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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 火山の時代
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冬の味覚

冬の味覚。

俺が参加した熊猟は無事に終わった。参加といってもサポート役なだけだったが、俺の知っている山知識も役立って良い経験をした。

冬の味覚で俺も期待していたのは、ほかにもいくつかある。

海の魚が美味しい時期だけど・・・。

やはり深い場所にいる魚は無理っぽい。マダラとか。

沖にいる魚も無理っぽい。ブリとか。

それならばと、なんとか説明してわかってくれたのはゴッコ(ホテイウオ)。

カジカでもハタハタでもよかったんだけど。

とりあえず、ゴッコはとれるらしい。

ゴッコ汁、北海道の道南、函館で有名になったご当地グルメ?だが、青森県でも冬場に産卵に沿岸に近づいたものがとれたはずだ。

そう思って、なんとかあのぼてっとした形状を説明してわかってもらえた。

実際、彼らも鍋にして食べるらしいので、今度取れたら分けてもらうことにした。

渡り鳥も冬場の味覚のひとつのようだ。

そして、夏場はやたら素材の味の活きたものしかない。というより素材の味と塩味しかなかったが、冬場は、乾物、キノコや魚など、塩漬けのものも、どれもダシが効いて味わい深くて美味しい。塩だけでなく魚醤も使われるので味わい深い。ただ、美味しいが連日鍋物というか煮物しかないのが少し残念になってくる。夏場の会話で思い出されるのが、「美味しいけど意外に飽きますよ」というカンチュマリの言葉だった。

ソバかウドン、いや麺類なら何でもいい。とにかく麺が食べたい。この鍋のスープには絶対麺が合う。鍋だけの食事に飽きはじめて、そう思いはじめたので、何種類かの粉物を分けてもらう。

栃の実やドングリ、ブナの実、ウバユリのデンプンその他いろいろ様々な種類を少しずつ分けてもらった。

それぞれを水を加えて練ってみるが、細い麺はどれも難しそう。なので、麺は諦めてニョッキというかひっつみ(はっと)のようなものを作ってみる。とりあえず、色と味で多少判別できそうなので、いろんな素材の粉ものを練って沸騰した土器の中に入れていく。火が通って浮いたところを柄杓で回収してから、先に作っておいたスープ。今回は冬のウグイを焼いて干したものでダシをとり、乾燥させたゼンマイなどの山菜を入れたスープに入れて食べてみる。基本塩と魚醤しか調味料がないが、魚から十分よいダシがとれたので味はかなり良いと思う。

うぅーん。やはり木の実系だけだとネチっとした食感で美味くない。味はいいんだけど、食感が悪い。デンプン系はツルンとした食感になるが、この混ぜ合わせ加減が難しそうだ。表面にだけデンプンをつけるのもありかな?今後の研究が必要だろう。ところでソバって縄文時代はあったかな?あれは渡来品だった気もするが。どうやら麺への道は険しそうだ。


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