第1話_俺にもようやく春がきた、!?
「うるさいなぁ」
7時にセットしたアラームが鳴り俺は起床した。
まだ眠たい体を起こしいつも通り準備を始めた。
しかし今日の俺は、どこか胸が踊っていた。そう何を言おう今日は新学期、新しいクラス、「ここから人生を春色にするんだ」
あ、つい口に出してしまった。
「そんなんだからお兄ちゃんはモテないんだよ」
こう言っているのは、中学2年の俺の妹、佐藤真理だ。
「うるせぇよ」
「てか新学期なんだからお兄ちゃん寝癖くらい治したらどう?」
「まあそうだな、たまには髪でもセットしてみるか」
「いやそこまで気合いれろとは言ってないし、お兄ちゃんセットなんかしたことないじゃん」
「別にいいだろ、てかお前学校8時まで登校だろ?
早くしないと遅れるぞ?」
「ほんとだ!!んじゃあ私先行くね!行ってきますお兄ちゃん」
かわいい笑顔をチラつかせて先に妹が出て行った。
「いってらっしゃい。さて俺も準備するか」
1時間後、、、
「ってやばっ!気合入れて髪の毛セットしてたら遅刻しそうだし。早くいかなきゃ」
現在8時20分、30分まで間に合うかこれ?いつもなら音楽を聴きながら登校してちょうど学校に着いてる頃だ。
そんなことを考えながら俺は全速力で家を出た。
「っていきなり信号赤かよ。」
俺は少し先にある信号機に視線を向けた。
しかしその視線の先には、1人の少女が歩っていた。
俺は何か嫌な予感がした。
「あの子、スマホ見てて信号気付いてなくね?」
案の定少女はそのまま横断歩道を渡りそうだ。
俺は全速力で少女の元へ走った。
「危ないっ」
間一髪だった。少女の手を後ろへ引き、目の前をトラックが通り過ぎていく。そのまま俺は後ろに倒れた。
「んっ、なんか重い」
俺の上に少女が覆い被さっていた。
2人は咄嗟に飛び上がり少女が口を開いた。
「前を見てなくて全く気づかなかったわ。ありがとう」
「ほんとだよ。信号くらい確認しろよなって俺遅刻しそうなんだわ、また今度な!」
「あの、何かお礼を、、、」
急いでいた俺はそんな少女の言葉は耳に入らず学校へと向かった。
「ギリギリセーフ」
なんとか間に合い俺は新しいクラスへと向かい席についた。
「おはよう蓮。初日から遅刻しかけるとはなかなかだね」
朝からテンションが高いこいつは1年の時同じクラスだった伏見太一だ。
「あぁ、おはよう。ちょっと寝坊してな」
今朝の話を太一にしようとしたところで担任が来た。
「席につけ!今日から担任を持つことになった。よろしく頼む!」
とまあこんな感じで担任が喋っているのだが今の俺にはそんなことは耳には入らなかった。
それより時間がなく振り返らなかったが、朝の女の子だ!黒髪ロングでスタイル抜群まさに理想だ!また会えないかなあ、とそんなことを考えながらふと隣の席を見た。
んっ隣がいない!!!
待てよあの子、うちの制服着てなかったか?
でもあんな子いたっけ?
そんなことを考えていると
「えー、今日は転校生を紹介する。」
その瞬間、おれは脳裏にラブコメ的展開を期待せずにはいられなかった。
「一ノ瀬香奈だ!入れ!」
「どうも東京から引っ越してきました。一ノ瀬香奈です。よろしくお願いいたします。」
視線の先には、朝に見た美少女が立っていた。
「あーーっっ!」
俺と一ノ瀬は声を挙げた。
「あなたは朝の!」
そんな事情を知りもしない担任が口を開いた。
「今朝、何があったか知らんがとりあえず先に着け、一ノ瀬の席はそこがちょうどあいてるな」
キタキタキタキタ俺の青春きたー!
王道展開すぎて逆に怖い。ここからバラ色の高校生活の始ま、、、
心の中でこんなことを考えていたが担任が指差していたのは、真逆の方向だ。
「佐藤、何をニヤついてる。お前の隣は今日、体調不良で欠席だ。一ノ瀬は門間の隣の席に座れ」
えっ待ってくれ。そこは普通ラブコメ展開的には隣の席なっていい感じになって相手の苦悩とかを解決していくうち主人公に惚れて付き合うって言う王道パターンじゃねえのかよーーー!普通この展開は期待するに決まってんだろ!!
少しの怒りと悲しみの感情を残してホームルームを終えた。
落ち込んでいるところに太一が声をかけてきた。
「一ノ瀬さんと朝何かあったの?」
俺は、今朝の出来事を太一に話した、
「たしかにそれは、蓮でなくても期待しちゃうね」
「だろ!でもこれはあれだ!きっとこれから何かラブコメ的展開が待ってるはずだ」
そんな話をしていると一ノ瀬が話しかけてきた。
「あの、今朝はほんとにありがとう。さっきはクラスのみんながいるのに注目を集めてしまってごめんなさい。これから仲良くしていけたら嬉しいわ」
「いや別にいいんだよ。」
「そういえば名前聞いてなかったわ。教えてもらってもいいかしら?」
「佐藤蓮だ!」
「佐藤くんね。これからクラスメートとしてよろしくね」
可愛らしい笑顔を見せつけられ俺はもう平然としてはいられないくらい胸が高鳴った。
「こちらこそ」
「じゃあまたね、佐藤くん」
一ノ瀬は自分の席へと戻っていた。
「なあ太一、俺は絶対これから一ノ瀬となんかあるに違いないだろ」
「どうだろうね」
苦笑いを浮かべながら太一が笑った。
きっと何も起きないだろうと思っているんだろう。
だがそんな太一も予想していなかった俺の高校の青春が幕を開けることとなった。
そのつもりだったのだが
「おい、あれから2ヶ月も経つんだが、ほんとに何も起きないぞ」
「だから僕は最初からそうだと思ってたんだよ」
太一が笑いながら喋った。
ラブコメの神様何してんだよ。普通何か起きるだろ。
たしかに平凡な人生だった。でも流石にこの展開は期待するしかないだろーー!!!!
心の中で俺は叫んだ
しかし、この時はまだ何も知らなかったこれから波乱万丈な高校生活が待っているとは、
こうしておれの高校生活2年目がスタートした!