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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 北のモシリ
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67.冬の備え

少し植生が異なるが、気候的には青森とさほど変わらない。むしろ冬場は雪が少ないのではないかと予想している。俺が函館にいたころは青森よりは雪が少なかったと思う。寒さは同じくらいだったと思うが。


秋の狩猟、採集も順調だ。青森側よりはやく鮭が登ってくると予想していたが、ありがたいことに、鮭より先にカラフトマスが大量に遡上してきた。カラフトマスは主にオホーツク海側の河川に遡上するが、岩手や青森の一部の河川にもわずかに遡上するから、ここに上ってきてもおかしくはないだろう。ただ、遡上数の変動の大きい魚種だと思ったので、翌年も同じかはわからない。それでも、移住して最初の秋で大漁はありがたいことだ。

とはいっても、乱獲すると遡上数が減る恐れもあるのであくまでも必要量にとどめた。


利用価値はシロサケのほうが上だ。鮭の皮も靴や小さなポシェット的な入れ物に加工できる。今年はカラフトマスが豊漁だったこともあるが、川止めをしないでも十分な量の鮭を捕らえることができた。


キノコも十分な量が採れた。こちらも多少樹種が違うことで途惑うこともあったが、おおむね今までと同じキノコを採集することができた上に、シーズンが終わってから晴天が続き、乾燥もうまくいった。


ウェン・カムに邪魔されたぶんと、北に来たぶん冬が早めに訪れるかもしれないと、準備を集落全体で急いで行ったこともあって11月の中旬頃だろうか?そのころには冬の備えがほぼできつつあった。


もうあと30日ぐらいで冬至になるだろうか?

そのくらいでも小春日和なので、ユペツ(湯の川温泉)に脱衣用の小屋と野天風呂に屋根付きの東屋的なものを作った。どうせ現世と地形も違うし、河川も海も近いから洪水や津波にさらわれて証拠も残らないだろうから、ここは少し現世の旅館の露天風呂風に仕上げることにした。


屋根は草葺き、あのウェン・カムが潜んでいた河原の周りの草むらを全て刈り取って見通しを良くするついでに、屋根の材料やロープの材料にすることにした。

これで、冬場も温泉に入って体を冷ますことなく着替えができる。


ただ、小屋の完成まもなく、地元の古老たちが住み込もうとしたので、洪水や津波の時に大変だからと説得して帰ってもらうのに苦労した。


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