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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 火山の時代
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不安

遅ればせながら、前書き・閑話・設定集を書きはじめました。

そちらも、どうぞよろしく。

十和田湖の噴火は俺が完全に読み違えたか?それとも、ここは過去の日本じゃなくて異世界か?いや、正確に十和田の噴火の歴史を勉強したわけじゃない。1万年とか2万年前の十和田湖の外形のカルデラができたときは、青森まで八甲田を越えて火砕流が到達するくらいの大噴火。中湖の噴火はそれよりはエネルギーとしてはもっと小さかったはず。火山堆積物も東側がひどかっただけで、こっちは大丈夫だったはずだが?それとも中世の900年代の噴火と勘違いしてたか。

いや、これを契機に植生や土器の形質も変化すると聞いたような気もする。

まさかの全滅?


外は火山灰だけでなく軽石も降り始めた。

不安と後悔に俺も何も言えない。

火砕流だけは達しないはずだ。

降灰や軽石も何メートルも積もらないはずだ。

それでも、無情に軽石は降ってきた。


祈るような気持ちが通じたのか軽石が降るのはすぐにやんで徐々に外が明るくなってきた。

風が強くなってきたようだ。

台風か何かが東の海上を進んでいるのだろうか?

この時期には珍しくかなり強い西風が吹き始めた。

いやきっと皆の祈りが通じたんだ。そう思うことにした。


でも、安心できない。

だいぶ明るくなったが、相変らず南の空には巨大な噴煙が見えるて、その西側を夕日が不気味に赤い色に染めている。

少し風向きが変われば、こっちに流れてきそうな大きさだ。

夜も風は弱まらず相変わらず西から吹いている。

翌朝まで、みな一緒に過ごした。


朝外に出てみると、火山灰と軽石は数センチも積もらなかった。風が強かったせいか、場所によってほとんどなかったり、吹き溜まりのようにたまっていたりだ。

南には巨大な噴煙が見えるが、昨日ほど色は黒くない。

まだ噴火は続くだろうが、とりあえず火道が通じたのなら、これ以上のは起きないはずだ。ただ、溜まっていた水とマグマでかなり大規模な水蒸気爆発が続くかもしれない。十和田湖最深のカルデラ湖ができる噴火だから、長くは続かないはずだ。でかいのがドンときて終わりのはずだが、昨日の軽石が降ってきたショックで自信がすっかりなくなってしまった。


そもそも破局的噴火のカルデラが生まれる噴火がこの距離でやり過ごせたというなら、やはり神の奇跡だろうと思う。


とりあえず、長老たちや主だったものたちで集落内の安全確認を行う。

塔にも行ってみたが、2階や4階は灰や軽石が中にまで入り込んでいる。

3階は冬に出入り口を塞いだままなので、軽石は入り込んでいなかった。

この周辺に降った軽石はさほど大きくない。


状況確認をしたいので、塔の屋上に上がってみる。

南のほうの山々はまるで汚れた雪でも降ったかのようにグレー色になっている。

半島のほうはほとんど大丈夫のようだが、それ以外は目をそむけたくなる惨状だ。

これでは狩猟も採集もあと何年も、もしかしたら何十年もダメだろう。

貯えはあっても、1年が限度だ。

一時的な移住も視野に入れないとダメかもしれない。

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