66.湯めぐり
巫女たちの機嫌はすっかり良くなった。ウェン・カムも倒して、本格的に狩猟・採集に入ることができる。古老たちにもいろいろ周辺の情報を教えてもらった。
カンナアリキからも、有用な植物、あと温泉情報も教えてもらった。
ただ、温泉にもランクがあるらしい。
先日入ったユペツ(湯の川温泉)は原初の神が創ったとされ、非常に効能がある聖なる温泉といっている。
どういう温泉が原初の神が作った温泉かというと、火山が近くに無い場所に湧き出るからだという。火山は火の神だけど、その火の神の影響のないところからお湯がわきでるということは原初の神が最初の大地を作ったときから存在しているという考えに基づいている。
次は火山の近くで少し硫黄臭のする温泉。
こちらは普通の温泉。
火山の真っただ中で毒ガスが噴出する中湧き出る温泉は神々の温泉。
最後の神々の温泉は、恵みをもたらすこともあるけど、逆に毒ガスにやられたり、突然の噴火で災害をもたらしたり。まさしく神の所業。原初の神が作った神々はお互いに競い、争って、人々に恵みと災いの両方をもたらすと考えられている。こちらは入浴というより、植物の繊維を加工したりするのに使うことがあるという。
俺が覚えているこの近辺の温泉は、先日入った湯の川温泉、函館山の麓にある谷地頭温泉は、ここから見た感じでは海底?なんかまだ海っぽい。もしかしたら函館山の岸辺とかに沸いてるのかもしれない。
あとは、この集落の裏の森を越えたところにある川汲温泉、その並びの海岸線に南は水無海浜温泉、大船温泉、鹿部温泉とあるが・・・。
なかでも大船温泉は興味がある。
なぜなら、大船温泉近くの著保内野遺跡からは北海道唯一の国宝、中空土偶の茅空が出土しているからだ。ただ、茅空が作られたのは3200年前、俺の予想では現在は5500年から4000年前の間。当然作者には会えないだろうが、それを作り出した先祖たちに会って話を聞くことができるかもしれない。いや不死ならば慌てることはない、作者が生まれる年代にまた訪れてもいいのだ。本州側の遮光土偶の作者にも会ってみたいし。
とりあえず、長い人生ゆっくりと見ながら、時々運命に抗ってみたり楽しく生きることにしましょう。
ということで、せっかくの北海道、温泉に行こう!!
と思っていたが、ウェン・カムのせいで狩猟・採集に入るのが遅れた分を取り戻さないといけない。各地の温泉めぐりは翌春からの楽しみになりそうだ。




