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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 北のモシリ
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出航

呪術師カント・ヨミ・クル(天を読む人)はすぐに調査を開始した。事前に狩猟、採集で周囲の山に入っていた人たちから聞いて、おおよその狩猟採集エリア、収量、季節ごとの収穫物の把握を行う。家族単位で採集、狩猟の認められる範囲、方向、季節、に加えて集落全体の狩猟、採集に必要な範囲、日数などを記録把握しなければいけない。文字はないので、木や石で仮置きしながら、小さなストーンサークルのようなものを作っていく。

カント・ヨミ・クル「とりあえず、仮設で割り振りしてみました。できればこれに暦ものせたいのですが」

相変らず暦の作成にもこだわっているようだ。

そこらへんは、時間の余裕を見てやってもかまわないと伝えた。


カント・ヨミ・クルの話では、とりあえず仮設のストーンサークルを作って、年ごとにその運営で問題ないかチェックして問題なければ、常設のストーンサークルを皆にわかるように設置したいという。

その時に住民が墓にしたいといってきた場合どうするか?と言われたが、好きにしてかまわないと伝えた。ただ、集落がすでにできている状態なので、集落中心にストーンサークルは設置できない。集落の外になるがそれでもかまわないというなら墓にしてもよいと伝えた。

塔の集落のほうも、狩猟採集が可能になった時点で、すぐにストーンサークルを設置できるように調査を行ってもらうことにした。


先発隊はすでに出発したが、人数の多い本隊、そして巫女や俺も含めて航海に慣れていないものが海峡を渡るので、安全を考えてできるだけ竜飛岬に近いところから出航することになった。イマックペツ(後ろの川)現在の今別からやや竜飛岬に近いところからの出航になる。

イマックペツはてっきりアイヌ語でイマ・ペツ(焼く川)だと思っていたが、海峡、つまり塩の川を前にして後ろ側に川があるからイマックペツ(後ろの川)だと説明を受けて納得してしまった。


舟は丸木舟だ。基本的に1艘だが、荷物が多いので今回は2艘を丸木で結わえて筏状にしたものも用意した。さらに、通常はは丸木舟1艘で全員が漕ぎ手で、海峡の中央部の流れのはやい部分をできるだけ早く漕ぎぬけて行くが、今回は素人が多い。

呪術師が月の満ち欠けから干満、天候などを今までの経験からもっとも海が凪ぎになる日にちと時間を予測する。

最終的には当日の早朝に海出るか決定するために、すでに集落を出てイマックペツに滞在中だ。

呪術師が干満の影響で海流がもっとも落ち着く時間帯と日中が重なる日取りを算定した。3日後だそうだ。その当日朝に天気がよければ出航することにした。


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