十二天高校
獄龍会の直接スカウト、それが意味することは一つだろう。十二天高校の卒業後は、獄龍会の団員として働くことになるということだ。進学率の低さ就職率の低さもそこからきていることも想像に難くない。この話自体とんでもない内容だ。だが、凪をはじめとした生徒達はそれ以上に聞きたいことがあった。
「確かにその話も気になりますが、僕が知りたいのは・・・」
「あぁ、そういうことか。昨年、華鱗は十二天に負けたんだったな。安心しろ、例年の十二天生の実力は昨年程ではないぞ。まぁ、例年の十二天生も、大概華鱗生より強いが・・・」
「やはりそうですか、ではなぜ以前までの十二天生は、高魔連で実力を出さなかったのですか?」
「あいつらは強さこそあるが、噂通りの問題児達だからな。真面目に参加するやつなんていないんだよ・・・」
衝撃の事実をさも当然のように口にする竜胆先生。世間一般の認識において、実力・品行ともに華鱗高校がトップを維持し続けているとされてきた。だが蓋を開けてみれば、少なくとも十数年前から、実力はトップではなかったのだ。それを昨年まで、手を抜かれていたことで知らなかった。なんとも滑稽な内容だ。
「竜胆先生は昨年の十二天の行動をどう思いますか?なぜ華鱗高校に対してだけ実力をだしたのか」
「なぜ華鱗にだけ実力を出したかは分からんが、恐らく、奴らにリーダーのようなものが生まれたんだよ、無秩序の怪物を従える本物の怪物。そいつが決めたんだろうよ・・・」
「そのリーダーというのは・・・」
「お前らも高魔連の演武を見てたんだろ?大方予想はついてるんじゃないか?・・・」
「日向 天照、彼が十二天高校のトップであるということですか」
「恐らくな・・・おっと、そろそろ時間だな。質問はまた明日にしろ・・・」
1限開始のチャイムがなる。生徒にとって、朝から衝撃の連続ではあったが、授業に向けて気持ちを切り替える。今年の高魔連で十二天高校がどのように動くは分からない、もしかしたら昨年同様、本気で潰しに来るかもしれない。そうなれば、華鱗高校の敗北は必至だろう。それでも、少しだけでも勝率を上げる為、生徒達は十二分に努力しようと決めたようだ。
「1限目を開始するぞ、授業内容は能力測定だ・・・」




