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都市”ぃ伝説  作者: ひとひら
3/10

第参話

「バイバ~イ。」

「またあしたねー。」

手を振ってみんなと別れる。

「はぁー…。」

疲労が一気に襲ってきた。

背中にランドセルの重さがずっしりと伝わる。

『?』

いつも通る公園の遊歩道。

お爺さんがベンチを支えにして、しゃがんでうずくまっていた。

右手をベンチに置いて、体を支えてる。

左側には…杖。

あたしは駈け寄った。

近くまで来ると、ゆっくり横へ回り込み、顔を近づける。

「お爺さん、大丈夫?」

すると、

「ん?おぉ、心配させてしまったようじゃの。すまんすまん。」

と言って、あたしに笑顔を向けた。

「なにしてるの?」

「アリを見ておった。」

そういうお爺さんの足元を見ると、ベンチの脚にはアリの巣が…。

そこから出たり入ったりしているアリがたくさんいた。

あたしも一緒になってそれを見る。

「アリさんお仕事中だね。」

「そうじゃな。」

しばらくじっと見る。

すると、お爺ちゃんは態勢に疲れたようで、ベンチに腰かけた。

あたしもならって、横にちょこんと座る。

届かない足をブラブラさせながら、

「お爺ちゃんは、お友達いる?」

と、心配もなくなり聞いてみた。

「そうじゃなぁ…いるような、いないような、じゃな。」

『死んじゃったのかな?』

あたしは、見た目で友達を想像した。

「お友達といると、疲れない?」

あたしは、お爺ちゃんに悩みを自然と打ち明けていた。

「どぉかのぉ。」

「…そっか。」と、あたしは呟く。

「疲れるんか?」

お爺ちゃんは聞く。

「…うん。あたしね、ほんとはお昼休みはお外でドッジボールしたり、鉄棒したりして遊びたいの。」

「すればいいじゃろ?」

「でも、お友達みんな、そういうのは男子のすることって言って、教室から出ないの。」

「お前さんは、出ればいいじゃろ?」

お爺ちゃんは簡単に言う。

「一人で行っちゃったら、仲間外れにされちゃう!」

あたしは、口を尖らせた。

「それならば、我慢じゃのぉ。」

「そしたらお外で遊べない!」

口調が強くなっていく。

「お前さん、どうしたいんじゃ?」

「お外で遊びたいけど、仲間外れは嫌…。」

「じゃが、選ばんとならんようじゃの?」

「選べないっ!」

ムキになった。

「選べんのは、【今】のお前さんじゃろ?」

「ん?」

お爺ちゃんの言ってる意味がわからなかった。

「お前さんが選ばにゃならんもんは、その場面が来た時でも構わんのじゃないかな?」

「どういうこと?」

あたしは何か、道を感じた。

「結局のところ、選ばにゃならんわけじゃ…じゃが、【今】のお前さんにそれはできん。じゃったら、その場面のお前さんに訊いてみたらいいじゃろ?」

あたしは、『あ…。』っと思った。

「毎回訊いて、毎回答えを貰ったらええ。そうすれば、体が決める。」

お爺ちゃんは微笑んでくれた。

あたしは何か期待を感じて、明日からが楽しみになった!

お爺ちゃんに、「バイバイ!」と元気よく手を振る。

翌日から、あたしはあたしに訊いた。

帰り道、その結果をお爺ちゃんに話す。

お爺ちゃんは、「そうか。」といって毎回微笑んでくれた。

そんなことを繰り返していた、いつものお昼休み…。

『お外で遊びたい?』

あたしは訊く。

『うん!』

あたしの中から、はっきりとした答えが返って来た!

「ごめん!お外で遊んでくる!」

みんながポカンとしながら、あたしを目で追いかけてくるのがわかった。

そして、その日の帰り道。

あたしはお爺ちゃんに会うために、急いでいつもの遊歩道へ向かった。

「…。」

お爺ちゃんは…いなかった。

そして、あのベンチもなくなっていた。

ベンチがあった場所へ行く…。

アリの巣があった。

あたしはしゃがんで、巣から出たり入ったりするアリさんを眺めることにした―――。


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