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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第四章 奥へと迷走、探索は着々と
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第三十四話 まとめ


「はー、倒せた……」


「すみません、左手を……」


「いやいやデスペナになってないだけ、それにほら倒せましたし」


「あ、皆さん宝箱みたいなのが……」


 部屋の中心に宝箱と脱出用だろう、魔法陣が出現した。宝箱の方はクリア特典とかかな。


「誰が開ける?」


「ショウで良いだろ、耐久力あるんだし」


「罠前提じゃん……ここでそれは無いでしょ」


 1番の功労者であるアポロさんが固辞したので、結局ショウが開ける事に。まあここで罠があったら運営に抗議メール一択だし、それは無かった。中というか、開けた事で全員に贈られたのは結構な金額の金と、アイテムだった。そもボスが結構な難易度だけあって、機械系の大分レア度の高いドロップがわんさかと詰め合わされていた。各自に贈られたこともあり配分とかで揉めなくていい事もありがたい。確かめてみたら全員同じ中身らしかった。


「いや結構良い感じだね」


「はー、クリアした甲斐があった……アポロさんもありがとうございます」


「いえ、おかげで私もクリア出来たので……」


 ここで話すのもアレなので一旦地上へ。とりあえず屋敷に戻り、話すのはそれからとした。とりあえず何とかイベント中に迷宮をクリア出来たので良かったという他ない。


「まあ結構先にクリアしているパーティ多いからね」


「確かに特に何かあるわけでもないけどな、中途半端に終わらなくて良かったじゃん」


「そうですよね……後はどうしますか?」


「素材集めとかじゃない?まあ、ストックがあって困る物は無いからね、どの階層も」


 そんな訳でテキトーに話して解散、その後は各自好きな様に迷宮に入ったりしていた。コトネさんはアポロさんと一緒に入っていたりしたし、俺も鉱石をメインに入り浸り中々良い金になった。迷宮素材は値が落ち着いてきたとはいえ、それでもまだ金になるので入るだけ割と利益になる。深いところに入れば経験値にもなるしな。

 そんな訳でイベント期間残り数日は迷宮に入っていた訳だが、この後は迷宮はどうなるんだろうなあ。急に消える様な設定らしきものは見当たらなかったし、そも消えるのもあんまり考えづらい。入れなくなるという可能性もあるからそれが残当かな。もし終わった後も入れるとしたらイベントと銘打ってるからには何らかの措置はあるだろうし、そこは神という名の運営のお知らせを待とう。

 この迷宮イベントを振り返って言えば、やっぱり罠関係とモモのありがたみだろう。罠は結局ダメージ、デスペナ覚悟で無理矢理進んでいるので正規の対策を何とかしたい。更にそれに付随してモモに罠やらを頼っているからその辺もありがたいと思っている。モモに関してはな、そこらの魔法職プレイヤーより役に立ってくれている上に、コトネさんのスタイルと競合せずパーティとしてピッタリハマったので文句のつけようが無くないのがある意味問題かな。今回NPC禁止という普通のプレイヤーなら何の問題も無いルールでこの問題が発覚したのだが……改善しようがない気がする。結局頼りにした方が普通に楽だからどうしようもねぇな。そうそうNPC禁止のイベントなんて無いだろうし、あったとしてもこういうイベントは自力でこなしてこそという考えもある。天使やら悪魔やら、そういう世界観的なものは積極的に頼って深く考え無い方が良いんだろうなあ……ゲームなんだし。






 そしてイベント最終日、今は談話室にいる俺達だが、俺の前にあるソファには第3王女が座っている。今回はちゃんとメイドさんもいるので抜け出してきたわけでは無い様だ。公務はちゃんと終わらせたんだな。


「なんじゃその目は。ちゃんと終わらせたぞ?」


「あ、すまん」


 目は口ほどに物を言うと言うが、本当だった様だ、気をつけよう。王女様も日頃の行いの自覚はある様で目に見えて気分を害した感じはしなかったのでまだ良かったな。


「さてひと段落した様じゃしの、聞かせてもらおうか迷宮についてな!」


「前にも聞いたけど、詳細とかはそっちにも行ってるんじゃないのか?」


「確かに詳細はな。じゃが報告書じゃ味気なくての、体験した当人達から聞いた方が想像しやすいじゃろ?」


「それはそうかもしれませんね」


 百聞は一見に如かずという言葉もあるのでまあ分からなくもない。幸いショウにコトネさん、アポロさんもいるので語る上では問題は無い筈だ。ショウはそういうのは得意だし、コトネさんもそうだろう。

 話している途中で機甲武装について興味を持ってきたのでクルトにサンプルを貸して貰いに行ったりしたが、まあ説明にあまり参加していない俺としてはそのぐらいはこなさないとな。


「良いじゃろ、やってみるぐらい」


「駄目です。後潰れます」


「融通きかんのう」


「……誰かに支えてもらうのでしたら」


「おお!!」


 という感じで支え係にもなっていた。ほぼアトラクションみたいになっていたがまあ説明の範囲だったら楽しめるだけならこういうものだろう。実際のブツは戦闘状態ではなくとも変形機構自体は使える様でガッションガッションしてたら満足したみたいだ。

 後は隠しステージ、俺とアポロさんが体験した事についても聞かれたがアポロさんのフォローもあり何とか分かりやすく説明できた。まあ音量の問題でメインは俺だったが、及第点ぐらいの語りはできたはず。


「今更じゃが面白い仲間が増えたみたいじゃの。アポロという名は先の武闘会で有名じゃからの」


「……きょ、恐縮です」


「そんなに畏まらなくても良いぞ……まあそこはおいおいで良いかの。まずは声量を何とかしてくれい」


「あ、はい……」


「……ふむ、まあ良いかの」


「そういえばあの迷宮はどうなるんだ?」


「さあての、未だにお主ら探索者しか入れんが、そこさえ気をつければ管理はまだ出来そうじゃがの」


 王様や他の偉い人の方針を多少は聞いているはずの王女様が知らないという事はNPC側で何か決まる感じではないのか。まあ色々考えても俺にはあんまり関係ないし、主に割りを食うのは銃士系統のプレイヤーだしな。そこら辺は運営も考えているだろうし明日を待とう。


「それにしても罠の対策無しで進むとは阿呆なのか?」


「あはは、否定できないんだよなあ……」


 スルーされたと思ったら、ここで指摘されたか。まあ普通に考えたら阿呆だろうな。NPC側から見たら自殺志願者としか思えないだろうし。意外と何とか出来るレベルの罠にした運営が悪いな、うん。


「まあそこは死んでも蘇る探索者と言ったところかの?」


 呆れた様な表情でこちらを見てくるがしょうがないね。命が無限にあるからこその無茶だしな。命が1つしかないゲームはしたくない。


「まあ良いか……さて聞きたかった事も聞けたし満足じゃ。さて代わりと言っては何じゃが何か聞きたい事はあるかの?色々と聞かせてもらったからの」


「え?」


 いきなりだったので驚いたが、これはクエストじゃないけど条件達成した感じとかな?満足させたら達成とかは、まああるような無いような……?


「どうする?」


「いやー、急に言われても何も思い付かないよね」


「私は特に……」


 アポロさんの方に目を向けるとブンブンと頭を横に振った。まあ話には参加してたけど後から加わった形だからな。まあいきなり質問あると聞かれても特に思い付かないよなあ。変なこと聞くよりなるべく価値のある事を聞きたいものだが。


「……まあすぐに出るとは思ってないからの、思いついたらで良いぞ」


「ああ、それはありがたいな」


「んじゃの、また来るからの〜」


 最後に綺麗な所作でぐいと紅茶を飲み干し、王女様は去っていった。来ると言っていていたが、どうせ脱走したりはしてくるんだろうな。






 翌日、運営からのお知らせが来た。迷宮は規模を大幅に縮小して残るらしい。機械系モンスターの出る階層は5階層、それ以外は各1階層ずつ、ボスは無しという仕様の様だ。階層を端折っただけみたいで階層毎の難易度の変化は結構激しいらしい。まあ結局は異空間っぽくなっているフィールドの1つぐらいの扱いで良いだろう。これで迷宮イベントは終了、次は夏イベだ……まあその前に色々やる事あるけどな。


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