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星の降る惑星を、  作者: 若野輪
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能力測定

「1限目を開始するぞ、授業内容は能力測定だ・・・」


能力測定、魔導士としての基礎能力を測る全国的にオーソドックスなものだ。複数の項目に従い、現時点での力を知ることが出来る重要な行事である。


「まずは、魔力量を測る。計魔石(けいませき)を一人ずつ握っていけ・・・」


計魔石は、使用者の魔力量によって色が変わる不思議な石だ。魔獣バトルレックスという強大蜥蜴(とかげ)の角から削り出された欠片である。バトルレックスは、縄張り争いや雄同士のパートナーを競う際に、この角を用いる。角の色彩のみで勝負に決着をつけることが出来る非常に便利なものだ。因みに、魔力量が多ければ多いほど明度が低くなる。公式の記録では、現国家魔導士一席が、鉄黒色を記録している。


生徒は名簿順に一人一人計魔石を握っていく。ほとんどの者が、ワインレッドから藍色の間の明度であった。一般魔導士としては、皆高位の色を示している。凜は、紺藍色であり、クラスでも中々の明度を出していた。だが、二人の生徒は、更に低い色を叩き出した。竜也と凪である。竜也は、濃藍色という平均的な国家魔導士と同じ色をだし、凪は、鉄色という下位国家魔導士と同じ色をだした。二人とも、Bクラスとしては異例の魔力量である。


「魔力量の絶対値は、日々の成長・訓練で伸びる。今のお前らでも鍛えれば、十分国家魔導士になる可能性はある・・・」


竜胆先生の言っていることは本心だ。だが、生徒の殆どは先生の言葉を僅かに疑っている。特に現在3年の者は、残り一年で明度を国家魔導士レベルまで低くすることができるのか、自信がないようだ。入学当初から3年生になるまでの間、計魔石の明度を10段階ほどしか低くできていないからだ。残り一年で、鉄色まで下げることは、かなり難しいことを経験で知ってしまっているのだ。


だが、生徒達は昨日のことを思い出した。国家魔導士としての心構えの大切さ、困難な状況でも、決してあきらめず行動することの大切さ、皆ほぼ同時に、竜胆先生への懐疑心を捨て去り、努力していこうと決めたようだ。これぞ、竜胆先生が望んだ生徒の姿なのだろう。

竜胆先生は表情を一切変えることは無かったが、心なしか微笑んでいるように感じられた。


「次は、魔力操作だ。魔針(ましん)で裁縫をするだけの簡単なものだ・・・」


魔針、魔力を流すことで自在に動かすことができる魔道具だ。サイズは、裁縫針とほぼ同じ大きさであり、使用用途も全く同じだ。ただ、魔力操作の技術を図るための試験なので、使用する魔針の本数は通常より多くする。裁縫と言う緻密な作業を複数平行で行うことはかなりの操作技術を必要とする。大抵の生徒は、3本が限界だ。


Bクラスの者は、4本から5本がほとんどで、6本以上使用できたのは、凛ただ一人だけであった。凜は計8本の魔針を使用することができた。国家魔導士でも出来る者は極わずかしかいない。異常な器用さだ。それに反して2本しか操れなかった者も一人だけいた。竜也である。華鱗高校の歴代一番の不器用さだ。特別授業の際、竜也の魔法技術が高いと述べたが間違いだったようだ。竜也は自身の魔力量の多さを利用して、強引に高速魔法を繰り出していただけのようだ。


「葵、お前はこれから毎日魔針で魔法操作を鍛えろ・・・」


これは竜胆先生も想定外だったようだ。竜也に対して魔法操作の訓練を毎日行うように指示した。今のままでは、竜也の膨大な魔力も宝の持ち腐れだ。


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