色のニラみたいなのがクロックリーフだと判明する。群生しているわけでは無いが探すと意外とその辺に生えていた。採り方に何か方法とかがあるのかと思ったが根元から引っこ抜くぐらいの注意の仕方で良いみたいだ。2人で手分けして集めていくがもちろんモンスターも出るので倒していく……鹿テメェ採ろうと思ってたやつ踏みつけたの許さねえからな。結構量が必要みたいで時間はかかったが特に問題もなく集めることができた。クルトに頼まれた素材も集め終え時間も大分経ったし、コトネさんも無事2次職になれたのでそろそろフィールドボスを倒しに行こうとした時だった。


「あの、地響きみたいなの聞こえません?それも聞いたことあるような……」


 うん、あのクワガタだわ。あー、これ多分移動してたら俺たちに気付いたとかかな?


「どうします?」


「え、えっとこっちに向かって来てますし、やられそうになったら逃げるというのは……」


「……そうですね、トレイン……他のプレイヤーの迷惑にならないように逃げましょうか」


 あのクワガタトレインしたら確実に迷惑プレイヤーが確定するからな。そもそもこっちに向かって来ているし、見失って時間が経てば通常状態になるみたいだし、ちゃんと後始末はつけないと。


「とりあえずクワガタの正面に立たないで少し離れてください」


「あっ、はいお気をつけて」


 クワガタ……タランドゥススタッグビートルが木を薙ぎ倒しこちらに突っ込んでくる。今の俺のAGIなら避けられる……いや意外と速い。


「【貫牙剣(アウラ)】!」


 あの外骨格は今の俺だと斬れそうにないのでエクストラスキルを使用。すれ違いで斬れ


「ぐべっ」


「コ、コウさん!?」


 クワガタさあ……木が邪魔で本気で走ってなかったからって、直前で加速するの止めてくれない?



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