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4、世界は回り続ける

葬儀が終わり、忌引が明け、仕事が始まる。

どんどんと日常が戻っていく。

彼女という存在を欠いた状態でも世界は回る。

当然だろう。毎日何人も死んでいる内の1人でしかないのだから。


色々な励ましがあった。

「あなたがしっかりして奥さんを支えないといけない」

「残された子供も小さいのだから頑張って働くしかない」

「一歩ずつ進むしかない」

「大丈夫か、元気を出して」

「泣いていいんだ」

「きっとあの子は幸せだった」

「やけにならないで」


何を言われても不快感が先に出てしまう。

「男女差別かよ」

「一人っ子だったら違うのかよ」

「何に向かってだよ」

「大丈夫なわけねぇだろ」

「我慢してるわけじゃねぇ、出ねえんだよ」

「生き続けたほうがもっと幸せにできたけどな」

「なるだろ」


「私も子供を亡くしている、わかるよ」

子供の喪失という1点のみの共通点で理解者面しないでくれよ。

共通点が1つあれば理解しあえるなら人類みな兄弟だわ。

彼らはなぜ生きていけるのだろう。

問いただしてもふんわりした事を言われるだけだった。

理解者なら先達として分かり合える回答もってないのかよ。


娘が欲しければもう1人作ればいいという人もいた。

その人は他の人からとても怒られていたが、

精神論をされるよりは私としては感じる部分も多い提案だった。

でも新しく生まれた子は当然娘とは違う子で、

きっと細かい差を見てはこの感情がフラッシュバックするのではないだろうか。

代品とされた新しい娘はそれは幸せなのだろうか。

代品で穴埋めされた死んだ娘はそれで幸せだろうか。

長い目でみると泥沼にハマりそうな提案だな。とは感じた。



今日も仕事を終え、電車に乗って家に帰って寝る。

変わったのは私の布団に誰もいないこと。

今まで娘だけは起きていてくれたのに。

朝の支度も早くなった。

寝ている娘を妻が寝ている部屋に運ぶことがなくなったためだ。

着替えて家をでる。それだけだ。


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