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14、お遍路③

時系列は少し戻る

滞在中、四国は快晴で昼間はシャツ一枚でも汗ばむ陽気だった。

最近夏も終わって涼しくなったなーと思っていたがそんなことはなかった。

寒さ対策で薄手の羽織れるものを持っていったがカバンから出すことはなかった。


徳島の23霊場は発心の道場と言われ、仏教に帰依する心を起こすと言われている。

何か得られるものがないかと思い始めたお遍路だが、

現段階で特に何かを得たような感覚はない。

天気のいい中、運動をして、なんて健康的だろう。と思う日々。

子供にペースを合わせたせいかホテルについても疲れてどっぷり寝てしまうという事もなく、

慢性的な睡眠不足と向き合うだけだった。


夜寝れないのでぶらぶら徘徊する。

食欲があるわけでもないので別に飲み歩くわけでもない。

そうすると毎晩数人のホームレスに話しかけられる。

信号待ちやらなにやらで立ち止まっているときを狙われる事が多い。

身の上を軽く説明しつつ金が欲しい。という話がほとんどだ。

ホームレスと名乗られたからそう思っているが、

身なりはそこまでひどい人はおらず、

数日何も食べていないという割に体臭がきついわけでもない。

輪袈裟をかけてるだけで大福をくれたりするのに、

彼らはなぜ数日間何も食べていないのだろう。

そういえばバス停に無料の足湯がついている所があった。

もしかしたら湯につかるだけならどこかに無料の場所があるのかもしれない。

そんなことを思いながら、何も答えず何も渡さず手を振っておじさんたちと別れる。

後々見知らぬ人に親切にするというイベントを思い出す。

もしかしてここでお金を渡せばもう達成となるのだろうか。


四国にきてから毎日同じ夢を見るようになった。

4畳半ぐらいの暗い部屋に亀が何匹か歩いていてたまに嘔吐する。

その姿を部屋の上のほうに漂って俯瞰して見る。

謎の夢だ。亀を飼ったことはない上、彼らは陸ガメだ。

これがお遍路効果ですか。ミステリー過ぎますよ空海さん。


最終日、思い立つ。

旅行先で羽目を外して一念発起しようと。

そして私は夜の店をググりだす。

キャバクラぐらいはいったことがあるがそれ以上の風俗店は行った事がない。

ヘルスやらソープやらの名前の違いで何が違うのかも正直知らない。

会社には通っている同僚もいるが、私自身はあまり興味がなく断っていた。

かれこれとんと音沙汰のない私の下半身もプロに任せれば何か動きがあるかもしれないと思った。


だが残念なことに結果から言えばノーリアクションだった。

体を洗ってもらい、歯を磨いて、気まずい時間を過ごし、世間話をして帰ってきた。

んーーー何分初めてのことなので、相手との相性が悪かったのかすらわからない。

かと言って数万払ってあの気まずい時間をもう一度と言われると抵抗がある。

内心どう思われたかわからないが、女性の対応はいい人だった。

風俗店で働くにあたってそれなりの生い立ちがある人だったが、

生きてりゃみんな色々ありますよね。


ホテルへの帰り道またホームレスに金をせびられる。

もう慣れっこの定型文。

「色々あって恥ずかしながらホームレスをやっている」

「数日何も食べておらずお金を恵んでほしい」

1つ違うとすれば彼が関東弁ということだろう。

厳密には違うのだろうが、徳島の人は関西弁のような言葉を喋る。

財布の中には1万円札と千円札が1枚ずつ。

先ほどの風俗店で30分延長すると1万円だった。

折角きたのだから延長してノーリアクションに再度挑むか最後まで考えていた。

最終的には30分で何とかなるなら、最初からなっていただろうと思って止めていた。

延長して空振りしたと思うことにしておじさんに1万円を渡す。

すごいリアクションをしていたが、頼むコロナ禍なんだハグしないでくれ。

悪目立ちしてしまったので足早にホテルへ帰る。

ホテルでもう一度風呂に入ってから寝転がる。

変化のない亀の夢をみながら、親切ミッションの達成と明日お金をどこかで下ろさないと、

空港へのシャトルバスすら危ういなと漂いながら現実的なことを考えていた。


①骨壺の処遇

②地蔵を彫るか

③捨てるのがもったいないものの処遇

④息子と思い出作り

⑤息子たちに何を教えるか

⑥遺書作成

⑦死ぬ手段の選定

⑧できること探し→見知らぬ人に親切にする(済?)   ←New

⑨最後の晩餐

⑩泣くほど笑う


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