難しい問い
カンナアリキ「オホシリカム様には物見の氏族へきていただきありがとございます。これで、神々の沸き立つ湖が最後の悪あがきを止めて鎮まることでしょう。」
俺「噴火はなんとか切り抜けても、この状態ではなんとも。」
カンナアリキ「いえ、オホシリカム様が来てくださったからこそ、原初の神のお力を賜ることができたのです。実際、原初の神の作られた山に向かい、その呪術師を従えたと聞きました。」
カント・ヨミ・クルのことかな?彼はそんなにすごい人だったのだろうか?
カンナアリキ「こちらでも、どうかそのお力で皆を守って欲しいのです。」
俺「何か問題でも?」
カンナアリキ「はい、皆様がこちらへ来ると聞き、少しでも良い場所と思い東の二つの川に挟まれた丘に新しい集落を拓こうと思ったのです。皆様をお迎えする住居を建てたまではよかったのですが、ウェン・カム(悪い神=悪い熊)が現れたのです。」
俺「ウェン・カムを退治しないと住むことができないということですね。」
カンナアリキ「いえ、集落は木柵をまわし、夜も火を焚いて警戒しています。アヂ・ノ・チプ(黒曜石の船)様が集落に入っておりますが、その警戒のためこちらに来ることができないのです。」
俺「なるほど、住む分にはなんとかなるが、それでは集落の外に出て狩猟・採集ができない。」
カンナアリキ「はい、囲まれた2つの川はたいへん恵みの多い川です。特に東側の川は、こちらの狩猟・採集範囲になっていませんので皆様に自由に使っていただけるのですが、そちらのほうからウェン・カムが現れるのです。」
地形を確認しないと断定はできないが、2つの川は、松倉川と汐泊川のことだろうか?そうするとその間に挟まれた丘というのは現世の函館空港のあるあたりかもしれない。
まぁ行ってみればわかるか。
カンナアリキ「それと、レブン・ノンノはちゃんと神嫁の務めを果たしていますでしょうか?」
難しい問い。
母親からその問いは、なんと答えたらいいのだろう。
俺「えぇ、はい、それはもう巫女としても優秀でして・・・」
中身が40代の俺にはちょうどいいというか魅力に感じてしまう、レブンノンノのお母さんを前に顔を赤くして口ごもってしまった。




