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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 火山の時代
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BCだから

現世ならそろそろクリスマスソングが流れてきて、師走、年末、正月準備と忙しい季節だが。

まぁここが過去ならBC(Before Christ)だからクリスマスのキリストですらまだ生まれる前の世界。当然クリスマスなんてものはないのだが。

縄文時代のこの季節もそこそこ仕事がある。薪の準備は雪が積もるギリギリまで続いている。俺も塔の下に薪を運んだりするのを手伝っている。他に、カヤやアシに似た植物というか、とにかく草をたくさん刈り集めて、秋のうちに干しておいてある。それで、ワラジや靴を作ったり、縄を編んだりするのだが、その前に木づちで叩いて柔らかくする藁打ちという作業があったり、用途や作る物の数に応じて配分したりの作業がある。外に干してあった草類を個人や家族で採ったものはその家に、共同刈り取りしたものは大堂に配分する。冬場使う靴などは各家庭それぞれに作っておく。塔の巫女たちも俺の分も含めてすでに作ってある。大堂などに配分された草類は、積雪期になってから集落全体の作業で使う縄や大堂や公共建物の補修で使う縄などを作っておく。それはまだ少し先で、今はそれらを作るための材料の最終準備の段階だ。

縄が一番重要な公共作業だが、縄だけではない。繊維製品、狩猟で使う糸、弓の糸や釣り用の糸、罠に使う糸なども使用用途や材料によって分類しながら作る。

衣服を織る(あんぎん織り)の専門の人たちも、公共財のそういった繊維製品だけでなく、自分たちの分や頼まれて作る衣服の布を作る作業を広くて作業しやすい大堂で行う人も多い。もちろんそういう作業は自宅派もいる。

大堂の冬の楽しみである、酒の入った土器も運び込まれている。酒は公共の財産ということではないが、話好きの縄文人たちは理由をつけては大勢集まって大堂で飲むことが多い。特に冬場はそうらしい。冬の気配がするこの時期でもすでに大堂に泊まり込むものもいる。もしかしたら暖房の薪をケチっているんじゃないかという気もする。大堂は常に火があるし、大勢でいるから温かいのだ。

ちなみに酒の土器に限らず、この時代の土器は底が尖っていて、地面に突き刺すようにして立てて使う。または何本かまとめて縄で縛って倒れないようにする。金属器がないから五徳のようなものがないのも理由のひとつだ。もちろん、同じ土器を使った炉のようなものもあり、それに被せて、下で火を燃やして使う方法もあるが、盛大な炎を好むこの時代の縄文人は使う人はまだ少ない。煮物は土器を地面に事前に底と同じ形状の穴をあけ、突き立てて周りで薪を燃やして作る。だから突き立てる穴が浅いと倒れたりするので注意が必要だ。このタイプの土器は埋めて使う酒造りや漬物の保存には特に適している。土に埋めることで一定の温度に保つことができるからだ。そして土に埋めても、平底より壊れにくい特徴がある。もちろん焼き石を使った鍋料理でも平底は底が抜けて壊れやすい。作業のうえでも、平底タイプより均一にかき混ぜることもでき品質が安定する。

ただ、地震の時が心配だが・・・。

さて、塔の巫女は新しいアシリクルが来て3人体制に戻ったが、毎晩一緒に寝るのはいろいろ気を遣う。日に日に寒さが厳しくなってくると密着度が増してくる。3人の見た目と違って積極的なのはクールに見えて一番少女のようなかわいらしさを持つレブンノンノ、次がカンチュマリ。そしてアシリクルは俺の神嫁になりたいと来たわりに恥ずかしがりやでまだ俺にくっついて寝ようとはしていない。

今日はかなり冷え込みそうだ。塔の最上階に導きの炎の管理をするレブンノンノと上がって夜の景色を楽しむ。満点の星空。そして急に流星が増え始めた。現世の頃なら、しし座流星群やふたご座流星群の季節だろうが、たぶん違う。現世とは違う母体の流星群だろう。

レブンノンノ「神様無事おりてくるといいですね」

どうやら神様は流星に乗ってこの世界に降りてくるらしい。でも、ちゃんと儀式が成功しないと地面に激突したり、途中で消えて無くなっちゃうと。

ちょっと怖い話を聞いた。

俺はたまたま成功しただけか?

レブンノンノ「今日は私に降りてきてくださいね」

俺「ん?」

どういう意味かは、皮の布団にみなで包まるまでわからなかった。


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