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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第五章 過去の遺産の、清算を
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第二十一話 過去の鎖、濡羽色 一


 さてレベル上げ、今日もレベル上げ。3次職になると必要な経験値が一気に増えるから面倒だ。レベルが上がれば必要な経験値が多くなるのは当たり前だが、それにしても増え方が著しい。ショウのレベルが90になるまでに半年以上かかったのも納得だ。

 まあアイツは真面目にレベル上げに取り組んでいたわけでは無いので、俺の場合はもう少し短くて済むはずだ。受験もあったから、流石のショウもプレイ時間は短くなっていたはず……だよな?そう信じたい。

 俺が今レベル上げをしているフィールドは、この前のクエストで訪れた村周辺である。この辺りで出るモンスターはレベルが中々高く、正直レベル上げするには1人ではキツい。

 だがまあ、それでもモンスターのレベルが高い分得られる経験値も多いので効率は結構良い。それに倒しにくいという事はそれだけ戦闘を行うという事なので、戦闘経験も鍛えられる。失敗するとダメージを受けるけど、その辺はポーション飲めばいいしな。1体倒すのにかかる時間が多くてもそれなりに何とかなっている。

 さて、ここにいるのには確かにレベル上げという事もあるが、他にも用事があるからだ。

 1つ目はここの辺りは土地神の件で、普通に生息していたモンスターがいなくなっていた。現在は元に戻っているらしいのでどうなっているか気になったからだ。一応村に寄って村長に聞いてみたら、特に問題も無く平和そのものだそうだ。ついでにお礼とばかりにまあまあな量の羊の毛と肉を貰ってしまった。タイガの分は少し前に来たようで、その時に渡したらしい。結果としては大した事が無いみたいなので一安心だ。

 2つ目の理由は、今回の本題とも言えるようなもので土地神が生き埋めになった原因である黒い光の事だ。ただ単に生き埋めになった理由付けとしてはいささか疑問が残る。何かエネルギー弾的な何かだとしたら何も残ってはいないだろうが、それがもし物系だったら、調べる価値は十分にある。話し方としては空から落ちてきたみたいなので可能性が高いのは隕石かな。黒い光と形容される隕石は……ファンタジーだからあり得るか。

 とにかくそれが何にせよ、レア要素である事は間違いないので調べてみようという事だ。レアじゃなかったら一体何なのかという話にもなるし。そうな感じで、土地神のいた空間へと続く洞窟へとやってきた。


「よっこらせ……通りにくっ」


 土地神が暴れながら掘り進めて出てきたせいで、洞窟内は瓦礫だらけだ。道が塞がっていないのは幸いだが、道と呼べる代物では無くなっているので進みづらい事この上ない。平坦にしろとは言わないが、もう少し通りやすくしてほしい。そんな訳でやたら時間はかかったが、最奥の空間へと辿り着いた。


「えっと……?」


 というかここまで来たは良いが、ここからどう探そうか。よく考えたら手がかりが全く無いんだよな。それに本来は真っ暗なはずなので、薄暗いで済んでいても物が見づらい。


「持ってきて良かったなっと」


 取り出したるは、使う機会の無かったランプ。迷宮の時に結局買ったのだけれど、そも使わなかったのだ。こうして有効活用出来る機会があって良かった。1回でも使えば金を払った意味があるというものだ。

 あの時は戦闘に夢中だったので、壁際などを調べていく。まあここの近くにその黒い光の何かが落ちたとは限らないが、一応調べておいて損はない気がする。

 そうして壁などを見ていくと壁にちいさな亀裂が入っているのを見つけた。ごく小さなものだったので、ぶっちゃけ1度見逃していた。1回目は気づかずに素通りしちゃったからなあ。

 亀裂にランプを照らしてよく見てみたところ、亀裂の向こうには空間があるのが分かった。叩いてみると分かりやすく他と出る音が違うので間違いないだろう。とりあえずここを破壊すれば未知なる扉が……扉じゃないけど。それにそんなワクワクする物でもないか。

 装備を変更し、取り出したのは厚みが3センチある刀。厚みが3センチある時点で刃も何も無いし、刀ですら無いが、一応刀のカテゴリに入っている。『侍』は刀しか装備できないので、スキルを使って打撃を与えたい場合はこういう変な物を用意するしかない。持つだけならハンマーも持てるが、こうした方が安定した威力が出る。ちなみにどのジョブも二刀流は一応出来る。する意味が無いものもあるので、場合によるけど。俺の場合は二刀流は全く向いていないのでするつもりは一切ない。

 そんな訳で、このようなほぼ棒みたいな刀を作ってもらいました。丈夫さをひたすら追求してもらったので耐久値は普段使っている刀の数倍ある。


「んじゃ……【ディケイブースト】!」


 ホームランを打つが如く刀を亀裂に向かって振る。相応の威力が出た一撃は亀裂の辺りを綺麗に破壊し、人が通るには十分な大きさの穴を開けた。


「これは……洞窟か」


 そうして通じた先は洞窟の途中だと思われる場所だった。見た感じここに入ってきた所と違って自然に出来た物かな。そもそもここの空間も土地神が広げたのだろうし、ギリギリ掘り当てずに接したのか。


「これは……うーん」


 発見はあったにはあったが……これは果たして黒い光に関係ある物なのか。可能性は0では無いけどな。まあこれはこれで何かあるかもしれないし、調べておいた方が良いか。たまには探索も良いし、やるだけやってみよう。


「どっちから行こうかな……右か」


 刀を地面に置き手を離す。刀は右に倒れたので、まずは右の方向に進む事にした。






 ハズレでした。いや何も無かったというか、右側は外に通じていた。しかも外に出た後少し歩くと土地神の落とし子が作った方の洞窟があるというね。意外と近かったなあ……まさか2分の1を外すとは運が悪い。

 気を取り直して選ばなかった方へと進む。少し進むとチョロチョロと音がしたり、湿気ている感じがするので、何処かで水でも湧いているのだろうか。

 それにしてもここにはモンスターは出ない様で、ただの自然の洞窟の様だった。更には生えている素材も何も無いので、プレイヤーからしたら旨味は全く無い。もしかしたら入った事があるプレイヤーもいるかもしれないが、途中で諦めて帰ったのかもしれない。

 しばらくは変化が無かったが、それから5分ぐらい経つと分かれ道へと辿り着いた。


「さてどっ……んん?」


 どっちに行こうか迷おうとしたら、よく見るとおかしな分かれ道な事に気づいた。分かれ道というか、片方は滑り台みたいな……歩いていくというか降っていくみたいな感じになっている。しかも自然に出来たにしてはやけに真っ直ぐな道(?)になっているので、それも不自然だ。

 何気なしに上を見てみると天井も穴が空いていた。丁度直線で結べるような感じでだ。上の方は埋まっているようで外の光とかは見えなかった。土地神がいた空間の天井みたいな感じだな。これはもしかするともしかするかもな。

 その道を進んで行くことを決め、傾斜がそれなりにあるので一気に滑り落ちないように慎重に降りていく。辿り着いた先は体育館ぐらいの広さがある空間だった。天井の高さは体育館の半分ぐらいだ。地面は薄く水が張っていて、歩くとピチャピチャと音がする。

 そして、この空間の中心にはおそらく女性と思われる人物がうずくまっていた。


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