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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第五章 過去の遺産の、清算を
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第二話 素材を集めようと思ったら


 さてせっかく次の町に行けるようになったので、観光だ。ノイルケルは石造りの建物が多く、なんとなくドイツとかその辺の建築のイメージに近い。ゲーム後半の町は最初の方の町に比べて人が少ない傾向があるが、まあ半年経っているせいかそれなりにいるな。NPCはもちろんここに住んでいるので、これまで通って来た町の様に活気に満ちている。市場は流石にどこも似た様な感じだが、売っている物は各所で特色がある。先程町がドイツっぽいと言ったのは、腸詰めを売っている店が多いからのもあるかもしれない。素材も見た事が無いものもあり、ゲームとはいえ観光するだけの価値と暇を潰せる要素があるものだ。


「10番目はどんな感じの町なんだろうな?」


「あそこは規模としては1番小さいかもね。設定上最近作られた町ってなってるし」


「へえ、最近」


「こっちに近づくにつれてモンスターやらの難易度が上がるのは僕達プレイヤーはもちろん、NPCにも適応されるからね」


「確かに普通に考えたらそうですよね」


 ゲームシステムと設定を合わせて良い感じにしているのか。矛盾にならない様にするには分かりやすい対策だよな。10番目の町は設定上ここ数十年ぐらいの歴史しかないらしく、開拓地みたいな扱いの様だ。


「そういえば海沿いの町とかありませんよね?」


「1つフィールド越えないと着かないからね。強いて言えば10番目の町が近いと言えなくもないけど……まあ港とかいう感じじゃないね」


「そういや海のフィールド行ってないなあ」


「あー、海沿いの村は確かいくつかあったはずだけど……あんまり旨味無いかな」


「どうしてですか?」


「海は大雑把に分けて4つのフィールドになってるんだよね。このゲームの大陸の端は大体砂浜になっているんだけど火山と雪山で上下で更に分けられてて、下の両側はフィーアルの森レベル、上の方はこの先ぐらいの難易度って感じだね」


「中途半端なタイミングってか。まあ是非とも行きたいわけじゃないし後々で良いか」


 下の方はヌルゲー、上の方は海という慣れない環境で戦う上にレベルが高いので非推奨ってか。行きたいは行きたいが、ショートケーキのイチゴの如く後にとっておこう。


「じゃあアハトミノの方にも行ってみようか」


「うん?そりゃあ行くつもりだけど、わざわざお前が言うなんてな」


「確かに珍しいですね……?」


「いや、あっちはあっちで面白いから」


 よく分からないがショウがそう言うならとりあえず行ってみよう。ボスの時と同じく、迷宮の村経由でアハトミノへ。間の山脈を通って行けるなら距離が短くて済むんだが、モンスターのレベルが高いからなあ。というか順調に進めたとしても馬車システムの方で行った方が時間が早いのはありがたいと言うべきなのかな?物理的な急がば回れみたいな? そうして着いたアハトミノはなんと和風な建物が並ぶ、そのまんま江戸時代といった感じの町だった。なんかこの町だけ世界観が違う気がするし、これそのまま時代劇のセットとして使えるんじゃないだろうか。町の中にいるNPCは流石にちょんまげとか、そこまでやると世界観ぶち壊れる様な格好はしていなかった。ちらほら和服を着ている人は見かけるので、春イベの舞台になったあの村の元がここなんだな。どういう経緯で伝わったんだろうか?


「面白いってこれか」


「確かに面白いというか何というか……」


「そうでしょ?ファンタジー世界でもあんまり浮いてないというか」


 まあ上手い事溶け込ませていない事も無いような気がする。わざわざ面白いと言うには確かに面白いな。領主が住んでいるのか、町の奥の方には城も見える。まあ一領主の居城なのでそこまで立派な城ではないが、佇まいとしては申し分ないものだった。今は青々としている大通りの木は桜だろうか?


「こういう要素があるのは良いよな」


「コンテンツの1つとしてあると面白いよね」


 刀を扱うジョブがある以上、それに関する背景ぐらい用意しているものだろう。これはフィクションなので特に大した背景はありませんと言われたらそういうものと飲み込むしかないが。突っ立ってあるのもアレなのでとりあえず3人で町を巡る。マップを見てみたがここは王都に匹敵するぐらい広いんじゃないだろうか。


「結構広いよな?」


「確かにそうですね」


「あー、それね。確か……えー……思い出した!数百年前に元々ここは別の国の首都だったっていう設定だってさ」


「ああ最初から1国じゃなかったのか。併合されたと……戦争でもあったのか?」


「いやエクストラモンスターだかの襲撃を受けて半壊した後、支援を受けてそのまま1つになったとか。城の再建はその後だからあの大きさだってさ」


「ドラマはあったんでしょうけど、何か普通ですね……」


「そのエクストラモンスターとやらはどうなったんだ?」


「相討ち的な感じで討伐されたみたいよ」


 何かイベントのフラグにでもなるんじゃなかったのかと思ったが、特にそういう事は無いみたいだ。


「こうしてみるとノインケルの時も思ったけど売ってる素材とかは結構違ってきたよな」


「次でもう最後の町だからね。物によっては最上位の素材もあるよ。店売りより自分で採って、プレイヤーに頼んだ方が良いのは変わらないけど」


「それは大体そうだろうな……そうだそろそろ装備の更新でもするかな?」


「あー、良いんじゃない?」


 前に変えたのはいつだったか。レベルはそこまで上がっていないがそれでもレベルが上がりにくくなっている今、地力を上げるには装備の質を上げないと。質の高い素材を手に入れられる様になったからとことん追求してみよう。今の装備もデータとはいえ愛着はあるけど、その前のをベースにしているから今のもどうにでもなるだろう。


「そういえばアポロさんに貰ったアレようやく使えるんじゃないか?」


「あ、そうだね。丁度良い頃合いだと思うよ」


「現実なら埃を被る程に放置してましたよね」


 使い道無かった素材その他もこれでやっと消費できる。もちろん他にも色々と集める必要はあり、そこは時間をかけて集めていけば良い。その後は一通り町を巡って屋敷に戻った。クルトとアゲハがいたので、善は急げと装備関係を相談した。俺がするなら私もという事でコトネさんの分の素材に関しても話し合った。前回作った時より装備に関して取れる選択肢も増えたので願望をとりあえず出しまくった。全部取ろうとすると器用貧乏になるので取捨選択は必須だ。

 まあ少し時間がかかったが概要はまとまり、必要な素材も判明した。普段使いの装備の他に用意しておきたい武器もあったので、それも頼んだ。まあ少し数が多いからそれの出来上がりは少し待つだろう。今回はショウも手伝ってくれるみたいなので二手に分かれ素材集めの旅へ。コトネさんは薬士系統で必要になる物があるのでそっちの生産に集中している。


「2人で行くのとどっちが効率良いんだろうな……」


 レベルが高いとはいえショウの攻撃能力はお察しである。それは分かっているのでショウは採集メインだ。

 そして俺は雨林フィールドにおり、現実程ではないにせよ(経験したことがないので多分)ジメジメとした湿気の中モンスターを狩っている。まあここで必要な素材は全部手に入ったので移動しよう。これで嫌な湿気ともおさらば……次雪山だわ、寒っ。


「まあ良いや、次に……え?」


「おや奇遇」


 移動しようと進んでいたところ、岩の陰でウィンドウを操作していたカリファと目が合った。ここで会うか普通。PKは御免なんだが……何でこんなに縁があるんだ?


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