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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 火山の時代
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冬至

4期の暦の4期目冬至。四節気と記さないのは、まだ新年とかさらに細かく季節を分けることがないからだ。正確には、この4期つまり春分、夏至、秋分、冬至が毎年変わることのない唯一の暦。しかも円環思想があるのか一般人は新年という年の区切りは考えていない。クルマンタのカント・ヨミ・クルのように呪術師が自然暦を予測するうえでは一応1年の括りは意識しているようだが。

そして、日々の生活の自然暦。つまり、今年はいつ頃花が咲くとか、実がなるとか、鮭がのぼるとかの呪術師の予測発表によるものが優先される暦。

さらに、交易系が使う4期の暦に月の満ち欠けを合わせて決める方法の3つを組み合わせる。集落によって自然暦と月齢方式の重要度は違う。

俺は冬至の日がわかればそれから4日でクリスマスで10日で大晦日、正月とわかるのだが、彼らにとってはまったく関係ない。

ちなみに、5進数がこの時代の交易系の基本のようだ。正確には5進数というわけではなくて、経験則的に指を折って物を数えるときに5で繰り上がるようにしている。前にクルマンタの呪術師のカント・ヨミ・クルとも話したが、指を折って30まで数えられるので、4期の暦に月齢を乗せるときに、指を折って具体的に何日後と指定できるのだ。

さて、冬至だが他の春分、夏至、秋分と違って独特の位置づけだ。

冬至は悪いものがやってくる。

同時に悪いものが去っていく。

日がもっとも弱くなる。

これから日が強くなる。

つまり最悪の日だが、過ぎると自然に良い方向にしか向かない日でもあるから、彼らにとって神と同じ存在の日になる。

畏れ敬い期待する日。

逆転の日という意味もあるのか、人々は日中寝て過ごす。一歩も家や大堂から出ない。そして、日が沈むと同時に起きてどんちゃん騒ぎをする。

それが冬至だ。

ある意味で大晦日や正月のような感じかもしれない。

ちなみに翌日は通常通りだが、基本的に仕事をするのは日の出ている間で、日の出とともに家での朝食、家の仕事を終わってからの公共の仕事だから、時間でいうと9時から10時くらいの出勤。そして冬至の頃は午後四時ころには暗くなるので、その前に帰宅する。だから職業系は夏よりはかなり楽だ。楽といっても寒さは身に染みるが。

夏至も同じようにどんちゃん騒ぎをするが、夏至のほうは日中も起きているという。そっちはそっちで過酷だ。

そういうわけで、今日は日が昇っても俺も塔の3階で毛皮の布団にくるまりながら、3人の巫女とくっついて寝ている。導きの炎も今日はお休みだ。時折、囲炉裏の火を絶やさないように薪をくべるだけで、すぐに布団にくるまり4人で固まって寝ている。

そう、あの流星を眺めた夜は、レブンノンノの言う通りになったわけで、3人の距離は一気に縮まった。


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