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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 北のモシリ
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99.感謝の祭り

ピウカ(玉石の河原)の集落に戻ってきた。

他の集落から来た古老の3人は自分の集落に戻り、事の顛末を伝えるだろう。

帰りの道中でもシカルンテに良い印象を持ってくれたようだったので、集落に戻って悪いことは言わないだろう。

まして、ウェンカム(悪い神=悪い熊)を倒した二人は英雄だ。

シカリペツの集落にも人が戻るだろう。


そろそろ帰ろうかと思っていると、長老格のシキポロやタタルから、そろそろアンヂ・アンパラヤが戻ってくるので、戻り次第祭りをやるので待っていてほしいと請われた。


アンヂ・アンパラヤとは土偶も割って交換しているので、会わなければならないのは確かだが、途中で会って返してもいいかと思っていた。でも、違う経路で来るかもしれないからと、半ば強引に引き留められた。


かなり待たないと帰ってこないのかと思っていたら、翌日には帰ってきてくれた。

事の詳細、俺が神謡を伝えられたこと以外は全て話した。

俺が転生したころのうちの集落と同じで交易中心の集落だから、呪術師系が弱かった。

なので、シカルンテは呪術師長をすることになったらしい。

古老たちのほうからも推してくれた。


神の歌のうち、このトカプチ古い地名でシベの歴史を授かった彼女なら自然暦もかなりの精度で予測できるだろう。


今回の祭りが彼女が最初に執り行う祭祀になった。


祭壇で、神々、大地、全ての生物、無生物へ感謝の歌が捧げられていく。

全てが円環で繋がり、循環する世界に感謝し、悪しきものが、神々、大地、生物、無生物から取り除かれるよう歌で祈りを捧げる。


本格的な祭祀に集落民たちも神妙だ。

だが、シカルンテは祭壇からこちら側に向きなおると、人々への感謝の歌を歌い始めた。楽しくなるような歌に、人々もだんだんうちとけて、愉快に手拍子したり踊ったりしながら歌いだした。


俺とアシリクルも一緒に歌いながら踊った。

うちの集落でも見習わないといけないな。

適当にクジラの骨刀を振り回して塚に埋めるだけじゃダメだな。


「オホシリ様、本当にありがとうございます。あの時、祭祀長だった父と巫女だった母に、ペツペツ川に行くように言われたのです。あなたを助けてくれる人が現れる。そして、シベに残ったコロポックルたちの重い荷物を引き受けてくれると。」

シカルンテがしきりに感謝してくれているが、本格的で楽しい祭祀を執り行う新しい呪術師誕生に集落民は歓喜して彼女を取り囲んで再び祭りの宴の中心に連れていかれた。


アンヂ・アンパラヤとはお互いの土偶の返還はしなかった。

これからずっと友でいることの証に持っていようということになったのだ。


翌日、名残り惜しいが、旅の帰路に就くことにした。

俺たちが見えなくなるまで見送ってくれた。

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