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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第四章 奥へと迷走、探索は着々と
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第二十八話 黄竜

誤字報告ありがとうございます。


 戦闘開始から少し経った。流石はこの隠しステージの最後のボスと言うだけあって、黄竜の強さはまさしく竜のイメージそのものの様であった。傷はつけられなくも無いがクソ硬い鱗、強靭な体に高い攻撃力とファンタジーの中で最上位の強さに位置するだけはある。アポロさんでも避け切れないぐらい素早い攻撃もあり、当然俺は何回か死にかけた。壁にめり込む様な経験を一度の戦闘で何回も繰り返す事になろうとは思わなかったなあ。まあその度にアポロさんが黄竜の注意を引きつけてくれて、回復する暇を作ってくれるのだからお世話になりっぱなしだ。

 そんなこんなで、役に立ってるんだか立ってないんだかよく分からない感じで戦っているわけだが、いかんせん普通に強い。【貫牙剣(アウラ)】を当てようにも、その脅威は一定以上の強さのモンスターには伝わるらしい。使う度俺への攻撃が激しくなるため今の所SPの消費手段ぐらいにしかなってない。今はアポロさんの方にヘイトが向いているため後ろから攻撃しようとすると、黄竜が何か吐く様な姿勢になるのが目に入る。まさかブレス攻撃か?竜っぽいが、どう……しようもないな。


「しまっ!?ゲホッ!」


「うわっ!」


 てっきり熱線とかそういう感じのブレス攻撃が来るのかと思ったが、アポロさんの方へと吐き出されたのは灰色の煙だった。アポロさんもこれは流石に予想外だったのかもろにくらい、吸い込んだ様だった。煙の中から出てきたアポロさんを見ると、体の所々が石のようになっている。まさか石化……?何故石化かと思ったが土属性からの連想みたいな感じか、分かりづれぇ。まあこれなら状態異常用のポーションでも飲めばいいが、石化みたいなあまり見ない状態異常も対応しているポーションは割と高い。まあそこの心配はアポロさんには必要無く、すかさずポーションを取り出し飲んだ。これで何とかなるかと思ったら、石化が止まる気配は無い。アポロさんは戸惑いながらももう1本取り出し患部にかけてもそこが濡れるだけで終わった。


「駄目ですか……!」


「大丈夫……じゃないよな」


「ポーション系は無効の様ですね。せめて回復系の魔法があれば……」


「俺も前衛なんで……」


 打つ手が皆無なんだけど。こうしている間にも石化は進んでいき、黄竜からの攻撃もくる。ブレスの後は若干動きが止まるみたいで話す時間があったのだが、もう動き出し始めた。足の関節が石化して動きづらくなったアポロさんを抱え、何とか避け逃げる。


「えっとどうします?」


「そうですね……」


 アポロさんは悩んでいるのだが割と詰みかかっている様な。ポーションが効かないならヒーラー特化の魔法職、それも4次職じゃないと治せない気がするが、生憎そんな人はここにはいない。そしてアポロさんがいなくなったら確実に黄竜に殺されておしまいだし。石化ブレスとか初見殺し止めてほしいわ。まあそういうのがないゲームもそれはそれでなあ。


「コウさん、ご迷惑をおかけしますが少し耐えてくれませんか?」


「え?まあそれは良いですけど……?」


 考え込んでいたアポロさんだったが何やら考えを思いついた様だった。ウィンドウを見ていたみたいだが、もう体もほとんど石化していて何か出来るようには……まあそれしか取れる策は無いので頑張って耐えるしかない。


「……【脱病膚(エクジス)】」


「え?」


 完全に石化する直前、アポロさんが何かのスキルを発動させた。名前の感じからしてエクストラスキルみたいだが……全身固まっちゃったんだけど!?黄竜の攻撃を何とか避けながらなのでまともに考えが追いつかないが大丈夫なのこれ。色々と不安になったが、次の瞬間アポロさんの石像に罅が入り始めた。


「え!?」


 俺何にもしてないよ!?衝撃与えてないよ!?何かしてしまったかと思ったが、それは杞憂だった様で石は剥がれ落ち、五体無事なアポロさんが出てきた。


「……生まれた?」


「え?いえ、剥がしました……石化が表面だけのもので内部にまでじゃ無くて助かりました」


「そうですか」


 何が何やら分からないが、ともかくこれでアポロさんも無事戦線復帰である。勝ち目も戻ったのでアポロさんを降ろし、攻撃を再開する。そして案の定というかその時は来た。


「第2形態、そりゃあるよな」


「竜というか龍ですね」


 四神にあるなら最後もあるよな第2形態。黄竜の体は変化していって、手足は小さくなっていき体は細長くなっていった。そして部屋は振動し始め何事かと思っていると2回りほど広くなっていった。人工的だった床も崩れ数メートルぐらいの岩塊がいくつか生えて、どこぞの岩タイプのジムみたいな事になった。最期はフィールドも変わるか……!アポロさんの言った通り黄竜から黄龍だなあ。今更だが、これ2人で倒すモンスターじゃねぇよなあ。これは岩塊に登ってそこから攻撃していく感じか。これは斬撃を飛ばせるアポロが有利だな。俺は……【空走場(アハルテケ)】を使った方が良いか?まあ出し惜しみしてられる状態じゃないか俺は。そも足を引っ張ってるような感じだし。アポロさんは岩塊を盾にしながら斬撃を放っている。


「【空走場(アハルテケ)】」


 俺の方は空中を走り、黄龍の背へと飛び乗る。乗る事自体は割と簡単だったが、俺に乗られた黄龍は暴れ攻撃する隙もなく離されてしまった。だが繰り返していけば俺に注意が向くのでアポロさんが攻撃出来る。前に散々練習したおかげで空中で攻撃を避けるのも問題ない。アポロさんの方は黒い炎を纏って攻撃している。


「青龍の時のか……!」


 これなら攻撃力も高い。なら俺もと【貫牙剣(アウラ)】を発動する。SPは残り少なくなってきたが、アポロさんの使っている魔法はデメリットがだいぶ大きいので決着を急いだ方が良い。そして幸運というか、お互いに注意が分散して黄龍からの攻撃の度合いが全く変わっていない。どちらかに向けばどちらかが楽に大ダメージを与えていける。


「グアアアア!!」


 黄龍は苦し紛れとばかりにさっきよりも広範囲に石化のブレスを吐いた。しかしアポロさんはすでに1番大きい岩塊の上に立ち届かず、俺はそもそも黄龍より上の所にいる。比重が重いのか上に来る事はないようで不発としか言いようが無い。


「「【刺突】」!」


 示し合わせたわけではないがアポロさんは下から、俺は上からブレスを吐き終わり隙だらけの黄龍の頭へと刀を突き刺す。流石に止めとなったようで崩れ落ちていった。部屋の広さはそのままだったが、床はどういうわけか変化する前の綺麗な状態に戻った。そして部屋の中央には脱出用ですよと言わんばかりの魔法陣が出現した。


「終わりましたね」


「はあ、倒せた。お疲れ様でした」


「こちらもお世話になりました」


「いやいや……」


 ともかくこれでせっかく掘った鉱石も持ち帰る事が出来る。早速帰ろうとすると目の前にウィンドウが現れて、魔法を取得した事を知らせた。


「これは……?」


「この隠しステージの踏破報酬みたいですね。私の『黒炎』と同じ分類のものというか」


「ああ、なるほど」


 書いてある効果をよく見ると攻撃にバフが入る感じの様だが……何かややこしいな。いつか試してみないとな。後使えるのはこのイベント終了時かららしいのでそれまでお預けか。終了時という事は迷宮のモンスターに効果抜群とか……いやそんな感じはしないから普通の仕様だろうな。

 とりあえず確認も終わったので魔法陣に入り、戻った先は普通の迷宮の階層だった。そこは32階層、俺に合わされたのだろうか。


「外じゃないのか」


「そうですね。あ、リアルの事ですが……」


「ああ、そうだった」


「少し考えたんですが……」


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