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3、趣味を探していた

少し前の話

元々私には趣味と言えるものがなかった。

熱中する物がある友人達を羨ましく思っていた。

色々自分でも手をだしたり、友人に勧められたものを試してみたが熱中と呼べるようなものはなかった。

誘われれば一緒にやるが、個人としてやりこむようなことはなく、

余暇は洗濯と掃除。コーヒーを飲んでぼーっとして、まだ時間があれば散歩へいく。

強いて言うのであれば、ぼーっとする時間にたまに読書をすること、

テレビでみた料理を作るため散歩ついでに材料を買いにいくことだろうか。

しかしながら友人達の熱量に比べて随分差を感じるような気がする。

隣の芝生が青く見えるだけなのだろうか。


私は男兄弟の長男として生まれた。

姉や妹が欲しいとずっと思っていたが、生まれたのは弟達だけだった。

仲は良い。年は離れているが、それもあって兄弟喧嘩のようなものはほとんどなかった。

今でもよくラインで雑談もするし、カラオケやラーメンを食べる際に声をかけて一緒に行ったりもする。


結婚し子供が生まれた。

女の子が欲しかったが、第一子は男の子だった。

子供自体は好きなせいか、しょげたりは特になかった。

弟の時に既にやっていたためオムツもお風呂も慣れていた。

睡眠時間も少ないタイプだったので夜泣きした時は私が遊んでいた。

どうせ日中は家におらず手伝えないのだ。


二人目も男の子だった。三人目も男の子だった。

自分と同じ男三兄弟となった時点で諦めの気持ちがもたげてきた。

四人目ともなると金銭面でもきつく、仕事場には未婚者が多くなかなか子供理由で休めない場面もあった。

頻度を下げ、消極的に子作りを行った。

授かればいいな程度の低頻度だった。

念のためネット等にある産み分けについては眉唾だとは思いつつも取り込んだ。

私の日常からカフェイン入りの飲み物は消えたのはこの時だったと思う。


数年後生まれたのは待望の女の子だった。

思えば出産に立ち会って泣いたのは初めてだった。

四人目ともなると既に育児のレベルも妻のほうが遥かに高く、

むしろオムツ替え等は今までと勝手が違い苦戦した。

この子は小さいころから今までの三人とは異なり臆病で慎重だった。

高い高いはすぐ泣いてしまい、扱いの差異がとても難しかった。

「一姫二太郎」女児のほうが育てやすい。とよく言うが確かに私の知る赤ん坊より、

いたずらもしないし乱暴もしない、夜泣き等の声量も可愛いもので、まさにこういう事かと思ったものだ。




ここで話は冒頭の趣味の話題に戻る。

会社で行われたオリエンテーション中に趣味の話題になった。

海外旅行の為語学の勉強をする人、数学が趣味で因数分解の本を買って解く人、

スポーツの観戦応援をする人、アイドルに握手しに行く人。

会社としては業務上、その趣味がどういった形で活きてくるか、活かせる点がないだろうか。

といった内容で恐らく話を行っていた。

白紙の私に同僚の一人が軽い口調でこう言った。


「〇〇さんは子供が~って書けるからこういうの楽ですね」

「趣味が子供っていうのはアリなのだろうか?」

「え?アリじゃないですか?休みの日もほとんど一緒に遊んでるんですよね?」


目から鱗だった。

私はいつのまにか趣味を得ていたのである。

休日のヒーローごっことおままごとは私の趣味だったのだ。


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