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Arkadia Spirit  作者: アマルガム
第四章 奥へと迷走、探索は着々と
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第二十三話 玄武


「ここからどうします?」


「そうですね……」


 ここは32……いやどこにあるかは知らないが砂漠地帯の隠しエリアなので、少しレベルが上がってるとしてもアポロさんなら普通に倒せそうなものだが……ボスモンスターとなると勝手は違うのかな。いつもと違って俺がいるから手の歌を晒したく無いのもあるか。現に俺も出し惜しみしているわけだし。序盤のボスじゃあるまいし手札を隠したままボス戦か、なんだこの状況。まあ良いや、まだダメージを受けても何とかなるからな。

 その先は互いに攻撃役と囮役を交代しながら朱雀と戦っていった……と言えば聞こえは良いかもしれないが、ほとんど俺が囮役だった。そりゃ刃渡りの範囲しかまともにダメージ入らない俺と比べて斬撃飛ばせるアポロさんの方が色々と向いている。そうして結構時間が経った時だった。


「……っ!しまっ」


 猿も木から落ちると言うべきか、距離感を誤ったのかアポロさんが体勢を崩した。破壊された床に足を取られた様だ。ソロトップって言っても完全無欠だったりはしないか……!

 その隙を見逃す程甘い仕様はしていないらしく、足の鉤爪でアポロさんに攻撃を仕掛けた。結構やばいんじゃね?


「【貫牙剣(アウラ)】!」


 【抜刀】のみで対処できるか分からないのでとっくにクールタイムが終わった【貫牙剣(アウラ)】を使う。そして流石は今まで散々活躍してくれたスキル、朱雀に向かっていた片足を切り飛ばした。


「アポロさん?」


「すみませんでした……!」


 流石にもうアポロさんも立て直していた様で一安心。反撃も出来そうな体勢になっていたので余計なお世話だったかもしれないがまあ良いだろう。そしてアポロさんの一撃を受け、足斬られ怯んだ朱雀を更に吹き飛ばした。


「苦しんでる……?」


「いやそれにしてはおかしい様な?」


 朱雀の方を向くと何やら様子がおかしかった。宙には浮いているが、体を丸めて震えている。何となく室温が上がっている気がするがまさかな……朱雀の震えが大きくなると纏っていた炎の色が青へと変わった。


「第2形態かよ……」


「もう「朱」雀じゃありませんね?」


 それはそうかもしれないが今言う事では無いんじゃないでしょうか?とにかく朱雀……青雀?いやいや専用機じゃあるまいし、変な連想ゲームは止めよう。とにかく朱雀第2形態は炎の色が変わっただけでなく一回り大きくなっている気がする。うーわ、厄介な。


「相手は色々変わりましたけどやる事は変わりませんね」


「そうですね……おっと!」


 朱雀が突っ込んできたが、割とギリギリだった。そりゃ攻撃力もスピードも上がるわな。今まで以上に集中しないとあっという間に跳ねられるわ。【貫牙剣】の効果時間はまだ残っているので攻撃を避けながら朱雀に刀を当てていく。多少は斬れるが足と違って部位欠損は起きなかった。なのでそのスピードも衰える事なく面倒臭い。


「あーもう、さっさと弱れや!」


 結構時間がかかっているが中々倒せん。意外と生物らしい生物じゃ無かったりするのだろうか?本当に瀕死にならないとモーション変わらねぇのかな。

 その予想は当たっていた様で何度目かの攻撃で途端に炎の勢いが弱まった。今度は本当に弱ったか?第3形態は止めてくれよ。


「これで死んでください、【滝割り】……!」


 アポロさんから今まで一際大きい一撃が放たれた。エフェクトはいつものエクストラスキルだとして今のはジョブスキルか?4次職かな。強力な一撃のおかげで朱雀の炎は消え、真っ二つになった。流石に倒したか、というか随分格好の良い倒し方だったな、羨ましい。朱雀の倒れた後には赤……いや朱色と呼ぶべき玉が落ちていた。普通に倒すんで良かったな。


「倒せましたね」


「まあほとんどアポロさんのおかげですけどね」


「いえ、コウさんのおかげでこちらも助かりましたし」


 まあ役に立ったのなら幸いだな。それにしてもアポロさんよく話す様になった気がするなあ。心なしか声量も……それは変わらないか。とにかく話がスムーズになって助かる。少しでも慣れたと感じてくれたのならありがたい。


「次行きますか?」


「え、まあそうしましょうか。まだ時間ありますし。アポロさんはまあ……」


「はい、全然大丈夫です」


 朱雀を倒すのにかかった時間は4、50分。これならもう1体ぐらいなら倒せるだろう。もちろん難易度が同じならだが、流石にそこまで変な調整は無いはずだし相性が悪すぎなければ大丈夫だろう。


「どれに行きます?」


「えっと……亀の方に行きましょうか。今のが火だったので」


「亀か……何故火?」


「玄武が対応するのが水なので……あ、安直でした?」


「あ、なるほど……いや、別に順番も何も無いんで良いんじゃないですか?」


 硬い敵なら【貫牙剣(アウラ)】が火を吹くぜ。銃火器じゃないけど。


「それでは、あのその……それでお願いします」


「あっはい」


 その事はアポロさんも気がついていた様で色々と配慮しながら方針を伝えてくる。それなりに使ったから何となく効果バレてるな。面倒だな、いっその事話そうかな?そこまではする必要無いか……有耶無耶にしとこう。

 2人で亀……玄武がいる方へと歩く。1度は見たが、黒い甲羅に尻尾が蛇の普通……普通?まあそれっぽい亀だった。繋がっているのかは知らないが視界が後ろにもあるので死角が無いから厄介だ。

 部屋に入ると、玄武は戦闘態勢へと入った。こちらを向いている亀から敵意をビシバシと感じる。様子がを窺っていると亀が口を開け、何やらエフェクトが。


「来ますね」


「問題はどういうタイプかだな……」


 放ってくるとしても直線か、ホーミング、薙ぎ払い……エフェクトの感じからあまり無いだろうが散弾系もあるかもしれない。ならここは無難にだな。


「じゃあさっきと同じで」


「はい」


 二手に分かれ共倒れを防ぐ。そもそも俺たちの場合固まっても意味ないし。脅威度的な感じなのか亀の口はアポロさんの方を向き、発射されたのは物凄い勢いの水鉄砲だった。おお、凄い勢いだ。直径が俺ぐらいあるぞ。亀がこちらを向いていないので好気……とはいかない。尻尾の蛇がこちらを注視しているので下手に手出しできない。良い役割分担かもしれないがこちらとしては面倒な事この上ない。不意をつくというアドバンテージが無くなるだけなのでまだマシかな。それはしょうがないので蛇の方へと向かう。亀の方は相変わらずアポロさんの方へと向き弱攻撃を繰り返している。まあ最初の強力水鉄砲を連発されても困るけどな。


「シャア!」


「ちっ、くそ」


 蛇を何とかしようとするが、中々どうして手強い。尻尾なので根元で固定されてるくせに動きは素早くこちらの刀を上手く対処してくる。こっちも蛇の攻撃を避けるが、進展が無い。亀がアポロさんの方を向こうと体の向きを変えるためその動きもあって捉えにくい。えー………よし、肉を切らせて骨を断とう。


「ッシャァ!!」


「っ!!そらァ!」


 蛇は基本噛み付いてくるばかりだったのでわざと腕を噛ませ、動きを制限する。攻撃のメインは毒の様で俺の腕を噛みちぎるほどの力はない様で運が良かった。そこから刀を思い切り振りかぶり蛇の体へと振るう。根元からでは無いが渾身の力を込めたおかげですっぱり斬れた。


「クルァ!?」


 尻尾を斬られた事に驚いたのか亀を悲鳴を上げこちらへと攻撃しようとしてくる。やっべ、距離が近すぎる。


「シッ!!」


 すかさずアポロさんが斬撃を飛ばし、亀の攻撃を中断してくれた。その隙に亀から急いで離れる。しかしちょっと怯んだが傷1つついてねぇな、頑丈すぎるだろ。


「……頑丈ですね」


「そうっすね」


 やっぱり俺がやらないとダメかな?そういえば初めて【貫牙剣(アウラ)】を使ったのもフィールドボスの亀だった様な、妙に縁があるな。いや記憶に残りやすいのがそういう系だからか?


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