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縄文転生 北の縄文からはじまる歴史奇譚  作者: 雪蓮花
第1章 神々より前 Before Gods 火山の時代
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2.塔でのめざめ

俺の名前は高橋雄大40歳。独身。実はバツ1。子供はできなかったのでというかできる前に離婚成立。結局、いろいろ不安なこともあり、というか、むしろ独りでいる気楽さに再婚もせず田舎暮らし中。


祖父が100歳を目の前にして交通事故死。


今日はその葬儀の帰り道で祖父とよく散歩した近所の公園を懐かしく散歩していたところだった。この公園は今思うと縄文遺跡。ストーンサークル遺跡として保存されていて、芝生の公園の石はそのストーンサークルを模して配されていた。

散歩の途中、ちょうどそのストーンサークルの石の輪の中心に差し掛かった時に、白く光る壁が周りに出現、急に下へ落ちる感覚とともに、俺の縄文時代への転生がはじまった。


俺が再び目を覚ますと、天井は丸太が何本も横に並ぶログハウスの壁のような感じだった。少し顔を横にすると、やはりログハウスのような丸太の壁だった。広さは8畳程度だろうか?

ゆっくりとまずは自分の状況を確認すると、何かの動物の毛皮の上に寝かされていた。下は何か香りのよい草が敷き詰められている。ゆっくりと体を起こすと、正面に3人の麻袋の底に穴をあけて首を出したような形だがド派手な赤と黒のカラーリングの服を着た人が平伏している。


3人の中央の人物が少し頭をあげ、それでもこちらを直視しない程度だが、その体制のまま言葉を発した。どうやら、言葉は今の日本語とだいぶ違うようだ。アイヌ語のようでもあり、沖縄の言葉のようにも聞こえる。ややもすると地元東北の訛りや方言のようにも思えるがどれとも違った。それでも、なぜか頭の中に彼らの伝えたいことがダイレクトに響いてきた。


「遠い遠いところから人の時の果てまでよくぞおいで下さいました。」


女性の声だった。


俺「ここは?」


女性「左右から流れる大きな塩の川の入り口、静かのウミの物見の一族の集落にございます」


通じるか不安があったが、どうやら通じたようだ。


ただ、相手の言葉は、やはり日本語とは異なる言語でもしかしたらアイヌ語も少し混じっているのか?俺は多少はアイヌ語の単語を知っているが、判別できたのは、大きいを意味するポロと川を意味ずるベツが聞こえて直感的にそう思った。そして頭に響く日本語は直訳なのかもしれない。実際には女性の発した言葉はもう少し短かった。


俺「俺はどのくらい寝てましたか?今は何時ですか?」


この言葉を発して失敗したかと思った。ここがもし俺の予感した縄文時代、もしくはそれに類似の異世界だったとして、時間の概念はあるのだろうか?


女性「神様の寝ておりました時間はほんの少しにございます。いまは日の沈む時にございます。」


部屋の中は真っ暗だが。


女性「こちらへどうぞ」


女性は平伏したまま後ろへ、這いずるように下がっていく。


俺「平伏しないでそのままにお願いします。」


そこで女性は少し起き上がり、それでもこちらに深く頭を下げて顔を見せないように後ずさりしながら部屋の入口へと案内する。


女性が部屋の入口に来ると、部屋の入口はログハウスの丸太が丸く切り取られた形のようになっていて、それはちょうど俺の背丈の高さと同じ直径の真円のようだった。そこに、大きな獣の、おそらく真っ黒なところから巨大なクマと思われる革がかけられていて、それがするすると巻き取られるように上がっていった。


すると正面に海が見えてそれが夕日て照らされてキラキラ見える。その夕日の光は一気に部屋に差し込んだ。


ふと振り返るとログハウスの壁に黄金色の光に自分の影が映って見える。そして、足元には依然平伏したままの2人。さっきと違いこちらの方向へ平伏してる。


俺は再び夕日を眺めた。

そして少し部屋の外に出た。


高台?かと思ったが、何かの塔の上のようだった。部屋を出ると手すりのないテラスのようになっていて、下には草ぶきの建物やログハウスのような建物、土でできたカマクラのようなものがいくつか見える。

再び海のほうを見ると水平線は何も見えないが左右にはさほど高くない山がこの時間のせいか黒く見える。夕日はやや左の山のある岬の方面へ沈みかけている。海岸線をたどると、この塔と同じものだろうか?いくつか煙の線がたなびく場所に高さ30メートル前後だろうか?望楼のような塔がそびえている。

手すりのないテラスの下は20メートル以上あるだろうか?この塔の四隅は巨大な丸太で支えられていた。そして中央に2本これはわずかに内向きで傾いているように見えるが、振り返って上を見ると、遠くに見えた望楼と全く違う造りをしていた。

俺はゆっくりテラスの周りを左回りで歩き始めた。

左の面に来ると遠くには黒い森が広がっている。ただ森まではかなり距離があるようだ。一面の草原?荒れ野?が広がっている。やはりこの塔の下には同じような造りの建物が少し見える。右から強烈な夕日の光が差し込んで視界を遮る。

おそらく、ここに連れてこられたのが時間的に同じ、季節も同じとして夏至の頃だろう。もしここが縄文時代の集落なら火焔型土器、塔、海とそこに沈む夕日から推測できるのは新潟から東北地方のどこかだ。

俺が住んでいたところとさほど遠くないところだと思う。そんな期待を持ちながら俺は歩みを進めた。そして、左に折れ曲がって、部屋の入口のちょうど裏側に至って、ここがどこなのかハッキリとわかり衝撃を受けた。


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