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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 北のモシリ
95/182

95.歌の秘密

「オホシリカム様ですね。ヤイェユカラ(神の歌)と申します。」

瞬時にこちらの正体もバレている。当然、こちらの求めていることも分かっただろう。


「はい、オホシリと言います。この度は縁あって若い二人の手伝いができないかと不躾ながらこちらを訪ねて参りました。」


「どうぞ、こちらへ。」


林の中に誘われると、そこには森の中にテントのような家がポツポツたくさん建っている。コロポックルといっても背丈は普通だ。俺より背が高い人もいる。ただ、深い森の中で、フキや下草もあまり刈らずにいるから、人が小さく見えるのだ。テントも小さく見えたが、中に入ると普通に竪穴式住居と同じくらいかそれよりも広く感じた。


ヤイェユカラ「よろしいでしょう。若いお二人のために、シカルンテには神の歌のうちシベの歌を授けましょう。」


シベの歌とは今のトカプチの自然現象とそれに対する人々の対処方法のうまくいったこと、失敗したことの過去数百年分の情報量があるらしい。これがあればかなり正確な自然暦や災害予測が可能になる。


「オホシリカム様には神謡を捧げたく思います。」


「神謡とは?」


シカルンテは驚愕している。

その様子から、かなりハードな歌なのかな?


ヤイェユカラ「神謡とは私たちの今に至るまでの全てです。過去を全て知る私たちは、未来はただの予測に過ぎません。シカルンテもそのことは肝に銘じなさい。過去を知っているからといって全知万能ではないのです。オホシリカム様は逆でここにおられます。未来を知っていても過去を知ってはいません。だから確定した未来は知っていても、なぜそうなるかは、そうなってみないとわからないですよね。」


確かにその通りだ。結果を知っていいても、まるで子供が算数のドリルの答えを盗み見たような感じで、なぜその答えや結果が出るかわからなくなる可能性は高いのだ。


「まるですべてを見通されているようですね。」


「いえ、過去の知識だけでは直近で起こることまでしか、あくまでも予想でしか知ることができないのです。それでも、私たちは十分すぎるのですが。あなた様は違います。」


「わかりました。お願いします。」


たぶん、これからも必要になる力かもしれない。それに、過去の知りたいことはたくさんある。申し出をありがたく受けることにした。


「では、先にシカルンテにシベの歌を授けます。」


「シカルンテ、これから湖に舟を出します。一緒についてきなさい。」


「オホシリカム様、神謡は準備に少し時間がかかりますので、こちらでゆっくりとお休みください。」


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