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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 火山の時代
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34.冬直前の人事異動は寂しい

冬場の塔の火の管理と居住環境についてカンチュマリ(天空のキツネ)、ミナ・トマリ(笑う港)、レブン・ノンノ(沖の花)と話し合う。


現在、お天気のいい日は塔の屋上の導きの火は灯してあるが、冬場は屋上の火の維持は晴天時しか灯さない。通常下の4階屋根裏部屋の竃というか小さな炉のようなもので火を維持している。

以前は俺の寝所の3階に塔の巫女3人が固まって寝ていたが、今はその下の2階に3人で寝ている。つまり火の管理が以前より遠くなっているし、2階と3階は内部の階段などで移動はできず、一度外に出る必要がある。これでは火の管理は大変だ。

なので、彼女たちも以前のように3階で寝てもらうことにした。合わせてトイレ用の衝立も用意してもらう。小水は夜は土器にして朝捨てに行っていた。塔の巫女たちも同様だったが、4人で一部屋になるのでトイレの周りに衝立が必要と思ったのだ。彼女たちはその必要性についてはよくわからないようだったが。それと、人数が多くなったので土器よりも木桶のようなものがいいかもしれない。


ほかに3階の部屋の出入り口を塞いで、2階と3階を行き来できるような改造をこの塔を作ったミツ・ハ・キミ(新緑の王)に頼むことにした。それができたら別に寝てもいいだろうと思っていたが実際はその後ずっと一緒に寝ることになったのだったが。


3階出入り口を塞ぐ意味は、この風除室のない出入り口を開け閉めするたびに冷気が入って部屋がすぐ冷えてしまうからだ。それと、密閉した空間で火を扱うのは危険なので、2階、3階、4階と多少空気が移動できるようにする。4階の竃は冬場は使わないようにして、代わりに3階の囲炉裏をしっかり火を絶やさないようにすることにした。

一応、念のため導きの火を消してしまうと何か不都合があるか聞いたが、大堂の火を持って来れば問題ない、それで咎められることはないという。


それなら何か所も火をつけておく必要はない。

カンチュマリ、ミナトマリ、レブンノンノは下の2階から自分たちのぶんの冬用の寝具?毛皮の敷物などを持ち込んできてなぜか俺の寝具の周りに次々敷いていく。別に囲炉裏の周りに十分スペースがあるのだが。


よく聞くと固まって寝ないと寒くて大変らしい。これはルェケムクル(皮の針の人)が言っていた通り、大堂に行って酒でも飲みながら寝たほうがいいかな。

でも巫女たち3人を寒い塔に残していくのもかわいそうだし。

そう考えながらもこちらにきてはじめての冬の準備に手間取っていると、半島の拠点から塔の集落に定期報告があった。定期といってもこれは雪が降る前の最終の報告なのだが、この報告によって塔の巫女から人事異動が出ることになった。


半島の拠点に小さいながらも塔ができて、ミナ・トマリ(笑う港)をそこの巫女にするというのだ。現地ですでに2名が巫女として選ばれたが、運営を知っているものがいないので至急来て欲しいとのことだ。


これにはさすがに3人とも寂しい顔をしている。黒髪の美しいミナ・トマリがいなくなるのは俺も寂しいが、噴火に備え物見の一族集落の生産と集落機能の向上は大切だ。とはいっても寂しくなる人間の感情は別問題なのだが。


ただ、唯一の救いは夏に入って整備して、秋の収穫、貯えの準備も十分なのでミナ・トマリの家族全員で集落に移動することになった。これで、寂しさも多少は和らぐだろう。現地でも1家族分の受け入れ用の食糧、住居などは準備済みだが、こちらからも元々ミナ・トマリの家族の持ち分と、集落民として分け与えられる分も持っていかせることにした。


俺は向こうの集落の管理者にとりあえず、これから厳しい冬だから塔の本格運用は4期の暦の1期目の春からにして、塔は日中だけの管理にするように伝えてもらった。これから寒くなるこの時期の異動はほんと精神的に辛いから。


塔の巫女が1人少なくなった。寂しいが、加えて塔の巫女は塔を離れることができなくなった。常に2人以上で塔にいなければいけないからだ。


3人目の塔の巫女が急遽選ばれることになったが、長老格の1人アシリ・ウパシ(新しい雪)が娘のアシリ・クル(新しい人)が塔の巫女になりたいと言っていると相談に来た。

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