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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第六章 夏だ!海だ!漠漠濛濛。
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第八話 イベントモンスター

誤字報告ありがとうございます。


「おー、やってるなあ……」


「凄い光景ですね」


 今俺達は大陸北西側の海岸にいる。近い町はアハトミノだ。一応ここも砂浜だが、水着姿のプレイヤーはおらず、目に入るのはプレイヤーとモンスターが戦っている光景だ。 

 あの村は霧が立ち込めていて泳ぐ気分では無かったけど、こっちは泳ぐどころじゃねぇな。多少危険はあるとしても泳ごうとするプレイヤーを打ちのめす様には十分な状況だ。その上曇っているし。運営は海で泳ごうとするプレイヤーに何か恨みでもあるのだろうか。ストーリー進行であの霧が晴れるとしても、1ヶ所ぐらい普通に泳げる所を用意していても良かったのではと思う。まあ川でも行けと言われたらどうしようもないけど。

 まあ無いからこそストーリーを進めるのにやる気を出すプレイヤーが多くなる事もあるだろうしな。告知内容からして2部制っぽいので、泳げるのはその時だろう。


「それであのモンスター達はどこから来たんだ?」


「聞いた所によると、夏の風物詩みたいな物だってさ」


「風物詩……?」


「この辺で屯するだけらしいから近づかなければ危険は無いみたいだし」


「まあそれなら……人が住んでいる所には出ない様だし」


 砂浜でプレイヤーが戦っているのは青いカニや青いエビ、それに足の生えた魚……魚?


「何だアレ……?」


「凄い見た目ですね……」


「美味しいらしいよ」


「「え!?」」


 随分と奇妙な見た目のモンスターだな。まあこの前の土地神よりはキモくないので大丈夫。それより美味しいって何だ。あれ食べたプレイヤーがいるのか……身がドロップしたのだろうけど、よく食べる気になったよな。普通何かの触媒とかじゃないのか。

 よく見れば、沿岸の方でも船に乗ったプレイヤー達とモンスターが戦っている。まあそっちの方にも出現するよな。種類はもちろん、こっちと違いはあるのかな。


「他には、結構経験値が多いみたいだよ。二重の意味で美味しいね」


「水場関係の装備も作れるみたいだしな、損は無いか……使うかどうかは別として」


「そうですね……」


 船が出来るまで暇なので、少しちょっかいを出してみよう。ここに出るのはそこそこレベルが高いらしいので歯応えもあるだろう。足が生えた魚モンスターは経験値が多いみたいだからアハトミノ近くの山脈フィールドぐらいの効率になるらしい。イベント限定のモンスターなので、使うかどうかはともかく素材を集めて損は無い。

 そういえば『反剋』の水判定用の刀の強化に使えるかな……?いやそうなるとは限らないか。イメージと違う判定のパターンが多いし、それを目的にしない方が良いな。あくまで経験値用としておこう。


「えっと、プレイヤーが多いですけどどこに行きますか?」


「あー……あの辺空いてるみたいだからそこに行こう」


 ショウが指さした所は確かにプレイヤーが少なく、フリーなモンスターがいた。まあ数は少ないが、足が生えた魚モンスターもいるし、少し試すだけなら問題無いな。とりあえずそこに行き、1番近かった青いカニを倒した。


「……弱いな」


「そりゃあ……ねぇ」


 それなりにレベルが高いと言ったけど、それなりだからなあ。経験値が美味しいって言ってもそれは足魚の事だし。頭に1発叩き込んだだけで倒れるとは……スキル込みで急所に当てたとしてもな。

 レベルが丁度良いプレイヤーならまだしも、最近レベル上げに集中している身としては少々物足りない。

 今のところ、限定モンスターを狩る事にあまりモチベーションが無い事が原因だな。あと3人でいるのもだな、過剰戦力。


「うーん、どうしようか」


「あ、あのモンスター」


 足魚だ。丁度こちらへと近づいてきていたので、倒してみよう。そっちへ向かおうとしたら、こちらへ気づき目が合う。モンスターとはいえ魚と目が合うって変な気分になるな。何故かそのまま見つめ合う事数秒、足魚は踵を返して逃げ始めた。しかも海の方ではなく、海岸線に沿ってだ。


「あ、逃げた!」


「い、意外と早いですね!?」


 このまま逃すのは勿体無いので急いで追いかける。近くにいたプレイヤーも追いかけているこちらを見て、ああ……みたいな視線を向けてくるので経験したか、よく起こるのだろう。経験値が高いという事はアレか、金属質のスライム的なレアモンスターな感じなのか。


「何であの見た目でこんなに速いんだよ……!【フラジャイルクイック】!」


 AGIをスキルで出来るうる限り上げる。それなりにステータスは高くなっているはずなのに追いつけないとは。


「そらァ!」


 もう面倒臭いので刀を投げる。逃げている足魚の胴体にヒットし、体勢を崩して倒れた。


「良し、追いついた……えっと、まあ良いや、【刺突】」


 刀を抜き、スキル込みでもう1回刺すと倒せた。まあこういうのは体力少ないよな。雑な攻撃だったが、頭に刺せば大体大ダメージだ。足魚の見た目からして、1度転ぶと起き上がるのは難しいので気楽に狙いを定められた。

 確かにモンスターのレベルを考えれば貰える経験値は高いが……逃げる際の厄介さを考慮すると、微妙だな。これ、そもそも最初に気づかれない様に接近するのが本来の仕留め方だよな。もしくは気づかれても逃げる前に倒すとか。

 落ちた素材は魚肉だった。死ぬ前の見た目がアレだったから食べたくないが……テキストといい素材も見た目といい美味そうなのが腹が立つ。


「はあ、追いついた……どうだった?」


「いや分かるだろ」


「美味しそうですね……?」


「やっぱり?」


 とりあえず数体倒してみたが、結果は……まあ暇潰しぐらいにはなるか。暇潰しなら他の所でレベル上げしたいんだよな、今のところは。

 アポロさんは素材集めが趣味なんだろうな、レベルカンストしているし。へやも素材でいっぱいだったからな。


「あと、どうする?」


「一応の夜になると出るモンスターも違くなるみたいだし、東側行けばもっとレベルが高くなるけど」


「けど結構高かったはずですよね?」


「倒せる事は出来るだろうけどな……そういえば水場用装備って作る意味あるのか?」


「まあ湖も川もあるし、無い訳じゃないけど……そこまで便利な物じゃないよね。強いて言えば水中だけど、そんな機会滅多に無いし」


「……ショウさんは沈みそうですよね」


「そうなんだよね」


 実利はイマイチみたいだから、わざわざその為に素材を集める必要は無いか。作業はモチベーションが無いと死ねるからなあ。春イベの時はまだレベルが低かったから限定モンスターを狩る意味はあったけど。

 という訳で、解散。俺はここから近いので、山脈フィールドでレベル上げ、コトネさんはポーションを作るとかで屋敷へ。ショウは用事があるとかでズィーベルトンへと向かった。

 足魚の肉は……モモにあげれば良いか。舞台の村も進捗はそうそう無いだろうし、俺1人が向かった所で特に何も進まない。船も完成していないしな。早くレベルを上げて4次職になりたい。まあレベルが90になるまでは大分時間がかかるのでコツコツやっていこう。


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