2限目
実践訓練、謂わばただの連続組手だ。一日一時間は行われる必修科目である。
「とは言っても昨日の特別授業で実力は凡そ分かった。グループを分けて訓練を行うぞ・・・」
グループを分けて訓練を行うのは、普通のことであるが、竜胆先生が言うと異なって聞こえる。昨日の特別授業で、贔屓をすると公言したのだ。だが3人を除く生徒達も、嫌悪も悲観も感じさせない表情をしていた。
「安心しろ。贔屓をすると言ったのは昨日の俺だ。きちんと訓練は行う・・・」
竜胆は、ここまで早いとは想定していなかった。Bクラスの皆が、心を入れ替え、逆境のなかやる気を失わずにいたことが。
「グループは、相性とグループの強さを考慮してメンバーで組んだ・・・」
グループ分けでは、竜也・凛・凪の3人はそれぞれバラバラのチームになった。7人、7人6人の3グループ、6人グループには凪がいる。やはりこのクラスで一番の実力者は凪のようだ。相性も重要だが、人数が劣るチームには跳びぬけた力が必要なのだ。
「これから一チームごとに俺と戦ってもらう。勿論7人も相手に俺一人では心もとない。場所は変えさせてもらう・・・」
転移門が教卓の横に出現した。繋がる先はまだ生徒達には分からない。
「転移先は森だ。広さはそれほどない、ここで俺と戦ってもらう・・・」
森、視界が狭くなる中での戦闘、更には、竜胆は森のつくりを知っているときた。人数差はあれど、厳しい訓練になることは明らかだった。
「やってやろうじゃねぇか!」
竜也は楽しそうに己を鼓舞した。第一陣、竜也を含む7人のチームが転移門の中へと入っていった。
「お前らは、教室の中で森の映像をみておけ・・・」
竜胆は、特定の場所を映し出す魔道具、「魔導鏡」を置くと、自身も転移門の中に姿を消した。
2限目、実践訓練開始だ。




