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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第五章 過去の遺産の、清算を
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第十九話 『反剋』


「……【永填倉(マトス)】!」


 タイガが取り出した武器は重機関銃に分類される物だった。そして、エクストラスキルであろうスキルを発動すると銃が光りだして何かの紋様が浮かび上がった。エクストラスキルは名前だけじゃ効果が分からないから予測が出来ない。


「とりあえず無限弾だと思っておいて!この子が壊れるまで3分ぐらいあるけど、その間私動けないから!」


「えっ、あー了解!」


 無限弾だとかやばい感じの事を言われたが、とりあえずそのまま飲み込んでおかないと。無限弾なのは良いとして、動けないのはデメリットが何かだろうか。時間が経つと銃が壊れるみたいだし、その事も覚えていないと。

 その銃の威力は先程見た通り強力で、追いついてきた土地神が近づこうとはしないレベルだ。無限弾なのもあって、リロードが入るはずの時間を越えて撃ち続けている。タイガの射撃技術だと、反動が大きい重機関銃でも的がそれなりの大きさの土地神に1発も外さずに当てている。

 タフな土地神もこれは避けたかったのか、避ける動きをし始めた。注意を完全にタイガが持っていったので今なら隙を突いて攻撃できる。固定砲台になっているからタイガが攻撃される前に、大ダメージを……【貫牙剣(アウラ)】はまだクールタイムがあるから、アレだな。


「『反剋』……良し、判定あり。判定は、土……土?まあ良いや」


 いまいち判定の基準が分かりにくいが、とりあえず土地神相手に使える事が判明した。装備を変更して、この『反剋』という魔法で水と判定された刀を取り出す。


「【抜刀】、うわっ!?」


 土地神がタイガに注意を向けている間に近づき攻撃した。すると命中した部分からアポロさんが出していた様な斬撃のエフェクトが出て、土地神の左後ろ脚を斬り飛ばした。


「ギシャア!?」


 まさかこんな威力が出るとは思っていなかったので少し呆けてしまったが、これなら十分ダメージを稼げる。






 この『反剋』という魔法は、迷宮イベントで隠しステージをクリアした時に報酬として手に入れたものだ。イベント期間中は使えなかったので、イベントが終わってから効果を1人で確認した。

 その効果は中国の五行思想をベースにしている様で、あの五神の戦いに勝った報酬としては納得のものだった。名前が反剋とあるので、よく聞く相剋の関係の逆だった。別に単純に相剋とかで良いと思うのだが、覚えるのが面倒なだけなのでこういうものだと納得するしかない。


 今の状況だと、相手は土と判定されたのでこちらは水と判定された武器で攻撃すると効果が適用される。普通なら五行思想で言うと水は土に弱いのだが、反剋の場合は水の力が強すぎて土を飲み込む……という事らしい。この関係でいうとこちらが強くなくてはいけないのだが、この魔法の場合は相手の方が強ければ良いみたいだ。簡単に言うとジャイアントキリングみたいなものだろうか。


 この魔法もアポロさんが持っている『黒炎』と同じ様に制限があり、1つはこの魔法の判定で五行思想に当てはまる属性を持ち合わす敵、武器が必要である。俺が普段使っている刀や、その辺のモンスターは判定されなかった。属性を持っている武器もあるのだが、それは『反剋』の判定と無関係らしい。炎を使うモンスターが木と判定されたり、水と判定されそうな武器は金と判定されたりした。それが判明した時はややこしい魔法だなと思ったりしたものだ。


 とりあえずクルトの試作品の中で、判定された属性がある刀を借り、それに対応する属性を持つモンスターに使ってみた。そうしたら、確かに一撃の威力は上がったが、バフとしてはこのぐらいのものだろうといった威力しか出なかった。今その威力に驚いたのもそのためだ。相手が強大であればという事なので、試した時よりもそれなりに威力は上がると思っていたが、まさかこれほどとは思わなかった。そうそうこのレベルのモンスターとは戦う機会は無いだろう。


 ちなみに俺より大分弱いモンスターで試してみると、威力が激減した。普通ならすっぱり断ち切れなくとも歯が通るぐらいの攻撃力はあるはずなのに、薄皮すら斬れなかった。後は同じ魔法を持っているアポロさんと協力しながら、モンスターの対応表を作っていたりする。どうせ魔法を使えばどんな判定をするのかは分かるのだか、それでもあらかじめ分かっていれば便利だろうと思ったからな。

実戦で使うとなればちゃんとした武器が欲しいので、新装備を作る時に一緒にクルトに頼んだと言うわけだ。丁度今日5本全て揃ったのは僥倖としか言えない。






 この魔法はMPをバカ食いする。時間経過で減っていくタイプなので、俺の今のMPだと約1分しか持たない。MPポーションを飲めば大体2分まで伸びるが、それでもこの短い時間の間に倒せなくても瀕死ぐらいまでは土地神を弱らせないといけない。今だとタイガのエクストラスキルもそのぐらいで切れるので、まさしく背水の……ちょっと違うかな?


「【ディケイブースト】!」


 スキルを使い更に威力を上げる。削る耐久値は少なめにしたけどそれでも威力は大分増加した。10に10をかけるより100に10をかけた方が威力が上がるか。


「あっはっは……!」


 高威力の攻撃でモンスターを叩きのめすのは中々楽しい。それがサイズが大きいボス系のモンスターだと更にだ。やりすぎると虚無感が芽生えてくるが、偶になら十分楽しめる。俺に2本目の足を叩き斬られた土地神は案の定バランスを崩して倒れ込んだ。これで移動能力は半減どころでは無い。こうなるとタイガの良い的だし、大分状況が好転した。


「〜〜〜!!オノレェ!!餌フゼイガァ!!!」


「ワンパターンだな……おっ!?」


 また言葉を話し始めたなと思ったら、タイガの攻撃を気にせず、まさしく捨て身で俺に向かってきた。今ある全ての腕を使い俺を握りつぶそうとしてきたが、俺が飛べないなら確かに握りつぶされていただろうな。


「【空走場(アハルテケ)】」


「ハハッ、餌フゼイガ!我ヲ侮ルカラダ!」


「いや上にいるんだけど」


「ナニッ!?」


 【空走場(アハルテケ)】を使えば空中に逃げられるので、この場合大分楽に避けられた。全ての腕をこちらに向けていたので、今の土地神は隙だらけだ。


「オノレェ!!」


「させないよっ!というか忘れないでね!?」


 土地神がこちらへと腕を伸ばしてきたが、またエクストラスキルの効果が続いているタイガが攻撃して邪魔をする。


「【ディケイブースト】!【刺突】!」


 先程より大分多く耐久値を消費して、出来る限り攻撃の威力を上げる。土地神の頭へと直撃したそれは、刀での攻撃とは思えないほどの威力を出した。土地神の頭は半ば吹き飛び、そのまま崩れ落ちた。その後にはドロップ品が残り、完全に死んだ事を示した。


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