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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 火山の時代
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9.神様らしい服装を

俺が作ろうとしたのは狩衣。そう神主など神職なんかがよく着ているあの着物だ。

やっぱり神様としてよばれたなら神様らしい服装をしなくては。


ちなみに、狩衣が比較的上流階層に定着したのは新しい時代で、しかも本来は日常着。古来は麻製で庶民の服だったらしい。

そう考えると、俺が発祥になっても問題ないだろう。まぁ史料がでてくるまでまだ数千年ある。それに、このデザインはもし広まっても廃れるだけだろう。袖はじゃまだし、布は無駄に使うし。


実は普通に着物でもいいかと思ったんだけど、素材の布が厚いし、それで着物を作ると夏なのでかなり暑いだろう。そして作り方がよくわからない。

狩衣はコスプレ用の簡易な作り方をネットで見たのを覚えてた。一応、袖くくりもつけてもらった。袖がじゃまになるかもしれないので、装飾というよりは実用としてつけてもらうことにした。

そして何より涼しそうで動きやすそうだ。もちろん狩衣だけだと脇がすーすーするので、ズボンも作ってもらう。裾をすぼめられるように紐を入れてもらう。さらに帯にアッツゥシの模様入りの帯。

まぁ、彼らと同じ麻袋をかぶるのも悪くはないのだけど・・・。


ズボン用の布地は染めの作業もあるから、すぐにはできないだろう。

なので、ここ数日は喪服のまま過ごすしかないだろうと思っていた。


だが、無地のほうの1着はその日の夕方出来上がってきた。ズボンも黒く染められているが、どうやら黒い布地は在庫があったようで、それで作ってきたようだ。

裾の紐は赤い紐が使われてる。同じく袖くくりも赤い紐。さっそく紐を引っ張って袖をくくってみるが、布地が厚いので思うようには窄めることはできなかった。飯を食う時は袖を汚さないよう気を付けよう。

この狩衣はどうしても繊維そのもの色で灰色のようなベージュで純白ではない。それでも黒いズボンと赤い袖くくりのコントラストで多少は白く見えるだろう。白く晒す方法もいろいろ試してみよう。


ちなみに、軽く冬のことを聞いてみたが、ここ何代かの時代でだんだん寒くなってきているという。温暖な間氷期が終わって氷河期にでも向かうのだろうか?大規模噴火の影響か?

まず、この集落の神頼み優先事項のひとつだけど、それは俺にもどうしようもないこと。冬の衣服については、主に動物の毛皮を使うのだそうだ。

神降ろしの儀式は何年もかかって準備したので、俺が使う冬用の毛皮も大量に用意してあるという。毛皮の衣服のデザインも考えておこう。なんせ、動物性ほど痕跡を残さないから、かなり遊んだデザインで服を作ってもいいだろう。


さて、本日の朝食は・・・。


昨日の残りもの?と思ったらそうではありませんでした。ちゃんと新しく作ってくれたハマグリの蒸し物や山菜スープなどだが昨晩メニューと全く同じ。塩味基本のちょっと残念な気分だけど、たぶんこれが毎日なんだろうな・・・これでもかなりの歓迎ぶりなんだろうけど。

そう思っていると厚手でやや深めのどんぶりのような土器に入ったものに興味がそそられた。もしかしたらクルミモチ?見た目はクルミを擦ったドロドロの状態。そこに何か入っている。それをよそってもらったが、やはりモチではなかった。似ていはいるが。

たぶんトチの実かドングリ100%のモチ、本当のモチつまりコメはこの時代この地域にあるはずがない。

これがコメのモチだったら、ここは異世界と判断して、チート連発の予定だったんだけど、またしても期待を裏切られた。

と同時に、甘みのないクルミの味付けで、ちょっと思い出したことがあった。

チートにはならない、且つこれならきっと俺の神様知識としてこの集落民に自慢できるはず。そう思った俺は昼飯で見事に期待を裏切られるのだった。


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